2つの温泉駅を経て、福井へ
今回の延伸に合わせて開業する加賀温泉駅と芦原温泉駅の間は、加賀トンネル(5463メートル)と柿原トンネル(2530メートル)という長大トンネルが2つあるので、大して車窓を眺めないうちに過ぎてしまう。温泉と名が付く新幹線の駅は、北陸新幹線の黒部宇奈月温泉駅のみ(在来線を走る山形新幹線を含めれば、かみのやま温泉駅も)だったが、2022年9月に西九州新幹線が開業すると武雄温泉駅と嬉野温泉駅の2つが誕生し、今回の2つの温泉駅誕生で、ずいぶんにぎやかになった。新幹線を使って温泉旅行をするのもトレンドとなりそうだ。
芦原温泉駅と福井駅の間には、九頭竜川橋梁(きょうりょう)がある。新幹線の複線の線路の両側を県道が走り、一体構造となった大変珍しい橋だ。
どんな風景が眺められるのか、どのような写真が撮れるのか期待していたのだが、列車のスピードが速すぎて、あっという間に通過してシャッターチャンスを逃してしまった。現地の高いところから俯瞰するのでなければはっきりとは分からないようだ。 福井駅は県庁所在地の駅なのに、新幹線の駅は島式ホームの両側に上下線があるだけの小さな駅で意外だった。新幹線のほとんどの駅は2面4線、あるいはそれ以上の規模の駅ばかりなので、余計にコンパクトさが際立つ。東海道新幹線の三島駅も1面2線だが、両側に通過線があるので、福井駅よりは規模が大きい。
在来線とえちぜん鉄道に挟まれた狭いスペースしかなかったので、やむを得ずこのようなコンパクトな駅になったそうだ。
長大な新北陸トンネルを抜け、終点・敦賀へ
福井駅を出ると、しばらくは平地を進むものの次第に山並みが近づいてくる。トンネルを2つくぐると越前たけふ駅。在来線とは接続していない。北陸自動車道の武生ICの近くで、北陸本線武生駅とは3キロほど離れている。ちなみに、福井鉄道に越前武生駅があり、読み方が同じなので混乱するのではないかと懸念が生じ、福井鉄道の越前武生駅は、2023年2月に「たけふ新駅」に改称している。
越前たけふ駅から先は山岳地帯になる。そして今回の延伸開業区間では最長の新北陸トンネル(19760メートル)に突入する。在来線の北陸トンネル(13870メートル)(在来線の陸上鉄道トンネルとしては日本最長)の1.5倍近い長さだが、5分ほどで通り抜ける。それでも、今回の区間には新北陸トンネル以外は長大トンネルがほとんどなかったせいで、ずいぶん長い間暗闇の中を走っているような気がした。