結果、旧ジャニーズ事務所は、『NHK紅白歌合戦』に1979年以来44年ぶりとなる不出場が決定。マネジメントは新たに立ち上げた「STARTO ENTERTAINMENT(スタートエンターテイメント)」が行い、多くのタレントは自由に動きやすいエージェント契約に移行すると言われています。
また、問題が勃発して以降は、岡田准一さん、二宮和也さん、生田斗真さん、風間俊介さんなど、主に俳優業で活躍するタレントが独立を発表。大きな変革期を迎えている旧ジャニーズ事務所とタレントについて、今年の出来ごとを振り返りながら、元テレビ局スタッフの筆者が2024年の動向を占ってみたいと思います。
うわさレベルで囁かれていた性加害問題がついに明るみに
まず、ここまで騒動が大きくなった性加害問題を振り返ります。はじめに大きく報じられたのは、2023年3月に放送されたドキュメンタリー『Predator: The Secret Scandal of J-Pop』でした。 日本のメディアではなく、イギリスのBBCドキュメンタリーとして放送され、さらに4月には元ジャニーズJr.の被害者が顔出しで記者会見を行い勇気ある告発を実施。その後は、黙殺を続けてきた日本のメディアも報じざるをえなくなり、雪崩のように「うわさレベル」だった性加害問題がテレビや新聞で取り上げられます。テレビ局で働いていた筆者の経験から話をすれば、ジャニー氏の性加害について、ジャニーズ事務所と仕事をしていないスタッフも多くが認知していたと思います。逆に知らなかったという人間がいるなら、芸能界に関わる者として不勉強だったと言わざるを得ない。というのも、1999年には『週刊文春』が報じ、多くのテレビ関係者が疑惑を知ったからです。
さて、そんな性加害問題は、2023年8月29日に調査報告書が公開され、さらに9月7日に記者会見を開き性加害について事務所が初めて認め謝罪を行いました。そこからは、光の速さでメディアはバッシングを行い、それまで大活躍していたタレントたちも露頭に迷うことになります。
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現在は、「SMILE-UP.」が被害者の補償を行い、「STARTO ENTERTAINMENT」がタレントのマネージメントを担当。社長には、のん(元・能年玲奈)さんの復帰を手助けした福田淳さんが就任しました。
タレントの「干され」は発生している? 性加害問題の影響は?
福田氏は、「STARTO ENTERTAINMENT」を2024年4月から全面稼働すると公表しています。その間に、タレントたちは会社から説明を受け、ほとんどがエージェント契約に移行すると思われます。【こちらも読む→「エージェント契約」と「マネジメント契約」の違いは?】
福田氏がいくつかのメディアに答えたインタビューによると、グループに所属してライブの予定があるタレントは、独立ではなくエージェント契約する形を取る「残留」の可能性が高そうです。
例えば、SixTONESは、初の4大ドームツアー『VVS(バイブス)』を、2024年2月~4月にかけて開催すると発表しています。大規模なコンサートを行う上で、メンバーが脱退や独立することは考えづらく、1つの指標になるのではないかと考えます。
また、タレントたちの活躍は心配することが無さそうです。実際、2024年1月期のドラマに多数のタレントが出演。Snow Manからは、渡辺翔太さんが『先生さようなら』(日本テレビ系)、岩本照さんが『恋する警護24時』(テレビ朝日系)で単独初主演を担当。嵐の櫻井翔さんは、『XXX占拠』(日本テレビ系)で主演、King & Princeの永瀬廉さんは『厨房のありす』(日本テレビ系)に出演します。
さらに、なにわ男子の道枝駿佑さんは、『マルス-ゼロの革命-』(テレビ朝日系)でゴールデン帯の連ドラ初主演を務めます。他にもタレントが出演するなど、これまでと変わらず……いやそれ以上に、旧ジャニーズのタレントがドラマで大活躍します。
これらのタレントは、ドラマの番宣も兼ねて年末年始に多くのバラエティ番組に出演するという情報も入っているので、正直言えば性加害問題の影響はほとんど無さそうです。
テレビのCMスポンサーが旧ジャニーズタレントとの契約を打ち切ったことで、番組に出演させられないといううわさが2023年10月頃に出ていました。ただ、各局の編成や上層部がどう判断したか分かりませんが、2024年以降も旧ジャニーズタレントは、これまで通りテレビに出演し活躍する土台ができているようです。