韓国エンタメ初心者もハマる一方で……案外冷静なK-POPファンも!? 私たちが「NewJeans」に“ザワつく”理由

2023年も勢い止まらぬ「NewJeans」。今までK-POPに親しんでこなかった人でもハマる人が増えている中、古くからのファンでNewJeansにどハマりしてる人は意外に少ない? との声も……。どうして私たちはNewJeansにザワつくのか、その理由について考えます。※サムネイル画像:Mydaily/アフロ

NewJeansは「ゲームチェンジャー」たりうる。が……


ゆりこ:大昔はそのまんま「韓国の大衆音楽」だったのが、今や「HIPHOPとは」「ROCKとは」と同じ規模感の問いになっている(笑)。確かにこれまでK-POPの特徴、トレンドとされてきた、「ラップと歌い上げパートが共存する玉虫色構成」「迫力ある重低音」「一糸乱れぬ群舞」「ガールクラッシュ・強くかっこいい女子像」といった要素は見られませんよね。

メンバー内の年齢差はあるものの、リーダーや〇〇担当という役割分担もなく、あいさつ時の決まった掛け声もありません。上下関係を重視する儒教的……東洋的とも言える価値観とは距離を置いているようにも見えます。パフォーマンスも体育会系の香りはしませんよね。もちろん裏では日々ハードな練習を重ねているはずですが。

矢野:僕は曲やミュージックビデオ、世界観などが今までのK-POPと比較すると“異端”だなと思っています。パキパキ、ギラギラ、シャキーン! ではなく、ひらひら、きらきら、すら~って感じです。まだ自分の中でうまく言語化できていないのですが……良くも悪くも、いわゆる“アイドル”らしくないと言いますか。K-POPの可能性をいろんな方向へ広げる“風雲児”的な存在なのかもしれません。

ゆりこ:確かにNewJeansは「ゲームチェンジャー」たりうる。しかしこれまでのK-POPの流れを断絶しているわけではないし、「突然変異の新種」ではないというのが個人的な見解です。すでにいろんなところで出ている話ですが、プロデューサーのミン・ヒジンさんは元々SMエンタテインメント(以下:SMエンタ)で少女時代、SHINee、EXOにf(x)、Red Velvetなど第2、3世代と呼ばれるK-POPアイドルのコンセプト作りをしてきたアートディレクターです。初期のNCTにも関わっていました。凄腕ゆえ、ついた別名は「コンセプト職人」。

矢野:すごいあだ名ですね。ミン・ヒジンさんが斬新なコンセプトを作り続けている先の最新形がNewJeansということなのか。

ゆりこ:先ほど「長年のK-POPファンはNewJeansにハマりにくい説」を出しちゃったのですが、特にSMエンタのアイドルを追ってきた人には刺さる部分もあるのでは? と思っています。

矢野:逆に今NewJeansからK-POPにハマり始めた人はミン・ヒジンさんがかつて手がけたグループに注目してみるのも面白いかもしれませんね。特にオススメはありますか?

ゆりこ:あえて1組選ぶならf(x)、中でも『Pink Tape』というアルバムですかね。当時は斬新すぎて……いや今見聞きしても斬新。NewJeansと似ているかと聞かれると全く似ていない(笑)。でも、「K-POPの枠を広げた」という点では共通点を感じます。ちなみに最近話題のBTSのVさんのソロアルバム、プロデュースをミン・ヒジンさんに依頼した理由が、“f(x)の『Pink Tape』が好きだったから”だそうです。

矢野:知る人ぞ知る名盤なのですね。僕は遅ればせながらSHINeeにハマっていて、暇さえあれば曲を聞いたり当時のミュージックビデオを見たりしています。たまたまYouTubeにおすすめ動画として出てきた『Good Evening』がきっかけだったんですが、今やメンバー全員の名前を覚え、出演番組も追っかけたりするほどドハマり中です(笑)。

ゆりこ:SHINeeのデビュー曲『Replay』や2ndミニアルバム『ROMEO』もミン・ヒジンさんの仕事を語るのに欠かせない作品です。実は最初にNewJeansの『Attention』を見たとき、最初に思い出したのがSHINeeの『Replay』。曇りなきキラキラ感、これまでの流れをガラっと変えにきたなという末恐ろしさと、それでいて気張らないオシャレさも持ち合わせている。世代も性別も会社もメンバーの個性も違うけれど、共通する魅力を持っているなと感じました。

矢野:NewJeansって若い世代から見たら新鮮に映りますが、大人世代からも支持されている印象があります。ファッションや音楽性にどこか「懐かしい部分」があるんだろうなって。

ゆりこ:間違いなく、あると思います。今、日本でも韓国でも1990年代や2000年代初めのファッションやカルチャーが再び脚光を浴びていますがNewJeansの取り入れ方は上手ですよね。決して“まんま”使わずちゃんと2023年用にアップロードされている。色使い、取り入れる分量、全てのちょっとした「塩梅」が絶妙。「Y2Kリバイバル(復活)」というより「Y2Kリボーン(生まれ変わり)」って感じです。

矢野:確かにファッションは当時のそれを丸っとコピペしているわけではなさそうです。丈の短いシャツやスポーツウエア、バギーなボトムスなどをうまく組み合わせたNewJeansのファッションは、新しいんだけどどこか懐かしい感じもします。「ニュー」と「レトロ」が程よく融合されているからこそ、取って付けたような違和感があまりないんだろうなと。ちなみに、音楽的な部分で言うと「懐かしい部分」はどこらへんですか?

 

>次ページ:まさに“温故知新”。2023年の新しい「ニュジ色」に染め直している

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