最近、中国からまた「キャンセルカルチャー」の動きが報じられている。
直近では、4月18日から中国で開催されていた「上海モーターショー」にて、ドイツの自動車メーカーBMWが展開する小型車ブランド「MINI」が大騒動になった。同メーカーのブースで提供していたお土産のアイスが中国人来場者には提供されなかった様子が動画で拡散され、「人種差別だ!」とBMWのボイコットを求める声が上がったのだ。BMWが破壊され、落書きされるなどの様子がSNSなどで拡散された。
『SLAM DUNK』(スラムダンク)の映画でも
また、日本がらみでも起きている。中国では今、人気アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』の上映が始まり人気を博している。だが原作者の井上雄彦氏が上映に合わせてSNSに掲載した「Hello China(ハロー・チャイナ)」というメッセージ(現在は削除されている)が「CINA(シナ)」に見えるという言いがかりで「上映禁止にしろ!」という声がネットで上がったと報じられている。
こうした抗議やボイコットの動きは、「キャンセルカルチャー」として知られている。主に、ビジネス関係者が人種や政治問題で中国に気に入らないことをすれば、ビジネスの世界でボイコット(不買運動)などを広めて妨害活動を行い、打撃を与えようとする運動である。
中国は「キャンセルカルチャーのメッカ」
実は、中国はもはや世界的に「キャンセルカルチャーのメッカ」とも言ってもいいだろう。すぐにボイコット運動が消費者から展開されるだけでなく、中国政府も率先してキャンセルカルチャーを「後押し」している。これは外国資本の企業にはいつ起きてもおかしくないリスクであり、中国とつながりのあるビジネス関係者は注視しておく必要がある。
そして、安全保障政策を研究するスウェーデン国際問題研究所の関係機関である「スウェーデン国立中国センター(Swedish National China Centre)」が、そんな世界的なカントリーリスクを調査し、リポートを発表している。
2022年、「買い物は中国共産党と一緒に」とタイトルが付けられたそのリポートでは、中国でボイコットなどをする消費者の「生態」をまとめているので、その分析を見てみたい。
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