M世代の韓国エンタメウォッチャー・K-POPゆりこと、K-POPファンのZ世代編集者が韓国のアイドル事情や気になったニュースについてゆるっと本音で語る【K-POPゆりこの沼る韓国エンタメトーク】。韓国エンタメ初心者からベテランまで、これを読めば韓国エンタメに“沼る”こと間違いなし!
#34のテーマは「K-POPアーティストの事務所移籍問題」について。2023年末、BLACKPINKのメンバー全員が、個人活動においてはYGエンターテインメントからの独立を発表し、話題となりました。その後、SMエンターテインメントからもSUPER JUNIORやSHINeeの一部メンバーの移籍や個人事務所設立のニュースが続いています。大手事務所を離れながらも“グループ活動を続ける”という、新しいスタイルが浸透し始めている背景と理由をひも解きます。
【前回の記事「『SHINee』が常に“トップランナー”でいられる理由」(#33)はこちら】
最近目立つ「グループを続けながら、ソロは個人事務所で」というスタイル
K-POPゆりこ(以下、ゆりこ):前回は思いっきりSHINeeについて好き勝手語りまくる「オタク回」でしたが、最後に矢野さんがテミンさんとオンユさんの事務所移籍について言及されていたので、今回はK-POPアーティストの移籍問題とその背景についてお話ししていこうと思います。
編集担当・矢野(以下、矢野):2023年あたりから超有名グループのメンバーが元々いた大手事務所を離れるというニュースが目立ちます。それも必ず「グループ活動は続ける」というお約束付き。ファンとしてはホッとしますが、ではなぜ事務所を離れるのか、現実的に以前と同じようなグループ活動は可能なのか、など疑問はわきます。
【最近のK-POPグループの事務所移籍ニュース】
ジェニーが個人レーベル「ODD ATELIER」の設立を発表したことを皮切りに、リサは「LLOUD」、ジスは「BLISSOO」の設立を発表。残るロゼも個人活動についてはYGエンターテインメント(以下、YG)と再契約しておらず、今後の動向が注目されている。
・SUPER JUNIOR
「SUPER JUNIOR-D&E」としてユニット活動を繰り広げてきたドンへとウニョクは個人事務所「ODE エンターテインメント」を設立、キュヒョンは著名タレントや歌手が多く所属する「Antenna」へ移籍。
・EXO
D.O.はデビュー時からのマネージャーと共に個人事務所「Company SooSoo」を設立、ベクヒョン、シウミン、チェンの3人は独立レーベル「i&B100」でのソロ活動をスタート。
・SHINee
オンユは同級生であり元ZICOのマネージャーが設立した「GRIFFIN エンターテインメント」へ、テミンはVIVIZなどが所属する「Big Planet Madeエンターテインメント」への移籍を発表。
※上記のグループは全て活動継続、その際は前所属事務所を通じての活動となる
ゆりこ:この動きは2010年代だったら、考えられないこと。ほとんどの事務所がそう簡単には許さなかったでしょう。かつて移籍や独立をすることはイコール、グループからも脱退することでした。裁判沙汰になるケースもあり、仁義を切ってちゃんと退社したとしても、その後待っているのは茨の道。元所属会社が大手であればあるほど、メディア側の忖度(そんたく)だってなきにしもあらず。一世を風靡(ふうび)した超有名グループの元メンバーが、長らく地上派の番組に出られなくなるというケースもありました。そこは日本も同様で……(小声)。
矢野:必ずしもアーティスト本人、グループとしての本意が反映されていたというわけではないのですね。メンバーそれぞれが気持ちよく活動できれば、グループや事務所だけでなく、ファンにも好影響を与えるのではないでしょうか。もちろん事務所側の事情もあったとは思うのですが。
ゆりこ:当時の事務所としては、前例がないことにはなかなか手を出しづらかったでしょうし、K-POPアーティストに特徴的な契約形態もフレキシブルな対応を難しくした要因の1つだと思います。