「わかりました」は敬語として正しい? 言い換え表現、ビジネスシーンや上司に使う方法を解説

丁寧な言葉であっても、ビジネスには向かない表現である場合もあります。「わかりました」もその1つではないでしょうか。今回は「わかりました」の使い方についてフリーアナウンサーの小川厚子が解説します。

「わかりました」の正しい敬語は? 上司への使い方や言い換え表現、ビジネスでの活用法を解説
「わかりました」の正しい敬語は? 上司への使い方や言い換え表現、ビジネスでの活用法を解説

丁寧な言葉であっても、ビジネスシーンでは別の表現の方が適切なケースもあります。そのような言葉の1つに「わかりました」があります。

この記事では「わかりました」の使い方についてフリーアナウンサーの小川厚子が解説します。

<目次>
「わかりました」は敬語表現?
ビジネスでも使える「わかりました」の言い換え表現と例文
「承知しました」と「かしこまりました」の使い分け
「わかりましたか?」と質問したいときの敬語表現と例文
「わかりました」の英語表現
「わかりました」を使うときの注意点
アナウンサーはどう使い分ける?

「わかりました」は敬語表現?

「わかりました」は汎用性の高い言葉なので、ビジネスの場でも使っている人も多いかもしれません。

「わかりました」は「わかる」に、丁寧語の「ます」をつけた丁寧語です。丁寧語なので社内の人や同僚にも使える表現です。ただし、繰り返し使うと少し幼い印象を与える場合があります。丁寧語ではありますが、目上の人や社外の人に対して使うときは注意が必要です。


・「わかりました」の本来の意味
「わかりました」は相手の話や物事に対して、理解や納得したことを意味します。過去形であるため「物事を理解しました」という意味になります。

ビジネスでも使える「わかりました」の言い換え表現と例文

ビジネスシーンでも使える「わかりました」の言い換え表現と例文を解説します。


・「承知いたしました」
上司や取引先など目上の人に「わかりました」の意味で使える表現です。

【例文】
A:明日の午後1時までに、○○の資料の準備をお願いします。
B:承知いたしました。明日の午後1時までに〇〇の準備をしておきます。

 

・「かしこまりました」
「かしこまりました」は「承知いたしました」より丁寧な表現になります。「かしこまりました」には「謹んでお受けいたします」という意味合いが含まれているため「承知しました」より、ややへりくだった敬語です。依頼や命令などを承諾するときに適している表現です。

 
【例文】
A:〇〇の件、早急に対応していただけますか
B:かしこまりました。早急に対応いたします。
 

・「承りました」
「承る」は「受ける、きく、引き受ける」の謙譲語で、相手の言葉を謹んで聞くという意味です。

【例文】
「担当の〇〇が承りました
「こちらの内容で承りました

 

・「拝承しました」「拝承いたしました」
 「拝承」は「謹んで承ります」という謙譲の意味で使います。ビジネスシーンや改まった場面や文章で使います。

【例文】
「明日の打ち合わせの件、拝承しました。よろしくお願いいたします。」
「変更の件、拝承いたしました

「承知しました」と「かしこまりました」の使い分け

「かしこまりました」は「承知しました」より丁寧な表現になります。依頼や命令などを承諾するときに適している表現です。

「かしこまりました」は「謹んでお受けいたします」という意味合いが含まれているため「承知しました」より、ややへりくだった敬語です。どちらもメールの返信にも使用することができます。

関連記事:「承知しました」の正しい使い方は? 「了解しました」との違いや例文、言い換えを解説
関連記事:「かしこまりました」の正しい使い方は? 「承知しました」との違いや使い分け、類語をアナウンサー解説

「わかりましたか?」と質問したいときの敬語表現と例文

「わかりましたか?」と質問したいときの敬語表現と例文を解説します。


・「ご理解いただけましたでしょうか」
相手に物事を説明した際に、理解できたかどうかを改めて確認するときなどに使います。目上の人や上司に対して使う場合は、失礼に当たる可能性があるので注意が必要です。

【例文】
「今回のセミナーの目的は、ご理解いただけましたでしょうか
「プレゼン資料の内容は、ご理解いただけましたでしょうか

 

・「よろしいでしょうか」
相手に物事を説明した際に、問題がないかを確認するときに使う丁寧な表現です。目上の人や上司に使っても問題はありません。ただし、「よろしいですか」は目上の人などには控えた方が良い表現です。

【例文】
「ここまでの内容でよろしいでしょうか

「わかりました」の英語表現

「OK.」や「Sure.」などは日常でよく使われ、同僚との会話でも、取引先との会話でも使います。文脈や声のトーンによってニュアンスが変わりますので注意しましょう。

・友人や同僚などとの会話での英語表現
OK.(わかった)
Sounds good.(了解!いいね)
All right.(了解です)

上司や取引先との会話での英語表現
Of course. /Certainly.(承知いたしました)
Absolutely./Defnitely.(かしこまりました)
Sure./Sure thing.(もちろん)
I agree with you.(あなたに賛成です)
I understand.(了解いたしました) 

「わかりました」を使うときの注意点

「わかりました」を使うときの注意点を解説します。


・ビジネスシーンでは控える
「わかりました」も丁寧語ではありますが、ビジネスの場面では、やや幼く受け取られたり、状況によっては失礼と思われたりするかもしれません。場面や状況、相手によって使い分ける必要があります。


・「了解しました」は使わない方が吉
「了解しました」を「わかりました」の敬語と思っている人もいるかもしれませんが、「了解」は自分が相手の事情を理解し発言を認めるという意味で、目下の人に対して使う言葉です。

目上の人や取引先の人には失礼な表現になるため、ビジネスの場では使わないようにしましょう。謙譲語である「承知しました」「かしこまりました」を使うと良いでしょう。

アナウンサーはどう使い分ける?

「わかりました」「かしこまりました」「承知しました」は、ニュアンスの違いもあるのでその場に応じた使い分けをしています。

言葉は何度も使ってようやく身に付くものです。正しい敬語を身に付けるには、覚えるだけでなく実際に口に出してみると良いでしょう。繰り返していくうちに自然と自分の言葉になっていきます。

 

■執筆者プロフィール

担当ライター

小川厚子(おがわあつこ)
元NHK岡山放送局キャスター/NHK情報番組メインキャスター/NHKニュースセブンリポーター/NHKラジオ第一ニュース/NHKラジオ第一あさいちばんリポーター。退局後は、POLA・阪急不動産インフォマーシャル・グリコラジオCM・ナレーション、テレビドラマアナウンサー役などフリーアナウンサーとして活動中。こどもアナウンス発声協会講師/印象力アップアドバイザー/神戸市立中学校放送部部活動指導員/企業研修等、話し方講師として活動中。

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