
金融庁の報告書に端を発して話題となった「老後2000万円問題」など、老後の心配事といえばやはりお金ではないでしょうか。節約のために交際費を抑えるようになったという人も多いようです。
現役時代にいくら稼ぎ、貯蓄をしておけば安心した暮らしができるのか。All About編集部が実施したアンケート調査から、東京都在住69歳男性のケースを紹介します。
回答者の情報
こちらの男性は、既婚で子どもあり。現役時代のピーク年収は50代の頃の950万円で、現在の貯蓄額は2000万円。69歳時点の年金額(老齢基礎年金、老齢厚生年金、個人年金などの合計)は月21万円で、その額には「満足していない」と回答しています。
69歳男性の年金平均額は?
厚生労働省が発表した「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の平均年金受給額は月額14万5665円。65歳以上男性の平均値を見ると16万9006円。69歳時点の年金額である月21万円は、平均より多いといえそうです。


「支出が少なくて済む人たちよりも少ない年金額になっている」
年金額に満足していない理由として「現役時代にそれなりの保険料を支払っていて、30歳ごろの試算では月額25万円くらいの年金額になるはずだったのに制度改正の都度、金額が下がってきた。現在90代の人たちが60代の頃にもらっていた年金額よりも少ない金額になっている」と語る男性。
「国民年金保険とか厚生年金保険とか『保険』というのであれば、不足額を補填(ほてん)するという考え方で支払った保険料に対して一律の給付額で、ある程度の年齢になったら給付額を減額して、若い世代の財源にすることを考えてもいいと思う。また公務員の共済年金との差が大きすぎる」と、上の世代や共済年金と比べて少ないことに不満を持っているようです。
「年金基金とか個人年金とかをもっと考えるべきだった」
現役時代の後悔について伺うと、「付加給付の年金基金とか個人年金とかをもっと考えるべきだった」と回想する男性。
現役のうちに掛け金を多く払っておけば、今もらえる金額も増えたのにと、悔やんでいるようです。
「意味のないお中元やお歳暮はやめた」
現在の年金暮らしで工夫している節約術があるか伺うと、「まず第一に食費の節約。無駄なものは買わず、ロスも少なくするように心がけている。電気はこまめに消して待機電力も発生しないように気を付けているし、水道も無駄な水を使わないように、洗濯もお風呂もキッチンでの使用もかなり意識している。交際費は最小限にして、意味のないお中元やお歳暮もやめた。できるだけ歩いてバス代も節約している」とのこと。
今後については「できれば働きたいが、年齢的にかなり制限があるのでお金に関してはともかく節約を心掛ける。その上でささやかながら日帰り旅行や近場での観光などの楽しみも維持したい。映画とかも見たいし、できるだけ節約を心掛けながら娯楽もしたい。健康で子どもたちとの食事も楽しめるように機会を増やしたい。たまにはプチぜいたくもしたい」と語ってくれました。
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