ここがヘンだよ、ニッポン企業 第19回

なぜジャニーズのコンサル会社は「NGリスト」をつくったのか、問題の背景に「自白強要型記者」

報道対策アドバイザーとして多くの会見運営に関わってきた立場からすると、ジャニーズ事務所の「NGリスト」は「あってもおかしくはない話」だ。その理由や背景にあるのは……。

逃げると逆効果

まず、記者やジャーナリストというのは基本的に「猟犬」なので、逃げられると執拗に追う。また、公の場で露骨に「差別」を受けると怒りが原動力になって追及が厳しくなる。実際、今回のジャニーズ会見でNGリストに入っていたと報道された人々はさらに闘志を燃やして「徹底追及」を宣言している。

さらに、内部リークを活性化させる。ある世界的な大企業で、自社を厳しく追及するジャーナリストを「NG」扱いにして会見でまったく指名をしなくなったら、現体制に不満のある社員やOBからそのジャーナリストの元に「内部告発」が多数寄せられたという事例がある。特定の記者やジャーナリストを「NG」扱いにすることは、「我が社はこの人が怖いです」と公表しているようなものなのだ。

ジャニーズ事務所2度目の記者会見には報道陣約300人が参加した(撮影:All About ニュース編集部)
報道陣約300人が参加したジャニーズ事務所2度目の記者会見(撮影:All About ニュース編集部)

 

「NGリスト」や「仕込み」がなくならないワケ

しかし、このような危険性があるにもかかわらず、「NGリスト」をつくったり、シンパ(共鳴者)の記者の「仕込み」をする企業は後を絶たない。

なぜかというと、「自白強要型記者」を指名してマイクを手渡してしまうようなことがあると、広報担当者のキャリアが大きく傷ついてしまうからだ。

今回の記者会見をご覧になって分かるように、ひとくちに「記者」と言っても十人十色だ。淡々と事実関係の確認をする記者もいれば、延々と自分の考えを「演説」のように披露して、「どう思いますか?」と感想を求めてくるような記者もいる。

だが、中でも広報担当者が「NG」扱いにしがちなのが、登壇者を詰問して追いつめるような「自白強要型記者」だ。

>次ページ:なぜ「自白強要型記者」を「NG」扱いにしてしまうのか
 

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