今期イチの名作ドラマは『さよならマエストロ』で決まり! 西島秀俊の魅力爆発な見どころを徹底解説

2024年の冬ドラマとして、大きな話題を集めているTBS系の日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』。第2話からでも見たくなる、ドラマの魅力を元テレビ局スタッフが解説します。(サムネイル画像出典:公式Webサイト)

芦田愛菜演じる「素直になれない娘」の今後に注目!

西島さんとそろって演技に注目が集まるのが、芦田さんです。響は音楽でトラウマを抱え、現在は落語をこよなく愛する市役所勤めの女性。父親との確執はもちろんのこと、音楽を嫌いになるほどの「事件」とは一体なんなのか? 今後の展開で重要になってくるであろう部分で、気になるところです。

さて、そんなトラウマを抱える響は、俊平の前では全く笑顔のない無表情、それどころか嫌悪感を持ったしかめっ面を見せます。

芦田さんは繊細な演技が抜群で、「素直になれない娘」を丁寧に表現。弟の海(大西利空)とのやりとりも自然で、随所で役者としてのスキルを見せています。
  これまで、芦田さんといえば、ドラマや映画だけでなくCM、バラエティ番組でもまぶしい笑顔がトレードマーク。そんな芦田さんのクールな表情は必見です。

ストーリーの構成上、どこかのタイミングで音楽を通じて、父娘の確執に変化が訪れることが予想されます。その時に、クールだった響の笑顔が見られる可能性が大で、視聴者は壮大なツンデレを体感できるかもしれません。

また、芦田さんが市役所に勤務するというシチュエーションを、感慨深く見ることもできます。芦田さんが出演した名作『Mother』(日本テレビ系)が2010年、『マルモのおきて』(フジテレビ系)が2011年の放送だったことを考えると、時の流れをしっかりと感じられるところ。

どこか、親戚の感覚で芦田さんの演技が楽しめるのも、この作品の魅力です。

さまざまな“楽しい仕掛け”にも注目!?

そんな『さよならマエストロ』ですが、細かい仕掛けも練り込まれて視聴者を楽しませます。

ささいな演出としては、俊平は料理が下手ですが、西島さんはつい先月まで『きのう何食べた? season2』(テレビ東京系)でプロ並みの料理の腕前を持つ筧史朗を担当。史朗が家事をテキパキこなす姿を見ていただけに、楽しい違和感を味わえます。
  また、トランペット奏者の森大輝を演じる宮沢氷魚さんは、父親が元THE BOOMのミュージシャン・宮沢和史さん。父親譲りの魅力を楽器演奏で見せてくれるのでしょうか? その大輝の祖父役・小村二朗を演じる西田敏行さんは、2015年にオーケストラを題材とした映画『マエストロ!』に出演した経歴を持っています。

さらに、西島さんと石田さんは4度目の夫婦役を演じる縁があり、第2話以降に出演が多くなりそうな當真あみさんも、2023年7月期のドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系)で芦田さんと共演。
  今後、登場キャラクターが増えることで、ドラマ好きが楽しくなる仕掛けもたくさん出現することでしょう。こういった、細かい演出や関連性も、ドラマを楽しむ魅力の1つとなります。

ドラマ『リバーサルオーケストラ』と似ているとの声も?

さて、ここまで『さよならマエストロ』の魅力を解説しましたが、SNSや一部週刊誌系ネットサイトで、『リバーサルオーケストラ』との類似が問題提起されています。せっかく、『さよならマエストロ』の第1話を見てファンになった視聴者は、水をさされる気持ちでしょう。
  元テレビ局スタッフとしては、類似を取り上げることには何の意味もないと考えます。テレビでも映画でも、さらに音楽でも類似を挙げはじめればキリがありません。

確かに、『リバーサルオーケストラ』と『さよならマエストロ』は設定が似ている部分も多く、ツッコミを入れたい気持ちも理解できます。だからといって、『さよならマエストロ』の評価が落ちることはありません。ドラマを面白く見るには細かい設定や類似点も含め、その上で楽しむのが真のファンだといえるでしょう。

せっかく貴重な時間を使ってドラマを見るならば、粗を探すよりも素直に面白い、感動できたかを考え、作品選びするべきだと筆者は考えます。
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この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。

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