NHKの大河ドラマ『どうする家康』にも出演し、勢いに乗る原さんの魅力を、これまでの出演作を紹介しながら、元テレビ局スタッフの筆者が解説していきます。
子役からの下積みが『罪の声』で花咲く
原さんは、2003年8月26日生まれの東京都出身。2009年にドラマで子役として芸能界デビューし芸歴は長く、これまではドラマを中心に情報バラエティ番組『おはスタ』(テレビ東京系)の「おはガール」を担当したことも。下積みが長い印象ですが、初めに注目を集めたのは2020年10月に公開された映画『罪の声』の演技でした。多くの人が知る食品会社への脅迫事件がモチーフの作品で、原さんは物語の鍵を握る重要人物・生島望役を担当。不可解な事件に翻弄(ほんろう)される人々の苦しみや悲しみを描いた作品の中で、特に悲劇に見舞われる役で多くのファンの涙を誘いました。
原さんは役作りのために自身を徹底的に追い込み、劇中では心揺さぶる会心の演技を披露。本格的な芝居ができる若手俳優として、一気に注目を集めることになります。
アニメ声優初挑戦の『すずめの戸締り』で一躍注目を集める
その後、大きなチャンスをつかんだのは、国民的ヒットを記録した2022年11月公開のアニメ映画『すずめの戸締まり』です。『君の名は。』『天気の子』と大ヒット作を生み出してきた新海誠監督の作品で、原さんは1700人を超えるオーディションを経て、主人公・岩戸鈴芽役に選ばれました。アニメ声優初挑戦でしたが、鈴芽役をていねいに表現。感情表現たっぷりに演じきり、作品の世界観をしっかりと描ききることに成功しています。
『罪の声』『すずめの戸締まり』に共通していることは、原さんの声の良さにあります。聞き取りやすく、声だけでも何を思い感じているのかをしっかりと聞かせることができる。良い声は、男女関係なく名優の条件であり、地声の魅力はもちろんのこと、役によってどう声を使い分けるかで演技の良し悪しが決まってきます。
これが努力のたまものなのか、はたまた天賦の才能なのか……。彼女はしっかりとどの作品でも高いレベルの「声の演技」を見せています。