「うちの子、スマホ依存かも!?」と悩む大人たち……中学生ですら平均4時間37分も利用していた

中高生の子どもを持つ多くの保護者が、スマホへの依存度の高さに悩んでいます。もしかしてわが子はスマホ依存症なのではないか? と感じたとき、どのように対処すればよいのか、ITジャーナリストの鈴木朋子さんに聞きました。

物心がついたときには、すでにスマホが身近にあったデジタルネイティブな子どもたち。あっという間に使いこなすようになり、気付けば手放せなくなり、そしてスマホばかりの日々になっている……という子も少なくないかもしれません。多くの保護者が、子どもたちのスマホへの依存度の高さと対処法が分からないことで悩んでいます。予防法や正しい対処法はあるのでしょうか。中高生のスマホ事情にも詳しいITジャーナリストの鈴木朋子さんにお話を聞きました。

子どもの利用実態は?
デジタルネイティブ世代のスマホ利用実態は?

>使用時間5時間超の子どもがこんなに!?
 

最低限「何を」「何時間」やっているか把握したい

重要なのは、フィルタリング機能を活用して子どものスマホ使用状況をある程度管理できる体制にしておくこと。
 

「Androidならファミリー リンク、iPhoneならスクリーンタイムなど、無料のフィルタリング機能があります。日ごろから、少なくとも使用時間と何をやっているかは把握しておきましょう。自分で管理できないタイプの子にはアプリごとに使用時間の制限ができますし、夜10時以降は使えないなどの設定も可能です」(鈴木さん)
 

内閣府の「⻘少年のインターネット利⽤環境実態調査」によると、インターネットの利用時間は増加傾向にあることが分かります。平均的な利用時間を学校種別に見ると、

「3時間以上」インターネットを使っている小学生は52.7%、中学生は69.9%、高校生になると78%。高校生では、50.2%が「5時間以上」インターネットを利用している。平均利用時間は、小学生が213.7分、中学生が277分、高校生が345分

というデータが出ています。
 

多くの家庭で勃発しているのが、利用時間や制限に関する攻防ではないでしょうか。親が設定した制限に文句ばかり言う子どもに嫌気がさして「もう知らない! 勝手にしなさい」と制限解除して放置状態にならないためには、事前の約束が重要なのだとか。
 

「大切なのは最初に制限内容を決めるときに、必ず子どもと話し合って、守れる約束にすることです。学年があがるとき、習い事など生活パターンが変わるフェーズで守れなくなってきたときには、都度ルールを見直しましょう。親が一方的に決めることがトラブルの原因です。守れなかったときのペナルティもしっかりと作っておくことも忘れずに」(鈴木さん)

 

約束を破ったら「スマホ没収」は最もダメな方法

家族で話し合って決めたルールをもしも子どもが守れなかった時、どのようなペナルティを与えればよいのでしょうか。ありがちなのが、約束を破られた親がキレてスマホを没収するというやり方。鈴木さんによると実はこれがいちばんよくないのだそうで……。
 

「子どもにとってはスマホを奪われるのがいちばんの恐怖です。取り上げられないために、嘘をついたり、ごまかしたりし始めます。すると例えば、ワンクリック詐欺、オンラインゲームへ予期せぬ課金なども親に隠す可能性も。気付いたときには犯罪に巻き込まれる寸前だった、大金が使われていた……なんてことになりかねません。1週間など“期間限定で預かる”などといった対応がよいでしょう」(鈴木さん)

 

生活に支障が出始めたら親の出番と心得て!

さまざまな理由で管理がうまくいかず、子どもがスマホ漬けの日々になってしまった場合、危険な依存度か否かを判断する基準はあるのでしょうか。
 

「生活に支障が出ているかどうかを判断基準にするといいでしょう。学校に行けていればまだ許容範囲かもしれませんが、朝起きられない、夜寝られない、面倒くさいから食事をとらないと言い出したり、お風呂に入らない、部屋から出てこないなど、子どもらしい日常生活でなくなってきたら危険信号です」(鈴木さん)


危険だと認識しても、親の言うことになかなか耳を貸さない難しい年ごろの子どもたち。本当に困った時は専門の病院に相談してほしいと鈴木さん。重症の場合は厚生プログラムへ参加するという選択肢もあり、月に1回などのペースで通うことで改善していくこともあるようです。
 

「依存は“否認の病”と言われています。生活に何らかの支障が出ていても、本人は依存しているつもりはなく、いつでも止められる、大げさな話じゃないと思っているんですね。専門病院では、スマホの使い方などグループカウンセリングを通して、本人に依存症であることに気づかせてくれます」(鈴木さん)
 

>小中高校生のインターネット利用実態
 

大人自身も依存していないか、家族で一緒に考えたい

かつてテレビの見すぎや漫画の読みすぎが子どもの成長に悪影響だと言う人がいたように、スマホやインターネットが今後、子どもたちの体や脳にどんな影響を及ぼすのか未知な部分がたくさんあります。大人でも知らず知らずのうちにスマホを手放せなくなっているケースも多いでしょう。


「実際、視力が落ちる、姿勢が悪くなる、スマホの持ちすぎで親指が変形するなどいろいろと影響があると言われていますし、気になるのであればスマホから離れる時間を持つようにしましょう。YouTubeをスマホでなくリビングのテレビで視聴するよう促してみるなど、スマホの画面から目を離せる声掛けをしてあげましょう。親子関係がスムーズだとスマホ依存になりにくいとも言われています。家族の会話も積極的にしたいですね」(鈴木さん)


東京都都民安全推進部の「こたエール」には、スマホ依存に関する相談事例とアドバイスが多数掲載されていますので参考にしてみてください。


この記事の監修者:鈴木朋子さん
ITジャーナリスト。スマホ、SNS、Webサービスなど、身近なITに関する専門家。2人の娘を持つ母親で中高生のスマホ事情にも詳しい。子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など多数。

この記事の筆者:古田綾子
雑誌・Webメディアの編集者を経てフリーランスライター。2児の母。子どもの受験をきっかけに教育分野に注力。自らの経験に基づいた保護者視点で、教育界の生の声やリアルな体験談などを取材・執筆。

 

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

編集部が選ぶおすすめ記事

注目の連載

  • 「港区女子」というビジネスキャリア

    深刻な男女賃金格差から「港区活動」を“就職先”にする危険性。港区女子になれなかった女子大生の末路

  • ヒナタカの雑食系映画論

    草なぎ剛主演映画『碁盤斬り』が最高傑作になった7つの理由。『孤狼の血』白石和彌監督との好相性

  • 世界を知れば日本が見える

    もはや「素晴らしいニッポン」は建前か。インバウンド急拡大の今、外国人に聞いた「日本の嫌いなところ」

  • 海外から眺めてみたら! 不思議大国ジャパン

    外国人観光客向け「二重価格」は海外にも存在するが……在欧日本人が経験した「三重価格」の塩対応