アップル製品の安全神話は過去の話
実は少し前までは、アップル社の製品はAndroidなどと比べて断然安全であるという安全神話があった。
ところが最近ではそんな神話は過去のものとなっている。5月22日には、アメリカの国土安全保障省(DHS)の組織で、サイバーセキュリティを担うサイバーセキュリティ・インフラストラクチャセキュリティ庁(CISA)が、それまで世の中で知られていなかったiPhoneに存在する脆弱性が悪用されるケースが報告されているとし、政府関係者から直ちにiOSのアップデートを実施するよう注意喚起した。
このようなまだ世に知られていない脆弱性は、セキュリティ用語で「ゼロデイ」と呼ばれている。ゼロデイは、アップル社もその存在に気が付いておらず、アップデートもされていない。そして、それをどこかで知り得たサイバー攻撃者たちにiPhoneを攻撃するチャンスを与えてしまう。そうしてスマホに侵入されてしまったら、保存されているさまざまな情報が盗まれてしまう可能性がある。
中国の政府系サイバー攻撃グループがiPhoneへの攻撃も仕掛けている
しかも最近では、世界的にハッキング攻撃を繰り広げている中国の政府系サイバー攻撃グループがiPhoneへの攻撃も行っていると指摘されている。
2021年には、中国の有名ハッカーが同国で開催されたサイバーセキュリティ関連イベントで、最新アップデートされた状態のiOSを、たったの15秒でハッキングして、易々(やすやす)とiPhoneに侵入するライブのデモを行ったことがある。要は、中国人ハッカーはiPhoneに簡単に入ることができてしまうことを証明した。
こうした攻撃ができてしまっているということは、それらの技術がサイバー犯罪者たちの手に渡るのも時間の問題だといえる。犯罪者たちが悪用するようになれば、すべてのiOSユーザーが攻撃対象になる(ただ誤解のないように言っておくと、iPhoneは以前ほど安全ではなくなったとはいえ、いまだにAndroidと比べると今もiPhoneの方がより安全であることには変わりない)。
だからこそ常にOSを最新の状態にアップデートしておくことは不可欠なのである。