クライアントの意味とは? ビジネスシーンでの使い方や関連用語を解説

ビジネスシーンで使われるクライアントとは、顧客や取引先といった意味合いですが、業種や分野によっては異なる意味を持つこともあります。シーン別のクライアントの意味、正しい使い方、類語などについて解説します。

クライアントとは
クライアントの意味や使い方を解説

ビジネスシーンでは「クライアント」というワードを頻繁に耳にします。一般的には顧客や取引先のことを指して使われる言葉ですが、業種や分野が変わると「クライアント」が指すものも変わってくることがあるため、それぞれの意味をよく理解しておきたいものです。本記事では、現役フリーアナウンサーの酒井千佳が「クライアント」の意味やビジネスシーンにおける使い方などについて解説します。

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<目次>
「クライアント」の意味とは
ビジネスシーンで「クライアント」の使い方と例文
「クライアント」の類語用語
まとめ

「クライアント」の意味とは

ビジネスシーンにおいて「クライアント」とは、顧客、取引先、得意先といった意味合いで使われています。由来となる英単語「client」には、顧客や依頼人といった意味があります。サービスを提供する側とされる側に分けたとき、企業や個人といった規模にかかわらず「される側」がクライアントに当たります。

自分が企業に属している場合は相手企業やその担当者がクライアントとなり、場合によっては相手企業そのものを「クライアント企業」と呼ぶこともあります。また、弁護士や会計士などいわゆる「士業」に就いている側からすると、依頼人や相談者がクライアントです。

特殊なケースが、IT業界における「クライアント」の使い方です。IT業界では、サービスやデータなど「情報を受け取る側」となるコンピューターやソフトウェアが「クライアント」となります。分かりやすく言うと、例えば知りたい情報についてインターネットで検索した際、内部ではWebブラウザからサーバに「このページが見たい」と依頼した状態となっています。それに対しサーバが必要な情報をWebブラウザに提供し、検索結果としてコンピューターの画面に表示されることで、見たかったページに到達することができます。つまり、欲しいデータを伝え、そのデータを「提供された」コンピューターやソフトウェアがクライアントとなるのです。

一口に「クライアント」といってもさまざまな使い方があり混乱しがちですが、原則として「サービスを受け取る側」がクライアントだと考えておくと分かりやすいでしょう。

ビジネスシーンで「クライアント」の使い方と例文

クライアントの概要について解説しましたが、こちらではビジネスシーンにおける「クライアント」という言葉の使い方について、例文を用いて具体的に解説します。誤った使い方で恥ずかしい思いをすることがないように、ここで正しい使い方をマスターしておきましょう。

・「クライアントとアポを取る」
取引先や依頼人と会う約束を取り付けることを「クライアントとアポを取る」と表現します。アポは「アポイントメント」の略で面会や会合といった意味で使われており、「アポを取る」というのは「面会をする」という意味になりますが、ビジネスシーンにおいては「打ち合わせをする」「会議を行う」といった広義の意味合いで使われるのが一般的です。

ビジネスシーンでは、取引先や依頼人と打ち合わせや会議をしたいとき、必ず相手の予定を聞き、それに合わせてスケジュールを立てなければなりません。そんなときに最適なのが「クライアントとアポを取る」という言い回しなのです。あくまでも、クライアントが指すのは「外部の人間」であるため、上司も一緒に会議に参加する場合は先に社内で話をまとめたうえで、クライアントとのアポ取りを行います。一方、自分1人でアポを取る場合は、上司に「これからクライアントにアポ取りしてきます」などと報告するといいでしょう。

・「クライアントからの信頼を得る」
弁護士や会計士など依頼人を相手にする業種では、いかに依頼人から信頼されるかということが重要になります。小さな相談から大きな相談まで、全ての案件においてクライアントとの信頼関係が基礎と言っても過言ではないでしょう。そうした場合に「クライアントからの信頼を得る」という使い方をします。もちろん士業でなくとも、例えば企業がプロジェクトを成功させるためには、取引先や協賛会社の信頼を得ることが前提であるため、「クライアントから信頼を得る」というのはビジネスシーンで頻繁に使われている表現といえます。

「クライアント」の類語用語

ここまで、ビジネスシーンにおける「クライアント」の意味や使い方について解説してきましたが、先述した通り「クライアント」は業種や分野によって異なる意味を持ちます。こちらでは、ビジネスシーン以外での「クライアント」の意味や、混乱しやすい似た言葉について解説します。

・カスタマー
製品やサービスを提供する企業などでよく使われている「カスタマー」という言葉も、クライアントと似た意味合いを持っています。ただし、ビジネスシーンでの取引先や依頼人といった堅苦しい考え方ではなく、自社製品を購入、あるいはサービスを契約してくれた「顧客」、さらにカジュアルに言えば「お客さん」といったニュアンスです。クライアントというと長く付き合いのある取引先や依頼人をイメージするのに対し、カスタマーはあくまでも製品やサービスを購入ないし契約した「一般顧客」を指すと考えておくと分かりやすいでしょう。

・ユーザー
「ユーザー」は先にご紹介したカスタマーとほぼ同義で、こちらも顧客やお客さんのことを指しています。「使用(利用)する=use」に由来する言葉で、「iPhoneユーザー」「ユーザー登録」など、皆さんも日常的に耳にしているでしょう。場面によってはカスタマーと全く同じ意味合いで使われていることも少なくありませんが、厳密に言えば、カスタマーの対象は製品の購入者やサービスの契約者全般、ユーザーの対象は実際に製品やサービスを使っている個人であり、前者はより広範囲を、後者はより特定された顧客を指しているイメージです。

・コンシューマ
「消費者」を指す「コンシューマ」という言葉も、クライアントの類語として使われています。カスタマーが自社製品やサービスを使うために「代金を支払った人」を指すのに対し、コンシューマは購入したか否かに関係なく「最終的に製品やサービスを利用する人」を指します。意味合いとしては「ユーザー」と非常によく似ていますが、あくまでもユーザーは「使用者」であり、モニターやテストとして一時的に製品やサービスを使っている人も含みます。

一方、コンシューマは「自分のために製品やサービスを消費する人」のことを指し、その人が最終的な消費者となるため、その後それらの製品が流通の流れに乗ることはありません。

・患者
ビジネスシーン以外で、頻繁に「クライアント」という言葉を使うのが医療業界です。医療業界では、医師と患者の関係において患者が「クライアント」となります。本来、患者は英語で「patient(ペイシェント)」となりますが、疾患やケガなど重傷を負った状態というイメージが強く、現場では「相談者」といった意味合いで「クライアント」という表現が多く使われています。

一方、医療従事者に対し常識範囲外の対応を求めたり、理不尽な要求、ときに暴言や暴力を繰り返したりする患者を「モンスターペイシェント」と呼びます。「モンスタークライアント」とは言わないので、その点には注意しましょう。

まとめ

今回は「クライアント」の意味やビジネスシーンにおける正しい使い方、よく似た言葉について解説しました。ビジネスシーンでは「クライアント」は顧客や取引先、依頼人といった意味で使われており、あくまでも社外においてサービスを「提供される側」を指す言葉です。ただし、IT業界では「情報を受け取る」コンピューターやソフトウェアがクライアントになるため、その点には注意しておきましょう。

また、業種や分野によっては、クライアントと似た意味で、違う言葉が使われることもあります。使い分けが難しいときには、「お客様」「患者様」といった言い回しでカバーできるので、その場に適した表現をできる知識を身に着けましょう。

■執筆者プロフィール
酒井千佳
酒井 千佳(さかい ちか)
フリーキャスター、気象予報士、保育士。
京都大学 工学部建築学科卒業。北陸放送アナウンサー、テレビ大阪アナウンサーを経て2012年よりフリーキャスターに。NHK『おはよう日本』、フジテレビ『Live news it』、読売テレビ『ミヤネ屋』などで気象キャスターを務めた。現在は株式会社トウキト代表として陶芸の普及に努めているほか、2歳からの空の教室「そらり」を主宰、子どもの防災教育にも携わっている。
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