JR鶴見線、80年ぶりの新型車両デビュー! 都会の穴場へ……待っているのは海に面した絶景駅
2023年末、JR鶴見線で新型車両が走り始めた。実に80年ぶりの新型車両投入だという。2024年3月16日のダイヤ改正から車掌のいないワンマン運転となるE131系1000番台は、いったいどんな車両なのか、実際に乗ってみた。
連載「鉄道雑学ニュース」
乗り物の域にとどまらず、見ても、撮っても、もちろん乗っても面白い鉄道の世界。知れば知るほど奥が深くて面白い鉄道に関する最新情報&雑学を、「All About」の鉄道ガイドで旅行作家の野田隆が自ら撮影した駅舎や車両画像とともに分かりやすく解説する。
2023年12月24日から、JR鶴見線で新型車両E131系1000番台が走り始めた。国鉄、JR時代を通じて、鶴見線の車両は他の路線から移動してきた中古車両ばかりだったので、国有化される以前の鶴見臨港鉄道時代以来、実に80年ぶりの新型車両投入だという。どんな車両なのか、実際に乗って確かめてきた。
首都圏のローカル輸送を担うE131系
E131系電車は、JR東日本が開発した車両で、もっぱら首都圏の電化区間のうち閑散とした末端区間での使用を前提としている。
2020年に房総エリアの末端区間(内房線木更津~安房鴨川~外房線上総一ノ宮、成田線佐原~香取~鹿島線鹿島神宮)で運転を開始し、その後、相模線(500番台)、日光線・東北本線(小山~黒磯)(600番台)、そして鶴見線(1000番台)へと運転区間を拡大している。もっとも、線区の事情に合わせ、塗装を含めて仕様が微妙に異なっている。
鶴見線用の1000番台は、全て3両編成。ほかの路線用は、裾が狭まった拡幅車体(幅2950ミリ)であるのに対し、鶴見線用は車体断面がストレート(幅2778ミリ)でやや狭くなっている。これは、鶴見線の設備に対応しているためで、拡幅車体にすると走行に支障があるとのことだ。
また、ほかの路線では、編成の自由度を増すため、運転台のある先頭部分には貫通扉があるけれど、鶴見線用1000番台は、よくみると貫通扉がない。鶴見線のホームが短く、3両編成以上に増結することはないからだという。
鶴見線用のE131系1000番台の外観と車内
先頭部の下半分左右には、ドットによるデザインが施されている。鶴見線の場合は、茶色と黄色が使われていて、かつての鶴見線を走っていた電車の塗色を表わしている。茶色は、20世紀末まで使われていた旧型国電の色、黄色は1979年から走り出した101系、その後投入された103系の塗装を表わしている。
車内はオールロングシートだ。座席の色は座面が青、背もたれが赤や黄色を中心としたデザインとなっていて、斬新な感じだ。1人分のスペースは従来の車両(205系)よりも若干広く取られている。各車両の車端部には座席のないフリースペースが設けられていて、車椅子やベビーカーを置けるように工夫されている。
ドア上部には大型液晶ディスプレイが設置され、停車駅の情報、ほかの路線の運行情報などが日本語、英語、中国語、韓国語でも表示される。さらに、ドア付近には開閉ボタンが付いている。これは電車のワンマン化を想定したもので、2024年3月16日のダイヤ改正から車掌のいないワンマン運転となる。
目下、鶴見線では車両の置き換えが進行中で、旧型205系は1編成を残すのみとなっている(2024年1月20日現在)。車両の運用はローテーションがあるので、日によって異なるけれど、205系は朝夕のラッシュ時に走ることが多い。平日の日中は、ほぼ新型車両E131系に当たることが多くなっている。