不同意性交罪の成立の裏で「示談金ビジネスが横行しそう」
不同意性交罪の成立によって、過去の性行為に関し「同意がなかった」と訴える女性の声が増えている。不同意性交罪を訴えるケースは、マッチングアプリやSNS経由で出会った男女にも多く見られている。「ホテルに入る=性的同意ではない」と語る女性。「同意はあったと思っていた」と語る男性。出会ってから時間がたっておらず、関係が希薄な状態で、肉体関係を結ぶケースからトラブルに発展することも多い。
別の記事にて、「性的同意がある・なしの基準は難しい」と語る男性のケースを紹介したが、同様に「同意あり・なしの判断が難しい」と混乱する意見はSNS上にあふれている。
さらにそこから派生して、今回の動画のケースのように「あとで『あれは同意がなかった』と言って男性を脅す示談金ビジネスが横行しそう」「面倒ごとになるくらいなら金払って終わりにしたい」「もう怖くて恋愛できないや」といった男性の本音も見られるようになった。
もし金銭を請求されたら、どうすればいいのか
インターネットを介した男女の出会いが主流になった現代の恋愛。もし動画のようなケースに直面した時、どのようなことに気を付ければよいのだろうか。尾崎弁護士「そもそも示談というのは、示談金を支払う代わりに被害者が加害者を許すということ。裁判でも示談書が証拠として提出されます。しかし本人同士のやりとりで、法的に有効な示談書も作らないまま示談金を支払っても、また再び脅されるリスクが残るでしょう。美人局の場合は言わずもがなです。金銭を請求された場合には、警察や弁護士など、適切な専門家に相談することが重要です」
前述したケースで30万円を支払った男性のように「面倒ごとになるくらいなら」といった気持ちで、お金を払って解決しようとする人もいるだろう。しかし法的に有効な示談書でない限り、再び脅されるリスクがついて回る可能性がある。
きれいに別れられる男女関係は少ない。その時は「してもいい」と思っていても、別れた後に「なんであんな人と……」と思うこともあるだろう。その時、「言ったもの勝ち」の構図が蔓延するような事態は避けたいものだ。
この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。
取材協力:尾崎聖弥 プロフィール
第一東京弁護士会。エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク所属。企業に対するコンプライアンス研修などを担当している。