ループものの名作はほかにも!
ここからは、ループものの名作の数々を、簡潔かつ一挙に紹介していきましょう。・『隔たる世界の2人』(配信開始2021年)……Netflix配信の短編映画で、実際に起こった「ジョージ・フロイド氏暴行死事件」を元にしており、白人警官に殺される恐怖が何度も繰り返されます。
・『コンティニュー』(2021年)……ケレン味のあるバイオレンスアクションが展開するエンタメ性抜群の内容で、ブラックな笑いと意外な感動も待ち受けています。
・『パーム・スプリングス』(2021年)……妹の結婚式でタイムループに巻き込まれた女性が、半ばヤケになりつつ「同じ世界」にいるやさぐれ男と恋をするラブコメディーです。
・『ハッピー・デス・デイ』2部作(2019年)……殺人鬼ものとループものを組み合わせた設定で日本でも一部で強い支持を得ました。2作目『2U』ではさらなる予想の斜め上の展開も?
・『ネイキッド』(配信開始2017年)……Netflix配信の長編映画で、ループのスタート位置は「結婚式直前に裸のままエレベーター内にいる」いい意味で最悪なものです。
・『ビフォア・アイ・フォール』(配信開始2017年)……Netflix配信の長編映画で、はぐれ者の女の子をいじめている主人公の女子高生が、自身の行いを悔い改める過程が描かれた青春劇です。
・『三尺魂』(2018年)……ネットで知り合った4人の男女が花火玉を爆発させて集団自殺をしようとするも時間が巻き戻る、ネガティブな状況に反してコミカルな場面も多い内容です。
・『パラドクス』(2016年)……いい意味で気分が悪くなる生き地獄のようなシチュエーションと「世界の真実」が描かれます。漫画『チェンソーマン』(集英社)の「永遠の悪魔編」の元ネタにもなりました。
・『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』(2015年)……1980年代のB級ホラー映画の中に閉じ込められた! というあらすじのホラーコメディーで、「ホラー映画あるある」をイジったギャグも盛りだくさんでした。
・『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(2014年)……日本の小説を原作としたハリウッド大作。トム・クルーズがループを重ねて翻弄(ほんろう)されつつも強くなっていく過程はかなりブラックコメディー的です。
・『ミッション: 8ミニッツ』(2011年)……見知らぬ通勤列車で目を覚まし、8分後に大爆発を起こして乗客が全員死亡するシチュエーションを何度も繰り返します。
・『トライアングル』(2011年)……ヨットセーリング中に嵐に襲われた男女が大型客船に命からがら乗り込むとまさかの事態が……画は刺激的で、状況はループものの中でもかなり過酷です。
・『恋はデジャ・ブ』(1993年)……自尊心が強く底意地も悪い天気予報官がループを繰り返す中で絶望的な心境に陥るも、やがて希望も見つけていく、ループもの映画の代名詞的な名作です。
・『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』(1984年)……学園祭の前日を繰り返し、やがて世界が崩壊する様を描く、押井守監督の代表作。2024年2月よりAmazonプライムビデオやU-NEXTなどで見放題配信がスタートしました。
さらに、近年の漫画作品では『サイケまたしても』(小学館)、『サマータイムレンダ』 (集英社)、『運命の巻戻士』(小学館)も人気を博しています。
ループものでよく思い知らされるのは「積み重ね」
こうしたループものでよく思い知らされるのは「積み重ね」の大切さ。同じ時間を繰り返すと、(特に前のループの記憶を共有していない他者との)積み重ねはリセットされてしまうため、その悲哀が笑えるコメディーにも、はたまた絶望につながる心理サスペンスにも昇華されているのです。それらをもって、ループものは現実における明日に向けて成長していく喜びを逆説的に得られることが多いのですが、殺人というこの世で最も許されざる行為を繰り返す『ペナルティループ』の劇中で明かされる「ループの理由」は、それとはいい意味で正反対かつ表裏一体なものだったりします。そこからも、ぜひ反面教師的な学びを得てみてほしいです。
この記事の筆者:ヒナタカ プロフィール
All About 映画ガイド。雑食系映画ライターとして「ねとらぼ」「CINEMAS+」「女子SPA!」など複数のメディアで執筆中。作品の解説や考察、特定のジャンルのまとめ記事を担当。2022年「All About Red Ball Award」のNEWS部門を受賞。