主に営業担当者がよく使う「クロージング」という言葉。日常でも耳にしたことがあるものの、具体的な意味がよく分からないという人もいます。本記事ではクロージングの意味や使い方を、現役フリーアナウンサーの新保友映が解説します。クロージングのテクニックの紹介や成約のコツなどもまとめているのでぜひ参考にしてください。
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<目次>
・「クロージング」の意味とは
・クロージングのタイミングと役割
・クロージングを成功させるコツ・ポイント
・オンライン商談におけるクロージングのコツ・ポイント
・クロージングにおける代表的なテクニック
・ビジネスマナーとして気を付けたいクロージングの注意点
・まとめ
「クロージング」の意味とは
クロージングは、使う業界やシーンによって異なる意味になります。以下では3つの意味を紹介します。・契約
営業の場でよく使用されるクロージングとは「成約を得るための最後の一押し」のことです。なにか1つのアクションだけではなく、成約に導くためのプロセス全体や、契約そのものを指すこともあります。
・終了
英語の「close」と同じ意味で「閉まる」「終了」という意味で使用されることもあります。
・洋服
英語の「clothing」は衣類という意味で、アパレル業界では洋服のことをクロージングと呼ぶことがあります。
クロージングのタイミングと役割
クロージングのタイミングと役割を3つのステップで解説します。・テストクロージング
仮クロージングとも呼ばれる「テストクロージング」は、最終段階に進む前に顧客の疑問や不安を解消するためのものです。商談の最中に「ここまでで気になる点はありませんか?」などの声かけをして、顧客の反応を伺います。
・クロージング
テストクロージングで前向きな購入や契約の言葉をもらえたら、最終的な意思決定の確認に入ります。最終的な契約締結にスムーズに進めるよう、具体的なプランや料金を分かりやすく提示するとよいでしょう。
・契約締結
相手が購入を決めたら、契約の手続きを行います。間違いのないように、サービスや商品の料金や納期などの条件を双方で確認しながら契約を締結させます。クロージングの担当者は、契約に関わる手順や書類を把握しておき、スマートに手続きを行えるようにしましょう。
クロージングを成功させるコツ・ポイント
クロージングを成功させるには、いくつかのポイントがあります。まずは、その商品やサービスが相手にとって必要である理由を明確にすることが肝心です。自分にとって本当に必要な内容だと理解できれば、成約率が上がりやすくなるでしょう。また、適切なタイミングで提案することや、相手を不安にさせない気遣いも欠かせません。顧客やクライアント側から見て少しでも気になる点があれば、購入の意思がそがれてしまうことがあるからです。クロージングにはさまざまなテクニックがあるため、自社の先輩に聞いたり書籍などで学んだりするのもよいでしょう。
オンライン商談におけるクロージングのコツ・ポイント
リモートツールを使ってのクロージングは、実際に対面する場合に比べて注意すべきポイントが少し変わります。基本的なクロージングの概念は同じですが、オンライン商談の場合は普段よりも大きなリアクションで対応するとよいでしょう。パソコンの画面越しでは思いが伝わりにくいことも多いため、相手に声がよく届くようにハキハキと話すことを意識してみてください。また、オンライン商談の場合は、比較的スピーディーな進行が好まれます。できるだけ端的に結論を述べ、ストレスのない商談になるよう心がけましょう。
クロージングにおける代表的なテクニック
クロージングで使えるテクニックを5つ紹介します。クロージングの手法は多岐にわたるため、以下で紹介したもの以外にも、数多くのテクニックが存在します。・タイミング・クローズ
タイミングに重点をおいて、クロージングをかける手法です。商品に高い興味を示している時期を見計らってアプローチすることで、成約率を上げます。
・ポジション・クローズ
ポジションとは立場のことです。商品やサービスを購入したあとどのような立場になれるかをメリットとして伝えるクロージング方法です。例えば「会員制の〇〇サロンに加入すれば、貴社の信頼性も上がります」など、購入したあとの未来像をイメージさせます。
・サマリー・クローズ
顧客のニーズを分かりやすくまとめて可視化し、提案内容を再度確認してもらうクロージング方法です。特徴や利点を1つずつ確認することで、自社にとって必要であるか判断しやすくなります。
・アルターナティブ・クローズ
アルターナティブ・クローズは、顧客に複数の選択肢を与えて、その中から選んでもらう方法です。「AかBのどちらが良いか?」と問われると「どちらかを選ぼう」という心理が働きやすくなります。
・アップセル・クローズ
すでに購入を決めている顧客に、追加で注文を促すクロージング方法です。1件あたりの顧客単価を上げることで、利益増加につながります。
ビジネスマナーとして気を付けたいクロージングの注意点
クロージングをする際に覚えておきたい注意点を解説します。・テクニックにこだわりすぎない
クロージングのテクニックを調べると、非常に多くの手法が見つかるでしょう。しかし、クロージングで大事なことは、テクニックの名前や方法を覚えることではありません。〇〇法、といった手法にはこだわらず、自分の特性を生かせる営業方法を身につけるとよいでしょう。
・顧客の視点に立つこと
クロージングは「売りつけること」ではありません。常に顧客の視点に立って考え、本当に必要な商品やサービスを届けることが重要です。もしその場で成約に至らなかったとしても、信頼関係を築いていればまた別の機会が訪れるかもしれません。目先の利益だけにとらわれず、顧客ファーストの気持ちを大切にしましょう。
まとめ
営業マンにとってクロージングは重要な業務の1つです。クロージングの意味や方法、注意点を把握し仕事に生かしましょう。クロージングを成功させるためには、前段階で顧客との信頼関係を築くことが欠かせません。日頃から、顧客と有効な関係を保つ努力をしておくとよいでしょう。■執筆者プロフィール 新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。『オールナイトニッポンGOLD』のパーソナリティをはじめ、『ニッポン放送ショウアップナイター』やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。