「気遣い」「心遣い」の違いは? 使い分け方や例文、言い換えや英語表現を解説

「お気遣い」と「お心遣い」の違いをご存じでしょうか。今回は「お気遣い」と「お心遣い」の、それぞれの意味や使い分けのポイント、ビジネスシーンでの使い方や例文などについて現役フリーアナウンサーの酒井千佳が解説していきます。

「お気遣い」と「お心遣い」の違いは? 意味や使い分け、例文、言い換え表現を解説
「お気遣い」と「お心遣い」の違いは? 意味や使い分け、例文、言い換え表現を解説

「お気遣い」と「お心遣い」の違いをご存じでしょうか。今回は「お気遣い」と「お心遣い」の、それぞれの意味や使い分けのポイント、ビジネスシーンでの使い方や例文などについて現役フリーアナウンサーの酒井千佳が解説していきます。

類語や英語表現、返信例なども紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

<目次>
「お気遣い」の意味とは
気遣いができる人の特徴
気遣いができない人の特徴
ビジネスシーンで使える「お気遣い」の使い方と例文
「お心遣い」の意味とは
ビジネスシーンで使える「お心遣い」の使い方・例文
「お気遣い」と「お心遣い」の使い分け方
「お気遣い・お心遣いありがとうございます」への返信例
「お気遣い」「お心遣い」の類語・言い換え表現
「お気遣い・お心遣いありがとうございます」の英語表現
まとめ

「お気遣い」の意味とは

「気遣い」は、国語辞典『大辞林』によると「気をつかうこと。心づかい。配慮」とあります。「お気遣い」は、この「気遣い」に、尊敬を示す接頭辞「お」を付した語です。

気遣いができる人の特徴

気が利く

「気が利く」とは、「よく心がゆきとどく」という意味であり、まさしく気遣いができる人の条件と言えるでしょう。相対する人や、同じ空間にいる人のことをよく見たうえで、気を配れる人とも言い換えられます。

社交的

「気遣い」は、対人で初めてなされます。そのため、社交的な人はおのずと「気遣い」をする機会が多いとも言えるでしょう。

思いやりがある

思いやりがあることも、気遣いができる人の特徴です。柔らかく包むような思いやりを持つ人は、深く考えずとも自然と気遣いができているかもしれません。

気遣いができない人の特徴

自己中心的

自己中心的な人は、優しさや施しのベクトルが自分に向きすぎている分、他人を蔑ろにしているかもしれません。

他人に優劣をつけたがる

他人に優劣をつけたがる人は、その優劣によって他人への接し方を変える傾向にあります。そのため、気遣いをあえてしない選択を心のうちでしているかもしれません。

ビジネスシーンで使える「お気遣い」の使い方と例文

「お気遣いいただきありがとうございます」

気遣いをしてもらった際の感謝を示す言い回しです。具体的には、仕事の進捗(しんちょく)状況や体調などを心配してもらった際などが挙げられます。

【例文】「(病み上がりの自分へ無理しないよう声を掛けてくれた上司に)お気遣いいただきありがとうございます」

相手の配慮を遠慮する「お気遣いなく」

遠慮する表現に「お気遣いなく」という言い回しがあります。具体的には、相手の日常的な配慮を遠慮したり、贈り物をした際にお返しが不要であることを伝えたりする際などが挙げられます。

【例文】「(贈り物をするときに)心ばかりの品ですので、どうぞお気遣いなく」

「お心遣い」の意味とは

「心遣い」は、国語辞典『大辞林』によると「物事がうまくいくように気を使うこと」とあります。「お心遣い」は、この「心遣い」に、尊敬を示す接頭辞「お」を付した語です。

ビジネスシーンで使える「お心遣い」の使い方・例文

気遣いに感謝を伝える「お心遣いをありがとうございます」

こちらも気遣いをしてもらった際の感謝を示す言い回しです。

【例文】「(仕事で悩んでいることを告げたら改めて日を取って数時間話を聞いてくれた上司に)先日は、お心遣いをありがとうございました」

目上の人にお礼を伝える「お心遣い痛み入ります」

感謝を示す言い回しとして「お心遣い痛み入ります」という表現もあります。ここでの「痛み入る」とは、「心が締めあげられ痛みを感じるほどの感謝を覚える」といったような文意です。

【例文】「開店にあたってお花をお贈りいただき、お心遣い痛み入ります」

お見舞いや金品へのお礼を伝える「お心遣いをいただきありがとうございます」

相手からの祝儀や心付けなどの金品を指して「お心遣い」ということもあります。日本らしい婉曲表現と言えるでしょう。

【例文】「先日の結婚式では、お心遣いをいただきありがとうございました」

申し出や誘いを断る「せっかくのお心遣いですが」

先述した「お気遣いなく」のように、遠慮を表現することもあります。「お心遣い」の場合は、相手の申し出や誘いに対して「せっかくのお心遣いですが」ということが一般的です。

【例文】「(昇進の話を断る際に)せっかくのお心遣いですが、現状の担当業務に大変やりがいを感じているため、お気持ちだけ頂戴したく存じます」

関連記事:【正しいビジネス敬語】間違いやすい使い方やメールの言い回しをアナウンサーが解説【例文あり】

「お気遣い」と「お心遣い」の使い分け方

マナーの範囲内か範囲外かどうか

「お気遣い」と「お心遣い」はほとんど同義ですが、「お心遣い」の方が、より深いニュアンスを含みます。そのため、一般的なマナーの範囲内であれば「お気遣い」、その範囲を超えた言動は「お心遣い」とされる傾向にあります。

目上の人や上司には「お心遣い」が適切

先述したように「お心遣い」の方が、より深い思いやりを指す言葉です。そのため、目上の人や上司には、「お心遣い」を使う方がベターと言えます。

「お心遣い」と「お気遣い」は相互に言い換えできる?

ほとんど同じ意味を持つ2語ですが、なかには言い換えられないケースもあります。例えば、先ほども触れた「お気遣いなく」を「お心遣いなく」とは言い換えられません。また、「温かい心」とは言える反面、「(相手の思いやりを指して)温かい気」とは言わないことから、「温かいお気遣い」も不自然です。

「お気遣い・お心遣いありがとうございます」への返信例

「とんでもないことでございます」

「とんでもないことでございます」は、形容詞「とんでもない」に、丁寧語「ございます」を付した言い回しです。なお、たびたび聞かれる「とんでもありません」は、誤用とは言い切れないものの、「とんでもない」で1語の形容詞であることから間違っていると感じる人もなかにはいます。そのため、「とんでもないことでございます」とした方がベターです。

「滅相もないことでございます」

「滅相もないことでございます」も、「お気遣い・お心遣いありがとうございます」への返信として使えます。「滅相もない」は「とんでもない」と同義ですが、強いて言えば「滅相もない」の方が謙遜のニュアンスを多く含んでいます。

「お気遣い」「お心遣い」の類語・言い換え表現

ここからは、「お気遣い」「お心遣い」の類語を8つ、簡単に紹介していきます。

なお、どれも尊敬の接頭辞「ご」を付しており、それぞれの語義は三省堂出版の国語辞典『大辞林』を参考にしています。

ご配慮(ごはいりょ)

心を配ること、他人や他のことのために気を使うことを指します。

ご深慮(ごしんりょ)

深い考えを指します。

ご厚情(ごこうじょう)

思いやりのある心、親切な気持ちを指します。

ご高配(ごこうはい)

相手を敬ってその心配りをいう言葉です。手紙などで使います。

ご芳情(ごほうじょう)

他人の親切な心遣いや気持ちを敬っていう言葉です。

ご厚志(ごこうし)

情の厚い心、親切な気持ちなど、相手の好意などに対していいます。

ご厚意(ごこうい)

思いやりのあつい気持ち、厚情を指します。基本的に、他人の行為に関していいます。

心配り(こころくばり)

気をつかうこと、気遣い、心遣い、配慮を指します。

「お気遣い・お心遣いありがとうございます」の英語表現

「お気遣いありがとうございます」は、英語で「Thank you for your kindness. / Thank you for your consideration.」などと表現できます。「お心遣いありがとうございます」であれば、より強い感謝を示す「I really appreciate your concern.」などが適当です。

まとめ

「お気遣い」と「お心遣い」は、どちらも「気を使うこと・配慮」を意味する言葉の尊敬語です。ほとんど同じ意味ですが、「お心遣い」の方がより深い思いやりのニュアンスを含んでおり、目上の人に使う場合は「お心遣い」とするのがベターです。
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