2023年6月14日、俳優の広末涼子さんと、フレンチレストラン「sio」オーナーシェフの鳥羽周作さんが、ダブル不倫を認め謝罪した。この不倫報道において、広末さんが鳥羽さんに送ったとされる“プライベートな交換日記”が流出し、波紋を呼んでいる。そもそも、この交換日記の出どころはどこなのか、SNS上では議論が勃発。「流出はプライバシーの侵害では?」との意見も挙がっている。
このようなやりとりの流出は法律的に問題ないのだろうか。いくつかの事例をもとに、エンターテインメント関連の法務に詳しい尾崎聖弥弁護士の意見を聞いた。
芸能人は職業柄「プライバシーの範囲が狭くなる」場合がある
尾崎弁護士によると「過去、芸能人はその職業柄『一般の人よりもプライバシーの範囲が狭くなる場合がある』とする裁判例がありました」とのこと。芸能人は、世間からのイメージによって仕事が決まる職業であり、そのイメージに関わる情報についてのプライバシーは制限される。
しかし、一方でタレントのイメージと関係のない情報、例えば住所や電話番号などを公開すれば、プライバシー侵害となる。一体、プライバシー侵害になるかならないかの境界線はどこにあるのだろうか。
今回の広末さんと鳥羽さんの報道以前にも、芸能人の不倫の証拠が流出したケースはあった。いくつか事例を挙げていきたい。
川谷絵音&ベッキーの「LINE流出」はプライバシー侵害に当たる?
2016年、ミュージシャンの川谷絵音さんとタレントのベッキーさんの不倫が報道された。最初こそ、川谷さんとベッキーさんは共に不倫関係を否定。ベッキーさんについては『週刊文春』(文藝春秋)が発売される前日に記者会見を開き、川谷さんと食事に行き、長崎にある川谷さんの実家を訪問したことは認めたが、川谷さんとの関係を「友人関係」と表現し、川谷さんとの交際を否定した。しかし、その後に川谷さんとベッキーさんによるLINEのやりとりが流出。離婚届のことを「卒論」と呼び、クリスマスにディズニーシーにデートに行ったこと、そして「友達で押し通す予定!笑」として今後の計画を立て、『週刊文春』のことを「センテンススプリング」と呼んでいたことが明らかになると、結局は不倫関係を認めることになった。
このLINEの流出はプライバシー侵害となるのだろうか。尾崎弁護士に聞いてみた。
「ベッキーさんはこの時点で複数のレギュラー番組、CMを持っていましたが、世間の人々が『不倫した人が出演する番組は見たくない』『不倫した人がCMに出演する商品は買いたくない』と考えている以上、ベッキーさんが“不倫をしていたかどうか”は、世間の人々にとってその番組を見るか、そのCMの商品を買うかを決定する上で重要なことでした。
川谷さんについても、『週刊文春』の記事が掲載されたのは、自身が所属するバンド『ゲスの極み乙女。』のセカンドフルアルバムが発売されるタイミングであり、不倫をしたロックバンドのCDなんて聞きたくないと考える人もいるでしょう。
そしてベッキーさんと川谷さんは共に不倫関係にあることを否定していたので、世間の人々にとって、2人の間のLINEを読むことは川谷さんとベッキーさんが不倫をしていたかどうかを判断する上で重要なことでした。このように考えると、LINEの公開については、プライバシー侵害にならない可能性もあります」(尾崎弁護士)
もし川谷さんとベッキーさんが一般人だった場合、プライバシーの侵害に当たる可能性は高いと尾崎弁護士は言う。しかし「プライバシーの範囲が狭くなる」芸能人のケースでは侵害に当たらない可能性があるようだ。