リードタイムの意味とは? 短縮方法や種類、「納期」との違いを解説

リードタイムの正しい意味を現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。調達リードタイムや生産リードタイムなどの意味や納期との違いをまとめています。リードタイムを短縮するコツも紹介しているのでぜひ参考にしてください。

リードタイムの意味とは? 短縮方法や種類、「納期」との違いを解説
リードタイムの意味とは? 短縮方法や種類、「納期」との違いを解説

ビジネスシーンで耳にすることがある「リードタイム」という言葉。実はいくつかの種類に分かれていて、それぞれ違う意味を持っています。本記事では4種類のリードタイムの意味を、現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。リードタイムを短縮するメリットや方法や、その際の注意点もまとめているのでぜひ参考にしてください。

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<目次>
「リードタイム」の意味とは
「リードタイム」と「納期」の違い
ビジネスシーンにおける「リードタイム」の種類
「リードタイム」を短縮するメリット
「リードタイム」を短縮する方法
「リードタイム」と混同しやすい言葉
まとめ

「リードタイム」の意味とは

タスクやプロジェクトに着手してから、完成するまでの「所要時間」のことをリードタイム(lead time)と呼びます。ビジネスシーンでは、製造や出荷、納品が終わるまでにかかる時間を指す場合が多く、物流や製造業界でよく用いられる単語です。

「リードタイム」と「納期」の違い

納期は具体的な日にちが決まっていることがほとんどですが、リードタイムには通常、日付の指定はありません。商品を届けるまでの日にちを表す際には、リードタイムの場合「〇〇日間を要する」という表記、納期の場合は「〇〇日頃の到着」となります。

ビジネスシーンにおける「リードタイム」の種類

ビジネスシーンで使うリードタイムには、主に以下4種類があげられます。

・開発リードタイム
「開発リードタイム」とは、製品の企画から設計、試作などの工程にかかる期間のことです。流行の変化が激しい現代においては、いかに開発リードタイムを短くできるかが課題の1つと言えます。

・調達リードタイム
製造に必要な材料を集めるのにかかる時間のことを「調達リードタイム」と呼びます。仕入れ先との交渉期間や、製造工場まで搬入する時間も全て含まれます。材料の種類が多い場合、調達に長い時間がかかることが多いでしょう。

・生産リードタイム
調達した材料を使って製造をはじめたタイミングから、出荷される日までの期間が「生産リードタイム」です。実際に機械などで製造作業を行っている時間数だけではなく、工場に滞留している日数も生産リードタイムに含めます。

・物流リードタイム
「物流リードタイム」または、輸送/配送リードタイムとは、製品を荷積みしてから納品先に到着するまでにかかる時間のことです。相手先に早く荷物が届いたほうが良いという側面はあるものの、トラックの走行事情(渋滞やドライバーの労働環境など)にも配慮する必要があります。

「リードタイム」を短縮するメリット

リードタイムを短縮することで得られるメリットには、主に以下の3点があげられます。

・在庫管理コストを減らせる
リードタイムを短くすることで、在庫管理にかかるコストの削減が可能です。出荷の回転率が上がると、倉庫や工場の収納スペースが節約できる点もメリットと言えるでしょう。過剰在庫は製品の劣化につながることもあるため、できるだけ素早い出荷サイクルを作ることが必要とされます。

・収益性の向上
短いリードタイムで製品を世に出せるようになると、会社の収益性がアップしやすくなります。時間がかかるほど、人件費や管理費などさまざまなコストがかかるためです。また素早く製品をさばくことで、事業全体のキャッシュフローも良くなる可能性があるでしょう。

・顧客対応力を高める
リードタイムを短くすることは、顧客満足度アップに寄与します。必要なタイミングで迅速に製品が届く環境は、顧客にとっても大きなメリットです。満足度をあげることで、発注を継続してもらえる可能性もあります。迅速に対応できる環境を作ることで、ビジネスチャンスを逃しにくくなるでしょう。

「リードタイム」を短縮する方法

ここでは、リードタイムを短縮する方法を解説します。

・顕在的なニーズを持ったユーザーにアプローチする
顧客の顕在的ニーズを把握することで、結果としてリードタイムを短縮できることがあります。なぜなら、顧客が明確に欲しいと思っているものを製造すれば、すぐに受注が決まり生産ラインを整えられるからです。ゴールを見据えた動きを意識することで、リードタイムを短くすることがかなうでしょう。

・業務内容の無駄な部分を洗い出す
リードタイムの短縮には、業務効率化が欠かせません。作業工程を見直し、無駄な部分がないかを見直すことが重要です。特に手作業で行っている業務は、より効率的に進める方法がないか、検討してみるとよいでしょう。ただし、リードタイム短縮に注力しすぎると、現場の作業員に負荷がかかりすぎてしまうことがあります。品質を下げずに、安全に作業できる状態を確保しておくことが大切です。

・プロセスを見直し最適化する
企画や設計、出荷などの各プロセスで、どの工程に多くの時間がかかっているか確認してみてください。工程を進めるにあたり、ネックになっていることがあれば改善策を見つける必要があります。また、リードタイムを短縮するために、デジタル化は避けて通れません。受注や出荷、在庫管理など、多くの部分をデジタルで管理できるようにすることでコストカットも実現できるでしょう。

「リードタイム」と混同しやすい言葉

リードタイムと混同しやすい3つの言葉を解説します。

・タクトタイム
タクトタイムまたはピッチタイムとは、1つの製品が完成するまでに必要な時間のことです。例えば1万個を1カ月以内に納品してほしいと注文があった場合、工場の稼働時間から逆算して、1個あたり何秒が必要なのかを把握するための数値です。タクトタイムを正しく計算することで、期間内に何個の商品を仕上げられるのか把握できるようになります。

・サイクルタイム
サイクルタイムとは、1製品あたりにかかる作業時間のことで、材料をセットするところから検品までの全ての時間を指します。サイクルタイムを短縮するためには、製造の各工程の中で、どこに、どれだけの時間を要しているか明確にすることが肝心です。

例えば「準備5分」「機械稼働3分」「検品20分」といった形で、それぞれの工程にかかる時間を割り出します。この例では検品時間の割合が多いと分かるため、何らかの改善策を検討できます。サイクルタイムが崩れると、タクトタイムで割り出した納品可能個数の製造が間に合わなくなるおそれがあるため、定期的に進捗(しんちょく)確認する必要があるでしょう。

・スタンダードタイム
スタンダードタイムとは、工場における「作業標準時間」のことで「作業時間」と「余裕時間」で構成されるのが一般的です。余裕時間とは引き継ぎや連絡、休憩など、作業が一時休止となる時間です。余白の時間が組み込まれていないと、急なトラブルが発生した際に対応できなくなってしまいます。時間に多少の余裕を持たせつつ、作業をできるだけ効率的に進めるため、基準となるスタンダードタイムを設定する必要があるのです。

まとめ

リードタイムは物流業界や製造の現場でよく利用される言葉ですが、一般企業においても無関係ではありません。製品がどのくらいで完成し、いつ届くのかといった情報は関連する企業にとっても事業に関わる重要な内容です。

リードタイムの短縮は企業の収益アップにつながるものの、それによってしわ寄せがきてしまう人がいることもあわせて把握しておかなければなりません。リードタイムの適正化は、企業にとって大きな課題であることを理解しておきましょう。

■執筆者プロフィール
新保友映
新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティをはじめ、『ニッポン放送ショウアップナイター』やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。
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