石丸幹二が25年間憧れ続けた名作、ついに上演! ミュージカル『ラグタイム』開幕当時に受けた“衝撃”

『仮面ライダーガッチャード』(テレビ朝日系)への出演が発表されるなど、話題の絶えない人気俳優・石丸幹二さん。そんな彼が何と25年間、憧れ続けてきたミュージカル『ラグタイム』がついに上演されます。最新インタビューからうかがえる“表現者の信念”とは。

1990年に『オペラ座の怪人』(劇団四季)でデビュー以来、舞台を中心に八面六臂の活躍が続く、石丸幹二さん。つい最近も、9月スタートの『仮面ライダーガッチャード』(テレビ朝日系)への出演が発表され、お茶の間でも話題の絶えない存在です。
 

そんな石丸さんがこの秋、意を決して取り組むのが、1998年にブロードウェイで開幕以来、日本上陸が熱望されながらもなかなか実現が叶わなかったミュージカル『ラグタイム』。石丸さん自身、開幕当時に現地で観て衝撃を受けて以来、ひそかに“いつか関わりたい”と願い続けてきた作品だといいます。

『ラグタイム』に出演する石丸幹二さん
ミュージカル『ラグタイム』ターテ(石丸幹二)
いったいどんな作品なのか、そして四半世紀もの間、石丸さんが惹かれ続けたポイントとは? 華々しい活躍を続ける石丸さんの中に息づく“信念”がうかがえる、最新インタビューをお届けします!
 

司会者として感じる“知らないことを知る”喜び

音楽特番で朗らかな美声を披露する一方で、健康番組(『健康カプセル!ゲンキの時間』CBCテレビ)や音楽番組(『題名のない音楽会』テレビ朝日系)の司会者としてもおなじみの石丸さん。テレビ画面から彼の旺盛な好奇心が伝わってくる司会ぶりは、多くの視聴者に愛されています。
 

「私は“自分が知らないことを知ること”に対する興味が強いので、番組を通してさまざまなことを学ばせていただくのは大きな喜びです。
 

健康番組はオファーをいただくまで予期していませんでしたが、60代も視野に入って来ますと、自分の体にも注目しなくてはいけません。人生には演劇だけにのめりこんではいられない、いろいろな事象があると改めて感じておりまして、“生きる上で大切な、健康面のさまざまなことを知りたい”との思いで取り組んでいます。
 

『題名のない音楽会』については、私は音大出身ですので、クラシック音楽に触れ、クラシックを深めたいという気持ちが強いのです。舞台の仕事に役立たせようと意図してやっているわけではないのですが、番組では時に、演劇やミュージカルに関わる楽曲を扱うこともあって、クラシックの視点から演劇の面白さに気づかされることもあります。結果的に、ここでの学びが活きているなと感じています」
 

「(同業の)皆さんにはお勧めしません(笑)」の真意

メイン・フィールドの舞台では2023年、ともに尋常でないスタミナを要する主演作『ジキル&ハイド』『ハリー・ポッターと呪いの子』の2作品を掛け持ちする期間もあり、「およそアスリート・タイプに見えない石丸さんが!!」と、驚きの声があがりました。
 

「恐ろしい時期でしたね(笑)。でも私、アスリートになったんですよ(笑)。『ハリー・ポッター~』ははじめからロングランが決まっていたので、出演にあたってトレーニングを積んで体力・気力をそこに向けていった結果、20~30代の頃の体力が戻ってきました。
 

ただそれも条件が整っていたからこそで、2つの作品が重なった時期は、『ハリー・ポッター~』は開幕から7、8カ月が経ち、役を演じ込んだ状態。また『ジキル&ハイド』は2012年に初めて出演してから、今回が4回目。どちらも体に染み込んでいたので、 “(役を)作りたてでどきどきしている”状態ではなかったんです。もちろん、(2作品の)台詞が混乱しそうになって大変でしたが(笑)、どちらの波にも乗ることができ、ある意味楽しくサーフィンできた期間でした。
 

ただ、(同業の)皆さんにはお勧めしません(笑)。あの経験は私にはオリンピックのようなもので、記録と自分への挑戦でしたが、もう1回やる? と尋ねられたら、“もういいです”と答えますね(笑)」
 

センセーショナルな舞台『ラグタイム』とは?

そんな石丸さんがこの秋、出演する舞台が『ラグタイム』。20世紀初頭のニューヨークを舞台に、ユダヤ系移民、黒人、白人それぞれのドラマが絡み合う大作で、妻を喪(うしな)い、娘を連れてラトビアからやってきた貧しいユダヤ系のアーティスト、ターテを演じます。石丸さんは1998年、ブロードウェイで開幕間もない本作を鑑賞し、“ブロードウェイ・ミュージカルにはこういう作品もあるのか!”と頭から水をかけられたような衝撃を受けたのだとか。
『ラグタイム』
ミュージカル『ラグタイム

「キャストが非常に上手かったのもあるのですが、とにかく音楽が素晴らしくて。“ラグタイム”というのは黒人と白人それぞれの音楽が融合した(ジャズの源流と言われる)ジャンルなのですが、本作ではそこにユダヤの民族音楽も加わって、多重唱のシーンは“音楽のおもちゃ箱”さながら。まさに(人種のるつぼである)アメリカを感じました。また黒人のナンバーに彼らの“ソウル”を感じ、“この作品に飛び込んでみたい!”と強く思ったのです」
 

トニー賞で最優秀脚本賞・最優秀オリジナル楽曲賞など4部門を受賞し、センセーションを起こした作品はしかし、日本上陸までに長い時を要しました。“遠い時代、遠い国”の物語というイメージが先行してのことかもしれませんが、四半世紀が過ぎ、世界は変化。本作で描かれる物語は今や、誰にとっても“自分ごと”となりつつあります。
 

「(今回、井上芳雄さんが演じるピアニスト、コールハウスら黒人たちを巡るパートで)人種差別というアメリカの暗部が赤裸々に描かれていることもあって、本作はアメリカの観客にとって、資料館で自分たちの歴史を“体感”するような感覚で観る演目なのかもしれません。人種間にあるいろいろな問題はその後も解決されていませんので、あるべき社会の姿を自問自答できる作品でもあるのでしょう。
 

でも世界がグローバル化された今、それは私たちにとっても共通のテーマとなりつつあるところに、今回、日本で本作を上演する意義を感じます。日本にもいろいろな国の人たちが移住してきているなかで、無意識の差別や区別が生じていないか。理想の社会を作ってゆくのは本当に簡単なことではないのだな、ということが、本作から見て取れると思います」
 

>次ページ:「楽しかったね」だけで帰れる作品ではないけれど
 

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