子どもに「生成AIを使いたい」と言われた! 自由研究、読書感想文……夏休みの宿題で一番ダメな対応は

子どもたちはどのように生成AIと向き合っていけばよいのか、保護者はどのように見守ればよいのか。「生成AI」の進化が子どもたちの学習に及ぼす影響について、ITジャーナリストの鈴木朋子さんにお話を聞きました。

AIと共存していかなければならない世の中、教育の現場でもその使い方は深刻な問題となっています。文科省は2023年7月4日に「初等中等教育段階における生成 AIの利用に関する暫定的なガイドライン」で教育現場における指針を発表。子どもたちが学校から持ち帰った夏休みの課題を前に、生成AIをどう利用すればよいのか悩む保護者も多いかもしれません。ITジャーナリストの鈴木朋子さんに話を聞きました。

夏休みの課題が生成AI頼みになったら学びはどうなる?

>ChatGPTを使ったことがある小学生は想像以上に多い!
 

ChatGPTを知っている子の約7割が「利用経験あり」とのデータも

7月13日に発表された「ChatGPTの利用に関する意識調査」(全国の小3~小6とその保護者1032組対象、ベネッセコーポレーション)によると、小学生の20%がChatGPTを「知っている」と回答。そのうち約7割が利用経験ありと回答しています。
 

生成AIのニュースが日々メディアで取り上げられている状況を考えれば、知っていて、使ったことがある子どもの数は今後も増えることが予想されます。家庭ではどのように生成AIと向き合っていくべきなのか、しっかりと考えておきたいですね。
 

夏休みの宿題に生成AI活用は「自分のためにならない」

初等中等教育段階における生成AIの利用に関する暫定的なガイドライン」で文部科学省(以下、文科省)は、

「読書感想文などを長期休業中の課題として課す場合には、AIによる生成物を自己の成果物として応募・提出することは不適切又は不正な行為であること、自分のためにならないことなどを十分に指導しているか。保護者に対しても、生成AIの不適切な使用が行われないよう、周知・理解を得ているか」

としています。「一律に禁止や義務づけを行う性質のものではない」としながらも、

「あくまでも“参考の一つに過ぎない”ことを十分に認識し、最後は自分で判断するという基本姿勢が必要となる」

「AIに自我や人格はなく、あくまでも人間が発明した道具であることを十分に認識する必要がある」

と注意喚起をしています。
 

多くの生成AIには対象年齢が定められており、ChatGPTを例に見てみると「13歳以上、18歳未満は保護者同意」という利用規約となっています。文科省も、「特に小学校段階の児童に利用させることは慎重な対応を取る必要がある」としており、低年齢の子どもたちが自由に使うことは想定されていないツールであることがうかがえます。

 

子どもが生成AIを使うときに親は何に注意すればよいか?

では夏休み、宿題に取り組む子どもに「生成AIを使いたい」と言われたらどうすればよいのでしょうか。
 

「読書感想文やレポートなどの文章を書かせ、そのまま作品として提出するのはいけませんよね。学力や年齢によりますが、小中学生なら普段の文章力と差が出るので気づかれると思います。情報が正しいとも限らないので、読書感想文では本の内容と合致しない場合も考えられます。情報も、文章としても、仕組みとして完璧ではないことを親子で認識しておく必要があります」(鈴木さん)
 

小学生は親子で一緒に、中学生は利用方法を限定するのがおすすめなのだとか。
 

「小学生は、自由研究のテーマや取り組み方を相談したり、家族旅行の計画の参考にしたり、日常生活を楽しむツールとして使うのがおすすめです。中学生は親の管理下で、書いた文章を校正してもらう、英会話の相手などがいいでしょう」(鈴木さん)


実際に文科省も前述の指針で、

「英会話の相手として活用すること」

「生成AIを用いた高度なプログラミングを行わせること」

「グループの考えをまとめたり、アイデアを出す活動の途中段階で、生徒同士で一定の議論やまとめをしたうえで、足りない視点を見つけ議論を深める目的で活用させること」

などを推奨するとしています。

 

「禁止」が一番ダメ! AIでプログラミング的思考が育つ可能性

保護者自身が使ったことがない、よく分からないという場合でも、「禁止するのが一番よくない」「まずは使ってみるのがいい」と鈴木さん。年齢を問わず、有効な使い方としては、「プログラミング的思考を学ぶこと」なのだそうです。
 

「AIをうまく活用するには、プログラミング的思考が必要です。つまり、正しく質問しないと欲しい回答がかえってきません。AIとの会話を人同士のコミュニケーションスキルの向上に応用してみてもいいですね。普段SNSを使うときの文章作成や、会話をする際の指針になると思います」(鈴木さん)
 

最近は、ベネッセが小学生の自由研究支援サービスを提供することも話題になりました。
 

特に低年齢の子どもに関しては、夏休みの宿題は「親の宿題」ともいわれるほど保護者の負担も大きいもの。時間が許せば、一緒に使いながら、さまざまな質問を投げかけ、親子で質問スキルを高めながら。もちろん、親も積極的に使うことでITスキルを高め、子どもと一緒に学ぶ姿勢でいるのが前提ではありますが、手が足りないとき、「AIに相談してみたら?」と子どもに提案してみるのも一つの方法かもしれません。
 

この記事の監修者:鈴木朋子さん
ITジャーナリスト。スマホ、SNS、Webサービスなど、身近なITに関する専門家。二人の娘を持つ母親で中高生のスマホ事情にも詳しい。子どもの安全なIT活用をサポートする「スマホ安全アドバイザー」としても活動中。著作は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶスマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)など多数。

この記事の筆者:古田綾子
雑誌・Webメディアの編集者を経てフリーランスライター。2児の母。子どもの受験をきっかけに教育分野に注力。自らの経験に基づいた保護者視点で、教育界の生の声やリアルな体験談などを取材・執筆。
 

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