東急電鉄では大井町線で有料座席指定サービス「Q SEAT」を運行しているが、第2弾として東横線でも同様のサービスを8月10日から開始する。通勤電車の有料座席指定サービスは、東武東上線のTJライナー(2008年運行開始)を皮切りに各社が行っている。東横線のQ SEATは、果たしてどんな反響を呼ぶのであろうか?
首都圏の私鉄各社による有料座席指定サービス
首都圏の通勤電車における有料座席指定サービスは、TJライナー(東武東上線)、THライナー(東京メトロ日比谷線&東武伊勢崎線)、京王ライナー(京王電鉄)、S-TRAIN(東京メトロ有楽町線&西武池袋線など)、拝島ライナー(西武新宿線&拝島線)、ウイング号(京急電鉄)と各社競って導入しているが、いずれも、全編成座席指定である。
それに対し、東急のQ SEATは編成中の一部車両のみの運用で、JR東日本の普通列車のグリーン車や京急のウィング・シート(土休日運行)に似ている。大井町線の場合は7両編成中1両(3号車)がQ SEAT車両だ。今回導入する東横線は、10両編成中2両(4号車&5号車)がQ SEAT車両で大井町線に比べて増強される形だ。
これまでの通勤電車の有料座席指定サービスは、遠距離通勤客を主なターゲットとしている。都心のターミナル駅から一定の区間はノンストップで走行し、その後、こまめに停車していく形をとっているものが多い。都心から離れるに従って利用者は減少していくので、それに合わせた運行形態だ。
東横線の有料座席指定サービスの特徴
対して東横線は、やや事情が異なる。路線は東京と横浜という2大都市を結んでいて、始発駅の渋谷を離れるに従って利用客が減っていくことはない。利用者が途中駅で下車しても、その代わりに別の利用客が横浜方面まで乗車するのだ。
そうした実態を反映して、東横線の渋谷駅から横浜駅までの全区間が乗車・降車可能区間となっている。停車駅は急行停車駅全てで、これは既存の急行電車(渋谷始発、元町・中華街行き)のうちの2両のみがQ SEATであることからも当然であろう。
もちろん、渋谷駅から横浜駅あるいは、直通するみなとみらい線の各停車駅まで乗り通す人もいるだろうが、日比谷線で中目黒までやってきて、そこから横浜方面まで利用する人、武蔵小杉から横浜方面まで乗車する人など、多様な乗車パターンが考えられる。常時混雑している東横線では、途中駅から座れる保証はないので、どうしても着席したい人にとっては、座席指定サービスは重宝するのではないだろうか?