『日本レコード大賞』に未来はあるのか? “若者向け”演出加速も視聴者から疑問の声が……

Mrs. GREEN APPLEの『ケセラセラ』が大賞を受賞して幕を閉じた、今年の『第65回輝く!日本レコード大賞』。 元テレビ局スタッフの筆者が、レコード大賞を振り返り徹底解剖します。(サムネイル画像出典:『第65回輝く!日本レコード大賞』公式Xより)

日本レコード大賞
『第65回輝く!日本レコード大賞』(画像出典:公式Xより)​​​​
2023年12月30日に、『第65回輝く!日本レコード大賞』(TBS系)が放送されました。司会は12年連続の安住紳一郎アナと、俳優の川口春奈さんが担当。

今回は、2023年を代表する楽曲の1つYOASOBIの『アイドル』が優秀作品賞に選ばれなかったことが話題を集めましたが、そんな中でMrs. GREEN APPLEの『ケセラセラ』が大賞を見事に受賞しました。

この記事では、元テレビ局スタッフの筆者が、さまざまな角度から『第65回輝く!日本レコード大賞』を振り返りたいと思います。

「Mrs. GREEN APPLE」大賞受賞。選考理由は?

まず、大賞に選ばれたMrs. GREEN APPLEですが、プロフィールをおさらいしていきましょう。2013年に結成したバンドで、2015年にミニアルバム『Variety』でメジャーデビュー。現在のメンバーは大森元貴さん(Vo/Gt)、若井滉斗さん(Gt)、藤澤涼架さん(Key)からなる、3人組バンドです。

キャッチーなメロディと大森さんの美しい歌声が特徴で、ライブに定評があるバンドとして世代を問わず人気を集めています。メジャーデビュー5周年の2020年7月8日には、初のベストアルバムを発売し、合わせて「フェーズ1完結」を宣言して活動休止。人気が高まる中での活動休止ということで、大きな話題を集めていました。

2022年3月には、「フェーズ2開幕」を宣言して現在のメンバー編成で活動を再開。主要ストリーミングサービスで、『青と夏』『インフェルノ』など6曲が、総再生数で1億回を突破するなど、新世代を担うバンドとして常に注目を集めています。

楽曲の『ケセラセラ』は、7枚目の配信限定シングルとして2023年4月25日にリリース。ドラマ『日曜の夜ぐらいは…』(朝日放送テレビ/テレビ朝日系)の主題歌で、前向きになれる応援ソングとして人気です。
大賞に選考された理由について、1つはバンド結成10周年の節目だということが大きなポイントだと考えられます。2023年は精力的に活動を続け、『ケセラセラ』はBillboard JAPANチャートにおいて、自身最速でストリーミングでの累計再生数1億回を突破。さらに、「Spotify」が発表した「国内で最も再生されたアーティスト」ランキングでは1位に輝くなど大賞獲得は誰もが認める成績を残しています。

“若者向け”演出が加速? SNSやYouTubeでの影響力を重視か

今回の『レコード大賞』においては、選考理由とは直接的に関与していないとは思いますが、如実に「若者向け」の演出が見受けられました。「優秀作品賞」「特別賞」W受賞の「NewJeans」は、メドレーでかなりの長時間にわたりパフォーマンスを披露。良質なシティーポップを現在によみがえらせた「imase」さんが『NIGHT DANCER』で優秀作品賞に選ばれたのも象徴的です。
その一方で、レコード大賞でおなじみの演歌や歌謡曲については、純烈の『だってめぐり逢えたんだ』、市川由紀乃さんの『花わずらい』、さらに新人賞の木村徹二さんなど曲数は少なめ。選考の基準が明確ではないので確信は持てませんが、ここ数年に渡って急激に若者寄りになっている『レコード大賞』の傾向がさらに加速した放送になったと感じます。

また、番組内で演歌や歌謡曲の歌手の紹介VTRでもYouTubeの再生回数を紹介するなど、ストリーミング再生やSNS、動画配信サービスでの人気を重視する方向に舵を切り始めています。2024年以降、放送が続く場合はこういった新世代のサービスでの人気が出ることが鍵になっていくことを提示していたように思います。
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“権威ある音楽番組”の座を守れるか。『レコ大』の今後は?
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