忘れてはいけない、イランの存在
ここで忘れてはいけないのが、イスラエルとライバル関係で、緊張状態にあるイランの存在である。イランはイスラエルに対して優位に立つために、ハマスへ資金を提供したり、武器などを提供して、代理戦争をさせてきた。今回のイスラエルへの大規模攻撃も、ハマスの背後でサポートしてきたイランから協力があったのは間違いないと指摘されている。
これまで、イスラエルと近隣アラブ諸国の間で争いは絶えず、これまで4度、戦争を繰り返してきた。そして今回、ハマスから攻撃が起きた10月7日は、第四次中東戦争の50周年記念日(10月6日)を迎えたタイミングだった。
なぜこのタイミングだったのか
今回の大規模攻撃では、なぜこのタイミングで行われたのかという疑問が出ているが、いくつかの要因うちの1つは、この第四次中東戦争の記念日に合わせたのではないかといわれている。
さらに他の要因を簡単に説明すると、イスラエル国内が混乱していたことがある。現在のベンヤミン・ネタニヤフ首相が率いるイスラエルでは、ネタニヤフ政権が強硬な宗教右派政党と連立政権を組んでいることで、多くの国民が反発し、批判の声を上げていた。
さらに、ネタニヤフ首相が最近可決した司法改革が、国内で大きな批判を受け、大規模デモが発生するほどになっている。この司法改革では、汚職事件で裁判中であるネタニヤフ首相自らが、最高裁の判決を無効化にできるというとんでもない内容だ。首相が有罪になっても覆せる可能性があり、批判が出るのは当然だろう。
また別の要因としては、イスラエルがイスラム教の国であるサウジアラビアと国交を正常化するべく交渉を続けていたことがある。それを快く思わないイランが、ハマスを使ってイスラエルにテロ攻撃を起こして妨害しようとしたとも考えられる。
加えて、イスラエルと密接な同盟国であるアメリカの事情もある。アメリカでは政府の予算執行ができずに政府封鎖の懸念があり、その混乱によってウクライナなどへの支援が滞りそうな情勢になっている。そうした隙を狙って、ハマス側が攻撃を断行した背景にはあるかもしれないといわれている。
こうした要因が絡み合って、今回の大規模攻撃が行われたと分析されている。
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