なんとなく目にしてはいても、正しい読み方には自信がない方もいるかもしれません。今回は「続柄」の正しい読み方を、現役アナウンサーの笠井美穂が解説していきます。
<目次>
・「続柄」の意味とは
・「続柄」の正しい読み方は「つづきがら」
・「続柄」の書き方
・血縁関係を表す「続(つづき)」
・まとめ
「続柄」の意味とは
「続柄」とは、親子や夫婦、兄弟などのつながりなど、親族としての関係を指します。
年末調整や、転入出の手続きの際など、書類で記載を求められる「続柄」の記入欄は、その書類の基準となる人にとって、ある人がどのような親族関係にあるかを書くための欄です。
「続柄」の正しい読み方は「つづきがら」
「続柄」の読み方で「ぞくがら」や「つづきがら」で悩んでいる方も多いのでは? 実は、正しい読み方は「つづきがら」です。
『精選版 日本国語大辞典』では、「つづきがら」の項に「続柄」の説明が記載されているのに対し、「ぞくがら」については「『つづきがら(続柄)』の俗な言い方」と説明されています。
「続柄」という言葉は、書類などで目にする機会に比べると、口に出して読む機会は多くはありません。そのため、本来は誤りである「ぞくがら」という読み方がある程度、浸透してしまったのかもしれません。
このように、誤読が広く一般化した読み方を「慣用読み」といいます。「早急」「重複」「出生」「貼付」なども代表的な慣用読みです。
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「続柄」の書き方
例えば、住民票では、世帯主を基準に家族それぞれの続柄が記載されます。両親と子ども1人の3人家族で父親が世帯主の場合
・父親……世帯主・母親……妻
・子……子
夫婦で夫が世帯主の場合
・夫……世帯主・妻……妻
年末調整の書類で扶養控除を申請する場合などは、申請者との続柄を記入する場合もあります。
親子3代で暮らしていて、世帯主は祖父、父親の扶養に子どもが入っている場合
・祖父……世帯主・父親……申請者、(世帯主との続柄)子
・子……(申請者との続柄)子
「〇〇との続柄」と書かれている場合、「〇〇」に当てはまる人を基準に関係性を考える必要があるので、少しややこしいですね。
本人を基準にした「続柄」の書き方一覧
・本人:本人・本人の父や母:父、母
・本人の兄弟姉妹:兄、弟、姉、妹
・本人の父方母方の祖父母:父の父、父の母、母の父、母の母
・本人の父母の兄弟姉妹(おじ、おば):父の兄、父の弟、父の姉、父の妹、母の兄、母の弟、母の姉、母の妹
・本人の子ども:子
・本人の子どもの夫や妻:子の夫、子の妻
・本人の孫:子の子
・本人の兄弟姉妹の夫や妻:兄の妻、弟の妻、姉の夫、妹の夫
・本人の兄弟姉妹の子ども(おい・めい):兄の子、弟の子、姉の子、妹の子
・本人の親の兄弟姉妹の子ども(いとこ):父の兄の子、父の弟の子、父の姉の子、父の妹の子、母の兄の子、母の弟の子、母の姉の子、母の妹の子
・夫の父や母:夫の父、夫の母
・夫の祖父母:夫の父の父、夫の父の母、夫の母の父、夫の母の母
・夫の兄弟姉妹:夫の兄、夫の弟、夫の姉、夫の妹
・夫の兄弟姉妹の子ども(おい、めい):夫の兄の子、夫の弟の子、夫の姉の子、夫の妹の子
・夫の親の兄弟姉妹(おじ、おば):夫の父の兄、夫の父の弟、夫の父の姉、夫の父の妹、夫の母の兄、夫の母の弟、夫の母の姉、夫の母の妹
・夫の親の兄弟姉妹の子ども(いとこ):夫の父の兄の子、夫の父の弟の子、夫の父の姉の子、夫の父の妹の子、夫の母の兄の子、夫の母の弟の子、夫の母の姉の子、夫の母の妹の子
・妻の父や母:妻の父、妻の母
・妻の祖父母:妻の父の父、妻の父の母、妻の母の父、妻の母の母
・妻の兄弟姉妹:妻の兄、妻の弟、妻の姉、妻の妹
・妻の兄弟姉妹の子ども(おい、めい):妻の兄の子、妻の弟の子、妻の姉の子、妻の妹の子
・妻の親の兄弟姉妹(おじ、おば):妻の父の兄、妻の父の弟、妻の父の姉、妻の父の妹、妻の母の兄、妻の母の弟、妻の母の姉、妻の母の妹
・妻の親の兄弟姉妹の子ども(いとこ):妻の父の兄の子、妻の父の弟の子、妻の父の姉の子、妻の父の妹の子、妻の母の兄の子、妻の母の弟の子、妻の母の姉の子、妻の母の妹の子
・同居人:同居人※親族以外の関係者など。同棲の場合など
・内縁の夫:夫(未届)※(未届)は、内縁の配偶者を指す
・内縁の夫の子ども:夫(未届)の子
・内縁の妻:妻(未届)
・内縁の妻の子ども:妻(未届)の子
・縁故者:縁故者
※すでに婚姻している人が他の男女と内縁関係にある場合は「夫(未届)」と書けず「縁故者」、養子縁組届が届出されていない事実上の養子は「縁故者」となる
年末調整における「続柄」の書き方
年末調整では、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」「給与所得者の保険料控除申告書」などを提出します。記入欄には、「あなたとの続柄」を書く部分がありますので、「あなた」すなわち「実際に勤め先に書類を提出する人」から見た関係を記入します。【例:申請者が世帯主本人である場合】
・「世帯主の氏名」欄に自分の名前を書き、「あなたとの続柄」には「本人」と記入
【例:申請者が世帯主ではない場合】
・世帯主が夫の場合:「世帯主の氏名」欄に夫の名前を書き、「あなたとの続柄」には「夫」と記入
・世帯主が親の場合:「世帯主の氏名」欄に父(母)の名前を書き、「あなたとの続柄」には「父(母)」と記入
確定申告における「続柄」の書き方
確定申告書は、書類によって続柄の書き方が異なります。申告書第一表の上部には、「世帯主の氏名」および「世帯主との続柄」を記入する欄があります。ここには、住民票における世帯主の氏名と、「世帯主から見たときの」申告者の続柄を記入します。また、「扶養控除」の適用を受けるためには、第二表において「対象扶養親族の氏名」および「続柄」を記入する必要があります。こちらは、第一表とは異なり、「申告者から見たときの」扶養親族の続柄を記入します。
【例:申告者が世帯主本人かつ、母親・妻・子どもを扶養している場合】
・第一表:「世帯主の氏名」欄に自分の名前を書き、「世帯主との続柄」に「本人」と記入
・第二表:配偶者欄に妻の名前、「扶養親族」欄に母親と子どもの名前を書き、「続柄」にはそれぞれ「母」「子」と記入
【例:申告者の父親が世帯主で、申告者が両親・妻を扶養している場合】
・第一表:「世帯主の氏名」欄に父親の名前を書き、「世帯主との続柄」に「子」と記入
・第二表:配偶者欄に妻の名前、「扶養親族」欄に両親の名前を書き、「続柄」にはそれぞれ「父」「母」と記入
住民票における「続柄」の書き方
住民票における「続柄」は、「世帯主」から見た親族関係が記載されています。住民票の写しを請求する際は、続柄を記載するか否かを選ぶことができます。例えば、夫婦と子ども2人、妻の母が同じ世帯にいて、夫が世帯主の場合、それぞれの続柄は「世帯主」「妻」「子」「子」「妻の母」となります。子どもは、長男・長女ではなく全員「子」と記載されます。
血縁関係を表す「続(つづき)」
「続」という字は、訓読みで「つづく」と読みますが、この連用形が名詞化した言葉に「続き」があります。上記の(2)の意味にあるように、「つづき(続き)」という言葉には、血統が続くという意味があり、「続柄」の「続(つづき)」もこの意味であることが分かります。つづき【続き】
(1)続くこと。続き具合。また、続くもの。
(2)家系・血統などが、代々続いていくこと。
(3)他の語の下に付いて、続いていること、つながっていることを表す。
(『大辞林 4.0』三省堂)
この意味での「つづき(続き)」が使われる言葉には、他にも次のようなものがあります。
血縁関係を意味する「続」という文字は「つづき」と読む、と覚えておくとよさそうです。つづきあい【続合】
互いの続き具合。特に、血族・姻族の関係にあること。また、その人。縁故関係。続柄。
つづきがき【続書】
親族の人々の続柄を書いた文書。
(『精選版 日本国語大辞典』小学館)
まとめ
普段なかなか声に出して読むことの少ない「続柄」という言葉。読み方に迷ってしまうこともあるかもしれませんが、正しくは「つづきがら」です。
この機会に、言葉の意味とともに本来の正しい読み方「つづきがら」を覚えてみてください。