最近世界を騒がせているニュースといえば、中東のイスラエルと、イスラム組織ハマスの大規模攻撃だろう。
日本からは少し遠い話題でもあるが、長年、争いが続いてきた地域でもあり、読者の皆さんもイスラエルとハマスの紛争という言葉は聞いたことがあるだろう。今回の攻撃は、今後の世界情勢にも大きな影響を与える可能性があり、さらに、日本にも決して無関係とはいえない。
そこで今回は、テレビなどのニュースをより理解しやすいよう、基本的なところからイスラエルとハマスの問題にクローズアップして解説してみたい。
「パレスチナ問題」のきっかけは
まず今回の争いは、1948年から長く続く中東和平問題における最新の衝突である。中東和平問題とは、第一次大戦後にイギリスが当時統治していたキリスト教やイスラム教、ユダヤ教の聖地を含む中東のパレスチナという土地が舞台になっている。
その当時、イギリスは既に当地に住んでいたイスラム教徒のアラブ人には独立した国を作っていいと約束していた。一方で、ユダヤ教徒にはパレスチナでのユダヤ人国家の建設を認めるという「二枚舌」の約束をした。要するに、混乱の中で、アラブ人にもユダヤ人にも同時に、パレスチナを自分の国にしていいよ、と確約したのである。
そして第二次世界大戦後にイギリスがパレスチナの統治を終えると、国連ではパレスチナ分割決議が採択された。それに基づき、同年5月にイスラエルがパレスチナの土地で独立を宣言。それに反発した近隣のアラブ人の国々がイスラエルへの戦争を仕掛けることになった。第一次中東戦争である。以降、現在まで両者間の争いは続いている。
イスラエルは、もともとパレスチナだった土地の西部の海沿いに国家を築いた。そして土地の東側のエリアはパレスチナ人が暮らし、ヨルダン川西岸地域と呼ばれ、1994年からはパレスチナ自治政府が統治する。そしてそこから南西に下ったところには、飛地のように、武装組織ハマスが2007年から実効支配するガザ地区という小さいエリアがある。
パレスチナ住民の暮らす西岸地域とガザだが、西岸地区のパレスチナ自治政府は穏健派で、ガザ地区のハマスは、世界のハマス支持者や反ユダヤ主義者、イスラム教徒などからの寄付も受けてテロなどの武力闘争などの活動を続けている。
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