最優秀新人賞「FRUITS ZIPPER」、2024年の飛躍に期待
大賞を獲得したMrs. GREEN APPLE以外で、今回の『レコード大賞』で光っていたアーティストを紹介します。それが、最優秀新人賞を獲得した「FRUITS ZIPPER」です。 TikTokで9億回再生以上を記録する代表曲『わたしの一番かわいいところ』をパフォーマンスしたほか、メンバーはトーク部分でも大活躍。真中まなさんは、親に芸能活動をしていなかったことを暴露しつつ、元気にお父さんへレコード大賞に出演していることを笑顔で伝え笑いを生み出しました。また、最優秀新人賞を獲得した際には、メンバーの多くが涙を流し心から受賞を喜ぶ姿も。アイドルというジャンルに苦手意識を持つ視聴者も少なくないと思いますが、「FRUITS ZIPPER」が見せた素の表情は多くの視聴者の心を打つものでした。あの大舞台でトークもしっかりとこなせたことで、「FRUITS ZIPPER」は2024年以降にバラエティ番組などでさらに活躍することでしょう。
『レコ大』が向かう先は? “独自性の欠如”が目立つ結果に……
今回で65回目となり、数々の歴史を作り上げてきた『レコード大賞』。ここ最近の放送でも疑問点が多かったのですが、今回の放送も変わらずに不思議なノミネートや演出が多くありました。大賞候補だったYOASOBIは、海外でも人気が高いことで「特別国際音楽賞」を受賞。少々無理がある賞となり、視聴者からもスケジュールの都合で会場に来ることができないので、優秀作品賞には選ばれなかったのかと憶測がSNSで出るようになりました。 さらに、Adoさんに関しては、番組には電話出演し歌唱シーンは同曲の音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』(TBS系)に出演した際の映像を使用。過去にスケジュールの都合で『レコード大賞』本番に出演できないアーティストもいたので、珍しいことではありません。ただ、番組用に撮り下ろした映像でもなかったので、スタッフはもう少し何か演出を考えられたのではないかとも思います。もちろん、Adoさんに落ち度はないですが、優秀作品賞の歌手として選考したからには工夫を感じたかったところです。
今回の『レコード大賞』を見ると、選考や演出でかなり苦労している様子が伺えます。同じく長い歴史を持つ『NHK紅白歌合戦』と比較しても目玉が少なく、現在では各シーズンで大型歌番組を各局が放送する中で、『レコード大賞』ならではの特色を感じることは残念ながらできませんでした。
『レコード大賞』では、さまざまな特色ある賞を設定しているからこそ、もっと深く音楽の世界や作詞家、作曲家の仕事などを知ることができるような作りなら、独自性はあるのではないかと考えてしまいます。権威あると言われている音楽賞だからこそ、2024年はどんな番組にしてくれるのか期待したいところです。
この記事の筆者:ゆるま 小林
長年にわたってテレビ局でバラエティ番組、情報番組などを制作。その後、フリーランスの編集・ライターに転身。芸能情報に精通し、週刊誌、ネットニュースでテレビや芸能人に関するコラムなどを執筆。編集プロダクション「ゆるま」を立ち上げる。