マイルストーンの意味とは? ビジネスでの設定方法や使い方、例文、スケジュールとの違いを解説

「マイルストーン」という言葉を聞いたことがあるけれど、詳しい意味がよく分からないという人もいるでしょう。今回はマイルストーンの例文や類語、設定の際の注意点などをフリーアナウンサーの新保友映が詳しく解説します。

マイルストーンの意味とは? ビジネスでの設定方法や使い方、例文、スケジュールとの違いを解説
マイルストーンの意味とは? ビジネスでの設定方法や使い方、例文、スケジュールとの違いを解説

「マイルストーン」という言葉を聞いたことがあるけれど、詳しい意味はよく分からないという人もいるでしょう。ビジネスシーンにおいてよく使われる言葉のため、概要や設定方法を覚えておくと便利です。

マイルストーンの例文や類語、設定の際の注意点などをフリーアナウンサーの新保友映が詳しく解説します。

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<目次>
マイルストーンの意味とは?
マイルストーンがビジネスで重要な理由・メリット
ビジネスシーンにおけるマイルストーンの使い方・例文
マイルストーンと混同しやすい用語・類語
マイルストーンとWBSの関係性
マイルストーンの設定基準
マイルストーン設定の手順・書き方
マイルストーン設定の注意点
まとめ

マイルストーンの意味とは?

ビジネスシーンにおける「マイルストーン」の意味とは、目標までたどり着く際の道のりにある「中間目標地点」のことです。2つの言葉を合わせた造語で、英語表記では以下のように表します。

・mile(マイル)=距離
・stone(ストーン)=石


なぜ「石」なのかというと、道の距離を確認するための標識(石)が、道路上に一定間隔で並べられていたことが由来だといわれています。古代ローマ帝国においては、1ローマ・マイルが約1000歩分と決められていたそうで、その距離間隔に合わせて目印となる石を設置していました。

道路わきの石をいくつ通過したかを把握することで、自分がどの程度前進したのかを確認できるようになっています。ビジネスにおけるマイルストーンもおおむね同じニュアンスで「石=目標」となり、目標達成までの進捗(しんちょく)スケジュールを管理するために使われます。

マイルストーンがビジネスで重要な理由・メリット

ビジネスにおいて、マイルストーンが重要な理由や、メリットについて解説します。

・進捗状況を把握しやすくなり、業務効率が上がる
マイルストーンを設定することで、業務の進み具合を把握できる点がメリットです。また、マイルストーンを組織全体で共有すれば、進捗状況を管理しやすくなります。業務の滞りを早期発見できることで、業務効率化も期待できるでしょう。

・スケジュール管理に役立つ
「いつまでに、何を終わらせるのか?」という点をこまめに確認することで、スケジュールどおりに動きやすくなります。中間地点の目標を立てることによって、プロジェクトのスケジュール管理もスムーズになります。

・長期プロジェクトでは、中間目標があると進めやすい
長期間のプロジェクトにおいては、マイルストーンの設定が特に重要です。開始から最終ゴールまでに長い期間がかかる場合、モチベーションを保つことが難しいケースがあります。スモールステップで業務を進めていくことで、成果物の品質を一定に保ちやすくなるでしょう。

ビジネスシーンにおけるマイルストーンの使い方・例文

業種別のマイルストーンの使い方と例文を紹介します。

・IT業界における開発の場合
ソフトウエア開発のプロジェクトには非常に多くの工数がかかります。これらを適切に管理するために、マイルストーンの設定が欠かせません。例えば「要件定義は〇〇日まで、設計は〇〇日まで」など、工程に応じた日数をスケジューリングしておきます。中間目標を立てることで、優先順位が決めやすくなったり、タスク漏れを防ぎやすくなったりする効果が期待できるでしょう。

【例文】「納期に遅れないように、マイルストーンを意識して作業を進めてください」

・記事制作の場合
記事を制作する現場においても、マイルストーンの設定は役立ちます。順序立てて業務を進行することで、品質の安定にもつながります。記事を完成させるまでに、以下のようなマイルストーンを設定しておきましょう。

リサーチ
原稿執筆
校閲チェック

各工程のスケジュールを決めておくことで、担当者が違う場合でも連携が取りやすくなります。

【例文】「編集担当者は、各工程のマイルストーンを把握しておいてください」

マイルストーンと混同しやすい用語・類語

マイルストーンと一緒に使われる用語や類語、混同しやすい言葉などを解説します。

・目標
「目標」は、最終的に成し遂げたい事柄や到達点のことです。マイルストーンは、目標に到達する前段階の「中間目標」です。

・フェーズ
ビジネスシーンにおける「フェーズ」は、主に「~の段階」といった意味合いで使われます。その他に「局面」や「区切り」などを表現することもあります。

・タスク
「タスク」をひとことで表すと「やるべき事」です。タスクは、ビジネスに限らず、どのようなシーンでも使用されます。例えば、家事のタスクは掃除や洗濯などです。設定したマイルストーンを達成するために行う仕事の1つひとつが、タスクとなります。

・ロードマップ
「ロードマップ」は「計画表」のことです。マイルストーンとロードマップは非常に似ており、同じような機能を果たす側面もあります。マイルストーンは粒度の細かい中間目標であり、ロードマップはもう少し広い範囲で道筋や方向性をまとめたものです。

・スケジュール
「スケジュール」は「予定・予定表」のことで、何をいつまでに終えるのか設定しておくと便利です。マイルストーンを設定する際には、全体のスケジュールも確認しておきましょう。

・ガントチャート
「ガントチャート」は、業務内容やスケジュール、担当者を分かりやすく確認するための表のことです。大きなプロジェクトで工程が多岐にわたる場合、ガントチャートで管理することが多くあります。進捗が一目で分かるガントチャートがあることで、最終目標までの工程が一目瞭然になります。

・クリティカルパス
「クリティカルパス」とは、プロジェクトのなかで最も時間(作業工数)がかかってしまう経路のことです。プロジェクトの立ち上げから達成までには、さまざまな業務が発生します。そのなかには、スムーズに進むタスクと、多くの労力が必要なものがあるでしょう。やらなければならない業務のうち、時間がかかるタスクをあらかじめ把握することで、スケジュールにズレが生じにくくなります。

・ターニングポイント
「ターニングポイント」とは「分岐点・転換点」のことです。物事が大きく変化したり、価値観や意識が変わったりするタイミングで使用することが多いでしょう。

・ベンチマーク
「ベンチマーク」は、基準や目標といった意味合いで使われることもありますが、ビジネスシーンにおいては「指標となる競合他社」を指しています。ベンチマークした会社と自社の違いを分析し、足りない部分を強化すれば売上アップや事業拡大につながる可能性があるでしょう。

マイルストーンとWBSの関係性

マイルストーンとWBSの関係性について解説します。

・WBSとは?
WBSとは「Work Breakdown Structure」の頭文字で、日本語では「作業分解構成図」のことです。目標を達成するためには、ゴールに向けてやるべきタスクを整理する必要があります。多岐にわたるタスクを洗い出す際に必要なのが、WBSです。WBSを作成するにあたっては、以下の要素を1つずつ確認しましょう。

・基本概要
・関係者
・スケジュール
・成果物

必要な日数や作業時間をできるだけ細かく分析したり、誰が何を担当するのかあらかじめ決めておいたりします。このような事前準備を行わなければ、マイルストーンを設定していても思ったように業務が進まないことがあるでしょう。

つまり、マイルストーン達成をかなえるためには、WBSの作成が肝心です。

マイルストーンの設定基準

マイルストーンの設定の際には、適切な中間地点のポイントを決めることが重要です。設定基準に迷っている人は、以下のタイミングを参考にしてください。

・WBSの各構成フェーズ
WBSの各構成フェーズに中間目標を立てることで、進捗確認がスムーズになります。WBSの設定で各タスクの担当者を明確にしておけば、作業の進みが悪い場合でも迅速にフォローできるでしょう。

・各タスクの完了日
あらかじめ決めておいた各タスクの完了日に合わせて、マイルストーンを設定するのもおすすめの方法です。区切りの良いタスクを1つずつクリアにしていくほうが、業務にあたりやすいという人もいます。

・クリティカルパスの各タスク完了数日前
マイルストーンは「クリティカルパスの完了日よりも前」に設定しておくことが重要です。理由として、クリティカルパスのタスクは時間がかかるため、スケジュール管理がより重要だからです。最終完了日にはせず、少し余裕を持たせておくことで、修正が必要であった場合でも対応しやすくなります。

マイルストーン設定の手順・書き方

マイルストーン設定に向けて、具体的な手順や書き方を以下にまとめています。

・期限を設定する
マイルストーンの設定には、期限(スケジュール)の管理が重要です。はじめに、どのような日程でプロジェクトを進めるか検討します。

・タスクを洗い出す
目標達成までに必要な各タスクの洗い出しを行います。カテゴリを大きく分類したあとに、詳細な作業工程を書き出しましょう。

・担当者を設定する
各工程における、担当者を設定します。可能であれば2人以上の人員を配置することで、担当者不在になった際も対応できます。

・ガントチャートを作成する
ここまでの工程(期限設定・タスクの洗い出し・担当者の配置)を、1つの表にまとめます。ガントチャートに情報を集約することで、第三者が見てもプロジェクトの進め方を一目で判断できます。

・マイルストーンを設定する
ガントチャートを参考にし、中間目標を設定します。節目ごとの目標を決めておくことは、モチベーションの維持に役立ちます。またマイルストーンの設定によって、タスク漏れや品質低下を防げるようになる点もメリットです。

マイルストーン設定の注意点

マイルストーンを設定する際は、以下のポイントに注意しましょう。

・マイルストーンを設定しすぎない
マイルストーンの設定が多すぎた場合、進捗管理そのものに時間を奪われてしまいます。適切な数と内容のマイルストーンを設定しましょう。

・マイルストーンとタスクは分けて管理する
マイルストーンとタスクを混同しないような管理体制も必要です。日々のタスクを積み重ねることでマイルストーンが達成されるため、別軸で管理することが肝心です。

・情報を一元管理する
業務進捗に関する情報は、1つの場所にまとめて共有することがおすすめです。せっかくマイルストーンを設定しても、進み具合や達成率がきちんと把握できなければ、効果を感じにくいでしょう。

まとめ

今回ご紹介した「マイルストーン」は、ビジネスだけでなく日常生活でも使用できます。かなえたい目標に到達するためには、マイルストーンを適切に設定することが大切です。業務効率化やチームでの情報共有などにも役立つため、ぜひ取り入れてみてください。

■執筆者プロフィール
新保友映
新保 友映(しんぼ ともえ)
山口県岩国市出身。青山学院大学卒業後、2003年にアナウンサーとしてニッポン放送に入社。「オールナイトニッポンGOLD」のパーソナリティをはじめ、「ニッポン放送ショウアップナイター」やニュース情報番組、音楽番組など担当。2018年ニッポン放送退社後はフリーアナウンサーとして、ラジオにとどまらず、各種司会、トークショーMC、YouTube、Podcast、話し方講師など幅広く活動。科学でいじめのない世界をつくる「BE A HEROプロジェクト」特任研究員として、子どもたちの授業や大人向け講座の講師も担当している。
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