
今回は「エッセイ」と「コラム」の違いなど、違いの分かる人になれるエッセイの豆知識をご紹介します。
「エッセイ」と「essay」の違い
「エッセイ」と「essay」は、どちらも語源はフランス語の「essai(試み・試論)」ですが、日本語の「エッセイ」と欧米の「essay」は、意味が違います。「エッセイ」は、特定の話題に対して定型のない自由な文体で書かれた主観的な文章のことです。
一方の「essay」は、ある主題に対して「導入・本論・結論」のように論理的に構成された説得力のある小論文のことです。
「エッセイ」と「随筆」の違い
「エッセイ」と「随筆」は、同じ意味で使われる場合も多いですが、起源をさかのぼると少し意味合いが違います。「エッセイ」は、フランスの思想家であるモンテーニュが1580年に刊行した『エセー(Les Essais)』に由来しています。
モンテーニュは、多様性があって移り変わりやすいものである人間を率直に記述するために、論文のような体系だった文章にせず、思ったことをそのまま書く自由で断続的な形式の文章を選択しました。
一方の「随筆」は、10世紀末に書かれた清少納言の『枕草子』が起源とされ、作者自身が宮仕え生活で体験して感じたことが書きつづられています。
どちらも自由な文体で書かれた主観的な文章という点は同じですが、「エッセイ」は内面の表現に重きを置くもので、「随筆」は書き手の体験・知識に対する着想・思索をつづるものという違いがあります。
「エッセイ」と「コラム」の違い
「エッセイ」と「コラム」も違いがあります。「コラム」とは、新聞や雑誌などのメディアにおける、ニュースや話題に対して個人の見解や意見を論じた短い評論・論説のこと。「囲み記事」とも呼ばれます。
円柱や縦列を意味する「column」が語源で、1751年にイギリスの新聞に掲載された最初のコラムが縦組みを罫線で囲ったものだったことから、こう呼ばれるようになりました。
メディアに掲載されることを前提としていること、また随筆と同じく、内面の表現ではなく物事に対する見解を論ずることがエッセイとの違いです。
SNSの普及で短い文章は書き慣れていても、意外と書く機会のないエッセイ。この機会に、自身のブログなどに書いてみてはいかがでしょうか。
この記事の筆者:石川 カズキ
1984年沖縄県生まれ。筑波大学人間学類卒業後、会社員を経て芸人・作家・コピーライターに。エレキコミック・ラーメンズを輩出した芸能事務所トゥインクル・コーポレーション所属。第60回宣伝会議賞コピーゴールド受賞、LOFT公式YouTubeチャンネル『コントするイシカワくん』シリーズのコント台本・出演、KNBラジオCMコンテスト2020・2023協賛社賞受賞など。お仕事あればお気軽にご連絡ください。AIから仕事を奪うのが目標です。