1日の締めくくりは、「幸せになる力が付いたか」を振り返るサークルタイム
1日の終わりはサークルタイムで締めくくります。片付けが終わって輪になった子どもたちにかけられたのは、「今日1日、幸せになる力は付きましたか?」という言葉でした。
「今日の全ての学びが、幸せになる力を付けるためにあったのか……」これは、目からうろこでした。
最後に静かに目をつぶって瞑想(めいそう)をして、子どもたちは元気に帰っていきましたが、ここからがシェルパたちが大事にしている時間です。
子どもたちが帰った後は、1日の振り返り、1人ひとりの子どもたちを複数の目で観察した結果をシェア、気になった点、成長を感じたポイントなどを共有していきます。
ヒロックにはテストや成績表はありませんが、保護者には、そんな毎日の振り返りを通して、その子が伸びたと思った時点で「あゆみ」というスプレッドシートに書き込んでシェアするようにしているそうです。
それまでの学校ではできなかったことを「ないなら作ろう」の精神で形にして1年半。想像以上に子どもたちの成長に驚かされているという蓑手さんと五木田さん。
そして、新たに加わった他のシェルパたちも、みんなが楽しそうに笑っていて、その笑顔が今のヒロックを体現しているようでした。
子どもに大きな影響を与える大人たちの在り方
今回の取材を通して1番感じたのは、仕組みももちろん大事だけれど、そこにいる大人たちの在り方が子どもたちに与える影響が大きいということ。「自分で自分の幸せを作り、それをまわりに広げていける人になる」
それが、ヒロックが目指しているゴールであり、シェルパ自身の「めあて」なのかもしれません。
小さな教室から、これからどんな物語が紡がれていき、どんな子どもたちが育っていくのか、楽しみです。
ヒロックでは、ウェルビーイングに資するイノベーティブな学びの実現を目的としたラーニング・コミュニティ『まなびの研究所』を開設。
1.オルタナティブな学び
2.学習科学に基づく研究
について、対話を通して学び合う場です。子どもたち、そして大人自身のウェルビーイングに興味のある人やヒロックについてもっと知りたい人は、参加されてはいかがでしょうか。
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※見学も随時受け付けています
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この記事の執筆者:中曽根 陽子
数少ないお母さん目線に立つ教育ジャーナリストとして、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。海外の教育視察も行い、偏差値主義の教育からクリエーティブな力を育てる探究型の学びへのシフトを提唱。お母さんが幸せな子育てを探究する学びの場「マザークエスト」も運営している。『1歩先いく中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』(晶文社)など著書多数。