地上21メートルの高さにある敦賀駅ホーム
北陸トンネルに続いて短いトンネルをくぐり抜けると終点の敦賀駅だ。ホームは地上21メートルの高さにあり、ビルの7階くらいに相当する。ホームにある待合室は白くて他では見ないスタイルだが、船をモチーフとしたデザイン、床も木目調のタイルで仕上げている。これは船の甲板をほうふつとさせる。港として栄えた敦賀にふさわしい。 ホームが駅の3階部分で2階に降りるとコンコースが広がっている。天井全体を北前船の帆をイメージした浮遊感のあるデザインとし、スケールの大きな空間だ。長さ200メートルほどのコンコースは新幹線の駅としては最大だとか。外観は自然豊かな敦賀湾の波のきらめきを表わし、中央の屋根はユリカモメが飛翔する姿をイメージしているとのことだ。 1階に在来線の特急列車「サンダーバード」「しらさぎ」が発着するホームができ、上下の移動で乗り換えができるようになる。しかし、乗り換え時間は標準8分と公表されているが、混雑するとどうなるのか、ちょっと心配である。JR九州の武雄温泉駅のように新幹線と在来線の乗り換えを対面でできるようにならなかったのは、さまざまな事情があるとはいえ残念だ。
面倒な乗り換えが懸念材料
大阪と福井間の所要時間は、大阪~敦賀=1時間30分、敦賀~福井=17分~21分で乗り換え時間を入れて2時間弱。現行の「サンダーバード」は、大阪~福井=2時間弱となりほとんど同じである。一方、大阪~富山は、現行は金沢で乗り換えとなり3時間4分、敦賀乗り換えとなると2時間35分で30分ほど短縮となる。関西方面からは、一刻も早い北陸新幹線全通を望む声が高まるであろう。
首都圏からは、乗り換えなしに福井や敦賀に行けるだけに、利便性は大幅に向上する。東京~福井は、東海道新幹線で米原まで行って「しらさぎ」に乗り換えていた人も北陸新幹線に移行するのではないだろうか。北陸新幹線延伸の恩恵は、首都圏在住者には多大なるものがあるといえるであろう。
取材協力=JR西日本
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。