2023年8月30日、総務省はヤフーに対して行政指導を行った。日本の超有名企業が行政指導を受けたということでニュースにはなったが、総務省の発表による説明だけでは事の本質と重要性が見えてこない。
筆者はこの発表より少し前に、無料メッセージアプリ「LINE」を提供するLINE社の関係者から総務省から動きがあることを耳にしていた。ここで「なぜLINE関係者が?」と思う読者もいるかもしれないが、実は今回の件の背景を見ていくと、LINEも無関係ではないのである。
そこであらためて、今回の行政指導についてひも解いていきたいと思う。日本でかなりユーザー数の多いサービスを提供するヤフーやLINEなどが絡んでくるので、ぜひ最後まで読んでいただきたい。
「Yahoo! JAPAN」の検索ワードや位置情報などがNAVER社に
まず総務省による行政指導の発表とはどういうものだったのか。全て記載すると長くなるので、簡単に要約する。
「ヤフー株式会社は、検索サイトである『Yahoo! JAPAN』の検索エンジン技術の開発のために、2023年5月18日から7月26日まで、ユーザーの検索関連データを韓国のNAVER Corporationに提供していた。そのデータとはユーザーの約756万件の検索ワードなどであり、しかもデータ提供についてユーザーに対してきちんと知らせていなかった」
もう少しかみ砕いて説明すると、要するに上記の期間中、Yahoo! JAPANのWebサイトで検索された約756万件の検索ワードなどが、韓国のNAVER社に渡っていたのである。さらに追加情報として、検索したユーザーの位置情報も約410万件、NAVER社が入手していた。
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