塾主導の中学入試に風穴を開けられるか
この方の場合は、とてもうまくいった事例ですが、新タイプ入試の募集人数はまだまだ少なく、横浜創英中学校やドルトン東京学園中等部のような人気校の新タイプ入試の倍率は高くなっていて、決して楽をして受かる入試ではありません。しかし、小学生が何年も塾に通って競争にさらされ、習い事もやめて深夜まで勉強しないと突破できないという、塾主導の中学受験のあり方に風穴を開ける取り組みであるのは事実です。
両校ともに、これまでとは違う教育を行おうとしている学校ですが、人気が出ると偏差値が上がり、結果的に難化してしまうというスパイラルに取り込まれないように、新タイプ入試の定員を増やすなど、入試改革も進めてほしいものです。
大学入試の変化とともに、今後中学入試の多様化がどこまで進むのか、期待しながら見ていきたいと思います。
※数字は全て首都圏模試センター調べ
この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。