どうする学校?どうなの保護者? 第14回

どうする? 「PTA役員のなり手が見つからない」問題……何が役員の負担となっているのか

年度末のこの時期は「来年度の後任が見つからない!」と悩んでいるPTA役員さんも多いでしょう。なり手を出やすくするため、役員さんの負担を減らす方法を考えてみました。

年度末が近づくと、PTA役員さんからよく聞かれるのが「役員のなり手が見つからない、“いい選び方”があれば教えてほしい」といったお尋ねです。来年度の後任が見つからず、自分が続投せざるを得なくなる事態は避けたい、と焦っている人も多いことでしょう。
 
でも、申し訳ないのですが、「こうすればすぐ決まる!」という選び方は、たぶんないと思うのです。
 
時々「ポイント制」というルールを採用するPTAもありますが、正直私はおすすめできません。ポイント制とは「委員や役員をやると〇ポイントもらえる。卒業までに△ポイントためる」といったルールのもと、効率よく「まだやっていない保護者にも、満遍なく活動をやらせる」仕組みのこと。
 
PTA=(保護者の)義務、という前提に立てば、ポイント制はよくできた仕組みなのですが、そもそもPTAは義務ではありません。ポイント制の存在がむしろ「義務」を強化してしまうので、PTA改革(任意に切り替える)のときも、足かせになりがちです。
どうする? PTAのなり手がいない問題
どうする? PTAのなり手がいない問題
では、どうすればいいのか? “選び方”ではありませんが、1番いいのは「役員をやりたいorやってもいい」と思えるよう、役員さんの負担を減らすことでしょう。まずは活動の見直しから始めては。
 
活動を見直す際のポイントの1つは、「去年通りやる」→「集まった人でやれることをやる」に、発想を切り替えること。これはつまり「人が集まらない活動はやらない」と腹をくくることでもあります。最初はちょっと勇気がいるでしょうが、ここさえ割り切れたら、学校内の活動は負担を減らしていけると思うのです。

役員さんの負担となりやすい学校外からの「動員」要請

ただしおそらく、役員さんの負担を減らすうえで最も難しいのは、学校外のことかもしれません。地域にもよりますが、育成会などの地域団体や自治会、P連、教育委員会などが、各校のPTAに対して「人を出してください」と求めてくる集まりや活動には、会長さんや役員さんが出ざるを得なくなりがちです。
 
こういった動員が多く、役員さんたちの負担になっている場合はどうすればいいのか? というと、PTA会長さんが「頑張って断る」しかないでしょう。「希望者が出なかったので、うちのPTAからは人を出せません、ごめんなさい」と言うこと。もちろん希望者がいるならその人に出てもらえばいいですが、希望者がいない場合はそれしかありません。
 
言うのは簡単ですが、実際断るのはなかなか大変なことでしょう。会長さん自身が参加を要請されるものは、もっと断りづらいはず。でもやはり、たぶんこれしかないと思うのです。実際、そんなふうにして役員さんの負担を減らした会長さんのお話も、何度も聞いてきました。
 
例えば、神戸市の元PTA会長・今関明子さん(『PTAのトリセツ』著者)もその1人です。この辺りのPTAは地域の団体から参加を求められる活動が多かったそうですが、今関さんは10数年前、「役員のなり手が出ず、クジ引きになることは避けたい」と思い、地域の人たちに事情を繰り返し説明しました。
 
夜間や休日の活動には集まりにくい保護者が多いこと、校内での活動に重きを置かざるを得ないことなどをはっきりと伝え、根気よく理解を求めたのです。
 
こういったとき、校長先生も加勢してくれるとよいのですが。「いやあ、いまの保護者は昔と違って、すごく忙しいんですよ」「あまりものを頼むと、いまは保護者が会を退会しちゃうので」と自治会の人などに伝えてくれると、保護者はとても助かります。逆に保護者も、校長先生が言いづらいところを言ってあげて、恩返ししたいものです。
 
なお今関さんの住む地域では、いまでは地域団体が保護者に対して直接イベントなどへの参加を募っているということです。

役員さんの人数を絞り込む、役職名を変える

以上のような役員さんの負担を減らす努力をしても、それでもどうしてもなり手が見つからない、というときは、「役員さんの人数を絞る」という手もあります。
 
これまで通りの活動を前提にすれば、「本部役員はどうしても5、6人は必要だ」と感じるかもしれませんが、ポイントはやはり「集まった人でできることをやる」に発想を切り替えること。最低1人か2人役員さんがいれば、組織の存続は可能でしょう。
 
あとは「役職名を変える」というのも一案です。例えば、PTA改革の先駆けの1つとして知られる東京都大田区立嶺町小PTOは、代表者を「(PTA)会長」でなく「(PTO)団長」に変えたそう。ちょっととっつきやすい印象です。
 
またドキュメンタリー映画『みんなの学校』で知られる大阪市立大空小学校では、サポーター(保護者を含む)の団体の代表者は「キャプテン」という名称だったと聞きました。キャプテン、これまた格好いい呼び名です。
 
ちなみに実は、役員選びで最も難しく悩ましいのは、なり手が見つからないときよりも「立候補者が現れたとき」でしょう。何しろPTAは「なり手が出ない」ことが多いので、頼まれないのに「やります」という人が現れることを想定していません。
 
そのため立候補者が出ても、現本部役員さんと方向性が異なる人物の場合は「なかったこと」にされがちです(実は筆者も経験アリ)。これも結局「本人の意思を尊重していない」ので、やりたくない人に無理やり役員をやらせるのと変わらないところがあります。
 
もし候補者が複数出た場合には、選挙をする、推薦を多く取り付けるなど、広く会員の意見を反映させるような仕組みが必要でしょう。「役員の選び方」を考える際は、そんなことも頭に置いてもらえたらと思います。

この記事の執筆者:大塚 玲子 プロフィール
ノンフィクションライター。主なテーマは「PTAなど保護者と学校の関係」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。
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