AIに負けない子の育て方 第10回

多様化する中学受験…実施校が爆増した「新タイプ入試」「英語入試」に受かるのはどんな子か

2024年の首都圏中学入試は高止まりでしたが、今後はどうなるのでしょうか。首都圏では4科2科の入試のほかに、英語入試や多様な能力を測る新タイプ入試があります。その実際を取材しました。

グループワークでは振る舞いを見て、プレゼンではとんがりを見る

では、新タイプ入試はどのように行われるのでしょうか。私がこれまで取材してきた中から、いくつかを紹介しましょう。
 
横浜市にある横浜創英中学校では、2年前からコンピテンシー入試を実施しています。コンピテンシーは、「行動特性」という意味で用いられます。

横浜創英では、プレゼンテーションとグループワークという2種類の入試を実施していますが、それぞれ全く違う行動特性を見ています。

プレゼンテーション入試は受験生1人に対して試験官2人で行われ、受験生は5分の持ち時間の中で、「(1)これまで継続して自主的に取り組んできたこと・好きなことで自分の自信につながっていること」「(2)入学後の学校生活で(1)をどのように生かしていくか」をプレゼンテーションすることが求められます。評価の観点は2つ。

1つは、自分のとんがりを自分の言葉で言語化できるか。もう1つは、それを中学入学後どう生かしていくか。自身が社会に貢献できる可能性にも触れながら、ストーリー化していく力が求められます。

一方グループワーク入試では、学校から出された資料をもとに、原因を分析し、改善のためにできることをグループで話し合い、全体の意見として発表します。

その観点は、多様な意見を尊重できるか、ミッション(目的)に戻って、チームビルディングできるか。プレゼンテーションと違って、こちらは、とんがりは必要ありません。むしろ、与えられた社会課題を解決するために,周囲に働きかける力を大事にしながら、課題に向けた具体な対応策を社会に発信する力が求められているのです。
 
今、学校教育では個別最適化と協働的な学びがキーワードとなっていますが、横浜創英ではさらに、リアルな学びを通して、社会とつながりながら社会に貢献できる人を育てようとしているので、そうした教育への適性を見ているといえるでしょう。グループワークを取り入れた授業も多いので、「こんな生徒がいてくれたら、授業が活性化するな」と想像できる子が合格しているようです。

英検をアドバンテージに、熱意を表現して合格

また、近年人気が出ているドルトン東京学園中等部では、志望理由書と面接で測る思考・表現型入試を実施しています。

今年この入試で合格したある生徒は、小学5年時から個別指導塾で算数と国語の対策を始め、ミュージカルの習い事を続けながら受験をしました。結果、2科目一般入試では不合格でしたが、思考・表現型入試で合格。

幼児期から英語も習っていて、受験時には英検準2級を取得していたので、併願校は桐朋女子中学校の「Creative English入試」を受験。こちらも合格しました。
 
体験談を聞いたところ、「小学生から遅くまで塾に通って何年も勉強しなくてはいけない中学受験には疑問を持っていたけれど、自己表現をするのが好きな子どもで、自分のやりたいことができる環境は与えたいと思っていました。それができるのはやはり中高一貫校かなと思い受験をすることにしました」とのこと。

当初は特別なことをしなくても、その時の実力で入れるところに行けたらいいと思っていたそうですが、5年生になって塾に行ってみたら、ここから4教科の準備をして一般入試を受験するのはかなり大変だと分かり、2教科だけでチャレンジすることに。

「志望校に新タイプ入試があって、それを活用できたのは本当に良かったです。結果的に、子どもにあった受験ができたと思います」と話してくれました。
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中学入試の多様化はどこまで進む?
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