1年の終わりの時期が近づいてくると、来年のイベントが気になるという人もいるかもしれませんね。2024年にはどのような天体現象を見ることができるのか、天体望遠鏡メーカー「Vixen(ビクセン)」の神山美穂が解説します。
(今回の疑問)
注目すべき、2024年の天体現象はありますか?
(回答)
日本では12月8日に「土星食」を見ることができます。海外では、北アメリカの多くの地域で4月9日(日本時間)に「皆既日食」が見られるでしょう。
「土星食」を天体望遠鏡で観察してみよう
土星食とは、土星が月の影に隠れる現象のこと。土星食自体は珍しい現象ではないのですが、空が明るい時間帯に起きることもあります。一方、2024年12月8日は日没後から土星食が始まるため、空が暗く、観察しやすい日といえます。
この日に土星食が見られるのは、仙台、東京、金沢、大阪、那覇などの地域(札幌や広島、福岡は不可)。見られる地域にいる人は、ぜひ観察してみてください。
土星は肉眼でも他の星と同じように光っている点として見ることができますが、食の様子を観察するなら天体望遠鏡の使用がおすすめです。天文台などでは天体望遠鏡を使った観察イベントを開催していることもありますので、足を運んでみてはいかがでしょうか。
昼間なのに太陽がいなくなる!? 「皆既日食」は感動モノ
日食とは、太陽が月の影に隠れる現象のこと。中でも皆既日食は太陽がすっぽりと月の影に隠れる現象で、見られる地域は非常に狭い範囲に限られます(※日食には他に、「部分日食」「金環日食」があります)。
生で見るととても感動するそうで、筆者も一生に一度は見てみたい!と思っているのですが……。残念ながら、2024年4月9日の皆既日食は日本では見ることができません。
この日、皆既日食を楽しめるのは主に北アメリカの地域。もし旅行などで現地に行くという人は、ぜひ観察してみてください。きっと大変な盛り上がりになると思いますよ。
なお、リアルタイム配信やニュース映像などでも楽しめると思います。現地には行けないけれど見てみたいという人は、ぜひチェックしてみてください。
毎年安定して見られる「三大流星群」もおすすめ
以上のように、2024年は注目の天体現象が多くはないのですが、毎年特定の時期に出現する「流星群」も、眺めてみるととても楽しいと思います。
特に、お正月の時期に見られる「しぶんぎ座流星群」と、お盆の時期に得られる「ペルセウス座流星群」、そして12月中旬頃に見られる「双子座流星群」は、「三大流星群」と呼ばれています。多くの流星が流れる様子を見られると思いますので、ぜひ観察してみてください。
なるべく多くの流星を見つけるコツは2つ。1つ目は、なるべく月が出ていない時間帯を選ぶことです。月明かりの影響がないほうがより多くの流星を見ることができます。2つ目は、空が開けた場所に行き、空全体を見ながら観察すること。流星はいろいろな方向に流れるので、1点だけではなくて、空全体を見渡すといいでしょう。15分程度、暗闇にしっかり目を慣らすことも忘れずに。
ビクセン 広報担当/星空案内人(星のソムリエ (R) )
さまざまな星空イベントや観望会で、天体望遠鏡や双眼鏡を使った星空案内を行っている。 小学生の息子と季節の星や月を眺めるのが好き。