ヒナタカの雑食系映画論 第79回

水ダウでも話題沸騰の“ループ”展開。伊勢谷友介出演『ペナルティループ』を含む最新ループもの映画

最新「日本のループもの映画」を6作品紹介しましょう。「ほぼ同じ内容を放送」したことで話題騒然の『水曜日のダウンタウン』(TBS系)を思わせるところもあるかもしれませんよ(※サムネイル画像出典:(C) 2023『ペナルティループ』FILM PARTNERS 配給:キノフィルムズ)

4:『MONDAYS/このタイムループ、上司に気づかせないと終わらない』(2022年)


前述した『リバー、流れないでよ』は2分間、『神回』は5分間と短い間隔でしたが、こちらのループの間隔はなんと1週間! ループからの脱出の条件はサブタイトル通り「上司に気づかせないと終わらない」という簡単そうにも思えるものなのですが、何しろこの上司は鈍感を超えてどうしようもないほどの無能っぷりを見せつけるし、それに至るまでにも社員たちはいろいろと超めんどくさいミッションを強いられるのです。

社会人として生きていれば1度は思う「毎週同じことの繰り返し」をループものとして描く、いわゆる「社畜根性」をブラックコメディー的に示した展開もあるものの、それ以上に仕事に前向きになれるメッセージを備えた直球の「お仕事映画」にもなっています。特に、転職を検討していた主人公の姿から、気づかされることは間違いなくあるはずです。

5:『カラダ探し』(2022年)


同名小説の映画化作品で、6人の高校生が夜の学校で“カラダ”を集めるミッションに強制参加させられ、無残に殺される日を何度も繰り返すことになる……という設定だけ聞くと悲惨に思えますが、初めこそ接点がなかった彼ら彼女らが、次第に信頼関係を得て共通の目的のために一蓮托生になり、時には思いっきり遊びに行ったりするなど、ホラーと並行して「この時しかない」キラキラした青春模様を描くことも大きな魅力になっていました。

もちろん、記憶を共有している“チーム”として、共に前回の失敗を生かして道を探し、知恵と勇気を振り絞り危機に立ち向かう、ループものかつエンターテインメント作品として真っ当にアツい要素があります。正直、展開はやや大味で、キラキラな青春ものに切り替わるタイミングが唐突だったりする難点はあるものの、PG12指定ギリギリのショッキングな描写も攻めていて、テンポもいいので、ホラーに興味が出てきた若者には大推薦できます。

6:『映画 プリキュアミラクルリープ みんなとの不思議な1日』(2020年)


女児向け大人気アニメの劇場版です。ループものは得てして「無限地獄」のように精神的につらい時間を描いたりもしますが、こちらはやはり子どもが見る映画なので比較的ライトな作風。71分と上映時間は短めで、登場人物それぞれがループに気づいてから早めに前向きな行動をしていますし、ループの中で人助けをする様から「プリキュアがヒーローでもあること」もしっかり描かれています。

それでいて意外な事実が明かされる驚き、とある「記憶」にまつわる誠実なメッセージ性、戦闘シーンの迫力とキレ、3つのチームとの交流と共闘が積み重なっていくファンサービスなどは、大人も存分に楽しめるでしょう。劇場公開時はコロナ禍で延期を重ねた上に興行的にもやや苦戦したやや不遇な作品でしたが、「明日への希望」にあふれた内容は(当初の公開予定のタイミングでもあった)新しい生活が始まる春の今にピッタリですよ。
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