広末涼子&鳥羽周作の「交換日記の流出」の場合は?
それでは、広末さんと鳥羽さんの不倫報道を改めて振り返ってみよう。当初、広末さんと鳥羽さんはどちらも不倫の事実を否定。『週刊文春』が2人の“交換日記”を公開したのと同じ日に、それぞれ不倫関係を認めた。この交換日記の流出は、プライバシー侵害となるのだろうか。
「ベッキーさんと川谷さんのケース同様、広末さんも鳥羽さんも、当初は不倫の事実を否定していたため、世間の人々が『2人が不倫をしているのかどうか』を判断するためには、交換日記を読む必要がありました。
こう考えると、もちろん実際の裁判ではそのほかのいろいろな事情も考慮して判断されますが、プライバシー侵害はなかったとされる可能性がありそうです」(尾崎弁護士)
ベッキーさんの事例と同様、「プライバシーの範囲が狭くなる」芸能人だからこそ侵害にならない可能性があるとの見解だ。
その一方で、次のようなケースは、芸能人であってもプライバシーの侵害に当たる可能性があると尾崎弁護士は言う。
アンジャッシュ渡部建の不倫報道で見られた、過度な「暴露」
2020年、お笑いコンビ・アンジャッシュの渡部建さんが複数の女性と不倫をしていたことが報道された。当時の『週刊文春』の記事では、不倫相手の女性の証言という形で「六本木ヒルズの多目的トイレに呼ばれた」「帰り際には1万円札を1枚渡された」という暴露まで行われた。この暴露に関しては、プライバシーの侵害に当たる可能性が考えられるという。
「記事が公開された時点で、渡部さんはすでにその記事の中で不倫の事実を認めていました。それを超えて『六本木ヒルズの多目的トイレで、1万円札を渡された』などの暴露をする必要はあったのでしょうか。
世間の人々が渡部さんの出演する番組を見るかどうかの判断をするためには、不倫をしたことの報道だけで十分だったとの考え方もあるでしょう。そうすると、詳細な暴露はプライバシー侵害だったという見方ができるかもしれません」(尾崎弁護士)
芸能人のプライバシーが制限されるのは、われわれが芸能人に対して“過度な清廉潔白さ”を求めているからである。芸能人の不倫報道は過熱化する一方であるが、芸能人も同じ1人の人間であることを忘れてはいけない。
この記事の筆者:毒島 サチコ プロフィール
ライター・インタビュアー。緻密な当事者インタビューや体験談、その背景にひそむ社会問題などを切り口に、複数のWebメディアやファッション誌でコラム、リポート、インタビュー、エッセイ記事などを担当。
取材協力:尾崎聖弥 プロフィール
第一東京弁護士会。エンターテインメント・ロイヤーズ・ネットワーク所属。企業に対するコンプライアンス研修などを担当している。