政府は「異次元の少子化対策」として、児童手当の拡充、出産費用の保険適用など、さまざまな少子化対策を講じていますが、Yahoo!ニュースの調査では、9割以上の人が「評価しない」と回答するなど、あまり評判がいいとはいえない様子です。
それでは、社会が本当に求めている「少子化対策」とはどのようなものなのでしょうか。アンケート調査の結果から考えます。
ランキングから改めて見えた、少子化の理由
主婦・主夫層の実情や本音を探る調査機関『しゅふJOB総研』を運営するビースタイルホールディングスは、「少子化について」をテーマに主婦層を中心とする就労志向の女性にアンケート調査を実施しました。「少子化の原因になっていると思うもの」を聞いたところ、子どもの有無に関わらず「子育てにお金がかかり過ぎる」という声がトップとなりました。最近の物価高と相まって、やはり金銭面での困難さがあることがうかがえます。
子どもを持つ人に絞って見ると、それに続いて多かった項目が「子育ての負担が女性に偏っている」「子育てと両立しやすい仕事が少ない」であることに注目し、これが前述の意見とどのように関連するのかを考えてみます。
少し前の数値になりますが、2019年に内閣府が発表した調査によると、2010〜2014年の第1子出産前後の女性の継続就業率は、年々高まってはいるものの53.1%。パートや契約社員などの非正規雇用の女性の離職率だけで見ると、数値は70%以上となっています。
もちろん体調や本人の意思によって、仕事を辞めた人もいるでしょう。しかし、中には子育てと仕事の両立が難しく、仕事を辞めたという人も少なくありません。家族の協力が得られない、保育園の空きがないなど、「自分の仕事」を手放さなければならない理由はいくつもあります。
女性が仕事を辞めてしまえば、その世帯の働き手は基本的に男性1人となり、金銭面で家族を支える重圧がのしかかります。そうなれば、男性全体の育休取得率が下がるのも当然のことで、2021年度の男性と女性の育休取得率に、14%と85.1%という差が出るのも仕方のないことといえます。
子どもを持つことに冷たい日本。意識をどう変えていくべきか
一方、子どもを持つ夫婦の中には、2人で育休を取りたくても「会社の評価に響く」「周囲の視線が気になる」といった理由で、どちらか(主に男性)が育休取得を諦めるケースも少なくありません。2023年の初め、とある経営者の「若い女性は寿退社や、産休育休を取るから雇わない」といったツイートが話題になったことからも分かる通り、そもそも産休・育休を取ること自体に冷ややかな企業もあります。
こうした現状を踏まえると、「子育てにはお金がかかり過ぎる」という声の裏には、「子どもを産み、育てながら働くことに理解ある社会」を求める思いが隠れているのではないでしょうか。
ほとんどが共働きである現代の子育て世代は、「子どもを産んで、行政からいくらもらえるか」よりも、「今後も2人が変わらず収入を得られる(働ける)環境かどうか」を重要視していると考えられます。
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