どうする学校?どうなの保護者? 第16回

【PTA免除の儀式】固まる母親を見かね「もうやめませんか?」声をあげた父親に何が起きたか

入学・進級シーズンの今、PTAクラス役員決め(委員決め)のことが気になる保護者も多いのでは。みんなの前で「できない理由」を発表する「免除の儀式」を見かねて、「もうやめません?」と声を上げた、ある保護者の話を紹介します。

PTA免除の儀式、もうやめません?
PTA免除の儀式、もうやめません?
新学期を迎えるこの時期、毎年保護者、特に母親たちの心をざわつかせてきたのが「PTAクラス役員決め」(委員決め)というイベントです。
 
PTAは昔から強制加入が多く、保護者に対してよく「1クラス(または学年)から必ず○人の委員を選出する」といったノルマ・義務を課してきました。でも今は、母親も父親も関係なく忙しく、年間を通して活動する委員を引き受けられる人はそうそういません。
 
最近は徐々に見直しが進み、入会意思を確認するPTAや、「必ず○人」をやめて希望者のみで活動するPTA――ボランティア制、手上げ制、エントリー制、都度募集など――も増えているものの、やはりまだ「必ず○人」方式は多く見られます。
 
ノルマの人数を満たす希望者がいないときは、希望しない人に役があてがわれるわけですが、このとき保護者はよく「できない理由」を言わされます。事情がある人を「免除」する目的とされ、「免除の儀式(裁判)」などと呼ばれますが、実際のところよほどの事情がない限り「免除」は認められません。
 
それにそもそもPTAは義務ではないので、「免除」という発想自体がおかしいのです。変えるべきは「PTA=義務」という認識であり、本当は「できない理由」を他人に告げる必要もないでしょう。
 
いろんな事情を抱えた人がいます。「他人に言いたくない」という人もたくさんいます。取材していると「病気のことを話すのが本当につらかった」「精神疾患のことを泣きながら話した」という人にも時々出会います。だから筆者は「できない理由」を言うのをやめよう、と言ってきたのですが。
 
コロナ禍でPTA活動がストップした時期は、こういった「クラス役員決め」や「免除の儀式」の話をほとんど聞かなかったのですが、昨年度(2023年度)から復活させたPTAも多いようです。悲しく思っていたところ、ある保護者から「『免除の儀式』を取りやめてもらった」という報告が。おお、どうやったのでしょう? 教えてもらいました。 

「理由をここで」やりとりを見かねて、つい熱弁

2023年春、公立小学校に子どもが入学したタツヤさん(仮名・30代)は、初めて学級懇談会に出席しました。共働きですから、学校行事には出られるほうが出る約束です。なお、この小学校のPTAには入会届がなく、保護者は自動加入の扱いでした。
 
授業参観のあと懇談会が始まると、すぐPTAの役員さんが前に出て、委員(クラス役員)決めがスタートしました。教室にいた保護者は約20人。父親は、タツヤさんと司会の役員さんを含む4、5人で、多くは母親です。この20人から3つの委員、計5人を選ぶというのですが、PTAを初めて経験する人が多く、みんな要領を得ない様子です。
 
1つ目の委員はじゃんけんで決まり、2つ目の委員を決めるとき、ある保護者が活動日について質問しました。平日だと分かり、「仕事があるので難しい」というと、役員さんは「いや、要相談です」と答えたそう。同様のやりとりが繰り返され、この委員は決まらないまま次に進むことに。
 
学級委員を選ぶ際は「まだ委員になっていない人」が全員立たされました。1人ずつ、引き受けられるか否か、引き受けられないなら理由を言うことを求められたのです。
 
しかしみんな、引き受けられない理由は事前のアンケートに記入して提出しています。最初に発言を促された保護者がその旨を伝えると、役員さんは「それを、ここで言ってもらえますか」と答えたため、保護者は「えっ」とうろたえ、固まってしまいました。
 
「それを見て、私スイッチが入ってしまって。『ちょっと待ってもらえますか、それをここで言う必要があるんですかね』と、5分くらい熱弁してしまいました。『プライバシーの侵害にあたるんじゃないかと思いますが、どう思いますか?』って聞いたら、役員さんも『そう思います』と。
 
『でも理由を言わないと、周りの方が納得しない』とおっしゃるんですが、そもそもPTAはボランティアなのに『できない理由』は要らないでしょう。だから『もうやめにしませんか?』と言ったら、『分かりました』と言ってもらえました」 
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学級委員を引き受けたら、続いて……
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