
「資料を添付します」「添付フォルダをご確認ください」など、ビジネスの場面で「添付」という言葉を目にする機会は多いと思います。
この「添付」、読み方は「てんぷ」「そうふ」どちらが正しいのでしょうか。正しい読み方と、似た言葉の使い分けを現役フリーアナウンサーの笠井美穂が解説していきます。
<目次>・「添付」とは? 意味と文例
・「添付」の正しい読み方は?
・「添付」の類語:「送付」「貼付」との違いは?
・「添付(てんぷ)」は似た言葉との使い分けに注意
「添付」とは? 意味と文例
「添付」は、「書類などに、その補足として他の物を付け加えること(『大辞林 第四版』三省堂)」という意味があります。
書類などで内容を補足するために追加の資料を添える場合や、メールの本文に資料を付け加える場合などに使う言葉で、紙の資料だけでなく、画像や音源などデータになったものも当てはまります。
あくまで補足として添えるものですので、それ自体が主体となるようなものを提示する場合などに使うのは適切ではないでしょう。
(例文)
- 領収書を添付の上、請求書をご郵送ください。
- ご案内状には会場までの地図を添付しております。
- 本件について、詳しくは添付の資料をご確認ください。
「添付」の正しい読み方は?
早速、結論から述べると「添付」の読み方は「てんぷ」で、「そうふ」と読むのは誤りです。
「添付」の「添」は、音読みにすると「てん」で、これに「付」の音読み「ふ」が付いて「てんぷ」となります(「ふ」は「ん」の後に続いて半濁音化し、「ぷ」になります)。
「添」を「てん」と読む言葉には、他に「添加物(てんかぶつ)」や「添削(てんさく)」「添乗員(てんじょういん)」などがあります。
「添付」を「そうふ」と誤って読んでしまう背景には、「添」の訓読みに「そ(う)」があることや、「送付(そうふ)」という別の言葉と混同していることが考えられますが、正しくは「てんぷ」です。
「添付」の類語:「送付」「貼付」との違いは?
「添付」と同じ様に「〇付」の形をとる単語には、他に「送付」や「貼付」があります。それぞれの意味の違いと使い方を紹介していきます。
「送付」は「そうふ」と読み、「品物・書類などを送り届けること(『大辞林 第四版』三省堂)」という意味があります。「添付」が何かに添えることを意味するのに対して、「送付」は物を送る行為自体を指します。
(例文)
- 当日必要なものは、事前にご送付いただけると幸いです。
- 必要書類をそろえて、期日までに事務局宛にご送付ください。
- ご送付いただいた資料は至急確認いたします。
・「貼付」の意味と文例
「貼付」は「ちょうふ」と読み、「はりつけること(『大辞林 第四版』三省堂)」という意味があります。
ちなみに、「貼付」と書いて「てんぷ」と読む場合もありますが、これは正式な読み方ではない慣用読みで、本来の読み方は「ちょうふ」です。
「貼付」は、「貼(る)」という漢字が使われている通り、のりなどを使って実際に貼りつける行為を意味する言葉です。
(例文)
- 契約書には印紙を貼付の上、押印をお願いいたします。
- 申請書の貼付欄に本人確認書類のコピーを貼り付けてください。
- 返信用の封筒には切手を貼付しております。
「添付(てんぷ)」は似た言葉との使い分けに注意
「添付」の読み方は「てんぷ」です。
前述の通り、「貼付」と書いて「てんぷ」と読むこともありますので、もし、口頭で「てんぷしてください」と言われた場合は、添える「添付」なのか、貼り付ける「貼付」なのか確認をした方がよいでしょう。
「添付」「送付」「貼付」は、意味は全く違うものの読み方が混同されやすい言葉ですので、正しい意味を理解し適切な言葉を選んで使えるようになりたいものです。
また、人から言われた場合は、意味や読み方が混同してしまっている可能性にも留意して、意図を丁寧に確認することが必要だと言えます。
■執筆者

笠井 美穂(かさい みほ)プロフィール
福岡県出身。九州大学文学部を卒業後、KYT鹿児島讀賣テレビに入社。退社後は、報道番組を中心にフリーアナウンサーとして活動。これまでの出演は、NHK北九州放送局「ニュースブリッジ北九州」、NHK BS1「BSニュース」、NHK Eテレ「手話ニュース」、NHK ラジオ第1「NHKきょうのニュース」「ラジオニュース」など。