「天の川」はどこで見られる? おすすめの場所は?【天体観察のプロが解説】

街明かりの多い地域ではなかなか見つけられない「天の川」。どんな場所に行くと見えるのか、天体望遠鏡メーカー「Vixen(ビクセン)」の神山美穂が解説します。

天の川はどこで見られる?(画像提供:Vixen)
天の川はどこで見られる?(画像提供:Vixen)

写真などで天の川を見たことはあっても、実際に見るのは難しいと感じている人もいるのではないでしょうか。天の川はどこに行けば見えるのか、天体望遠鏡メーカー「Vixen(ビクセン)」の神山美穂が回答します。

 

(今回の質問)
天の川はどこに行けば見えますか?

 

(回答)
とにかく暗いところです。なるべく空が開けており、周りに明るいものがない場所に行きましょう。山の上のほうに行くと大気の透明度が高いので、よりはっきりと天の川を見ることができます。


以下で詳しく解説します!
 

そもそも「天の川」とは?

天の川の正体は、星が集まって形成された「天の川銀河」(=銀河系)。実は地球を含む太陽系も天の川銀河に含まれており、私たちが見ている天の川は、天の川銀河の一部なのです。

天の川銀河は全体的に楕円形をしていると言われており、中心部にいくほど無数の星が密集して明るくなっています。一方、太陽系はというと、天の川銀河の端、星の数が比較的少ない部分に位置しています。いわば“田舎”にあるのですね。

日本では夏の間、天の川が明るくはっきりと見えると思います。なぜかというと、この時季の地球は天の川銀河の中心を向いており、明るい部分が見えるからです。一方、冬の間の天の川は淡い光に見えます。というのも、この時季の地球が天の川銀河の端、つまり星の数が少ない部分を見ているからです。
 

>夏の天の川、冬の天の川を写真で見る

 

天の川は、街灯や月明かりがあるとよく見えない

きれいな天の川が見えるのは、なんといっても周囲に明かりがなく、暗い場所です。月光の影響でも見えにくくなってしまうので、月が出ない「新月」頃に見るのがおすすめです。

もし月が出る日に天の川を見たいなら、月が昇る前の時間や、沈んだ後の時間を狙うといいでしょう。 15分程度、暗闇にしっかり目を慣らすことも大切です。
 

双眼鏡を使って天の川を見てみよう

天の川は肉眼で見上げるのもよいですが、双眼鏡で見るのもおすすめです。

倍率が2倍程度の双眼鏡でも星の粒が見えやすくなり、たくさんの星が集まって天の川ができている様子が分かると思います。自宅に双眼鏡があるという人は、ぜひ使ってみてくださいね。
 

この記事の筆者:神山 美穂
ビクセン 広報担当/星空案内人(星のソムリエ (R) )
さまざまな星空イベントや観望会で、天体望遠鏡や双眼鏡を使った星空案内を行っている。 小学生の息子と季節の星や月を眺めるのが好き。
 
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