『ブルーモーメント』で“完全復帰”なるか!? 海外進出を経た「山下智久」、俳優としての魅力を徹底解説

『ブルーモーメント』で主演を務める山下智久さんについて、元テレビ局スタッフが俳優としての魅力を解説。過去に出演したドラマや映画を振り返りつつ、今後の山下さんの活躍を予測していきます。(サムネイル画像出典:『ブルーモーメント』公式Webサイト)

アイドルながら、演技派俳優として進化を遂げる

『野ブタ。をプロデュース』のヒット、さらにアイドルとして人気が高まったことで、山下さんはさまざまな作品に出演することになります。

そんな中でも転機になったのが、2006年に放送した『クロサギ』(TBS系)でしょう。この作品で演じた黒崎高志郎は、『野ブタ。』で演じた彰と全く異なる、ダークでクールな役。大ヒット漫画が原作のドラマで、詐欺師のみをターゲットにする「詐欺師」の暗躍が描かれます。
『抱いてセニョリータ』
『抱いてセニョリータ』(画像出典:Amazon
黒崎は、人の欲望や暴力が渦巻く詐欺師の世界でひょうひょうと生き抜くキャラクターで、彰とは対象的な役どころ。ドラマは高視聴率をマークし、劇場版も制作されたことで山下さんは映画初主演を達成します。主題歌の『抱いてセニョリータ』も大ヒットし、立て続けに話題作で主演を務めることになりました。

その後の快進撃はすさまじく、『プロポーズ大作戦』(フジテレビ系)では長澤まさみさんとW主演を担当し、切なくも熱いラブストーリーを熱演。『ブザー・ビート〜崖っぷちのヒーロー〜』(フジテレビ系)など、恋愛作品での正統派な演技も見事で、俳優として確固たる地位を築き上げます。

そして、いまでも山下さんの代表作に挙げるファンも多い、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』(フジテレビ系)に出会うことになります。

大ヒット作品『コード・ブルー』から続く、圧倒的な存在感

『コード・ブルー』で山下さんは、主人公の藍沢耕作をシリーズ通して担当。ドラマは大ヒットしシリーズ化され、映画『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命』は、興行収入92億円を超える大ヒットを記録しました。
『コード・ブルー』
『劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命』(画像出典:Amazon
説明不要なほどに大ヒットした『コード・ブルー』シリーズは、医療ドラマで初めて「ドクターヘリ」を題材とし、ミスが許されない救命救急の現場を描き続けました。藍沢は当初、経験を人より多く積んで早く名医になりたいという野心家で、難しい性格を感じさせるキャラクター。協調性を欠く行動もあり、どこか生意気で「自信家の嫌な奴」という印象でした。

そんな藍沢は、恩師や同僚たちとぶつかり合い、さらに患者と向き合うことで本物の医師に成長していきます。人間味があふれるようになる藍沢を、山下さんは表情や動作、セリフの強弱で見事に表現。
『コード・ブルー』
『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命 』(画像出典:Amazon
これまで例のなかった題材の作品であり、山下さんは藍沢を演じるにあたって手探り状態だったことでしょう。特に、シリーズや劇場版では藍沢が置かれている立場も変化するので、役作りも難しかったと思われます。大ヒット作品の主演という重圧もある中、常に魅力を増して藍沢を演じきったことで、若手俳優としてその演技力は高く評価されることになります。

さらに、『アルジャーノンに花束を』(TBS系)では知的発達障害のある青年、漫画原作の映画『あしたのジョー』では矢吹丈を演じ、全く設定も性格も違う役を演じます。ヒット作を期待されるプレッシャーがある中で、それぞれの役になりきれる演技を見せるのが山下さんのすごいところ。日本の映像作品において、なくてはならない俳優に成長します。
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事務所から独立後にNHKドラマで再注目
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