稲垣吾郎がコロナ禍の無念を晴らす! 再始動した舞台『サンソン』でルイ16世の死刑執行人を熱演

稲垣吾郎がコロナ禍の無念を晴らす! 舞台『サンソン』の再始動に先駆けて行われた公開ゲネプロ&囲み取材の模様を紹介します。

斬首刑を前に、合図を待つサンソン/舞台『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』
稲垣吾郎さん、演出・白井晃さん、脚本・中島かずきさんがタッグを組み、2021年に誕生しながらもコロナ禍で中止を余儀なくされた『サンソンールイ16世の首を刎ねた男ー』が、一部に新キャストを迎えて再始動。4月14日の開幕を前に行われた公開ゲネプロと、囲み取材の模様をリポートします!
 

あらすじ

1766年、パリ。法廷の被告人席にはシャルル=アンリ・サンソンが座っている。「死刑執行人という忌むべき職業を伏せて食事をともにさせた」という貴婦人の糾弾に対して、サンソンは弁護人を付けることなく、自ら処刑人という職業の存在意義を述べ、裁判に勝利する。

裁判の後、勝利の美酒を父(榎木孝明)と傾けるサンソン(稲垣吾郎)/舞台『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』

フランスが混乱を深めていくなかで、サンソンは身分によって残虐度が異なる死刑内容が公平になればと、仲間たちと断頭台「ギロチン」を発案。ルイ16世の理解のもと完成させ、実用化するが、逆に死刑は量産の一途をたどる。死刑という制度そのものに疑問を抱きながらも、職務に忠実であり続けるサンソンだったが……。

壮絶なむち打ち刑に臨むサンソン。/舞台『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』

背筋が寒くなるほどの生々しさで描く、混沌の時代

フランス革命を描いた作品は多数ありますが、本作では、民衆と貴族の双方に“死刑執行人”という立場で関わった人物の視点から、激動の時代を描いているのがユニーク。劇団☆新感線の座付き作家として知られる中島かずきさんの脚本は、分かりやすい言葉遣いとスピーディーな展開で、観客を物語へといざないます。

ついに民衆の怒りが爆発し、ルイ16世(大鶴佐助)たちは恐れおののく。/舞台『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』

3段のやぐらで囲み、かなりの高さまでアクティング・エリアを広げた舞台空間では、俳優たちの熱い演技が炸裂。工作好きで優しいルイ16世の素顔を知るだけに、何とか彼を助けたいと願う理性的なサンソンをよそに、革命家たちに扇動された人々が一気に集団ヒステリーを起こしてゆくクライマックスは、背筋が寒くなるほどの生々しさです。
 

稲垣吾郎さん、想像を絶する心中を立ち姿に滲ませる

死刑制度に疑問を持ちながらも代々の家業を粛々と行うサンソンを演じるのは、稲垣吾郎さん。3000人もの処刑を行ったというサンソンの心中は想像を絶するものですが、両脚を開き、半ば様式化した動きで見せる“その瞬間”の表現が印象的です。舌鋒(ぜっぽう)鋭く語る場面もありますが、さまざまな感情を抑え込んで虚空を見据える立ち姿は、人間社会の不条理に対する無言の問いかけにも映り、圧倒的。
 

ルイ16世役の大鶴佐助さんは人間味のにじむ王様像を描き、ギロチン開発の仲間トビアス・シュミット役・崎山つばささんは使命感に燃える若者を清々しく表現。同じく仲間のジャン=ルイ・ルシャール役・佐藤寛太さんは感情のふり幅豊かに、ナポリオーネ・ブオナパルテ役の落合モトキさんは計算高く生き抜く軍人を“曲者”オーラたっぷりに怪演しています。榎木孝明さん、田山涼成さんらベテランの重厚な芝居も見どころ。

八つ裂きの刑にされようとするジャン(佐藤寛太)のもとに、トビアス(崎山つばさ)らが駆けつける。/舞台『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男―』

稲垣さん「舞台は、自分が一番自分らしくいられる場所」

ゲネプロ前の囲み会見では、サンソン役の稲垣吾郎さん、ルイ16世役の大鶴佐助さん、トビアス役の崎山つばささん、ジャン役の佐藤寛太さんが出席し、それぞれに抱負を語りました。(抜粋)

囲み会見に臨む(左から)佐藤寛太さん、稲垣吾郎さん、大鶴佐助さん、崎山つばささん

稲垣吾郎さん「(2年前の初演は)突然の中止だったので本当に悔しい思いをしましたが、今回、演出の白井(晃)さんが“再始動”とおっしゃるところの再演が出来、うれしく思っています。細部にもこだわった白井さんの演出で、観る人の心にも記憶にも刻まれるすてきな作品に仕上がっていると思います。
 

(本作の舞台化の提案は)僕からさせていただきました。サンソンという人物については、歴史の裏舞台で活躍していた人ということもあって知らなかったのですが、坂本眞一先生の漫画『イノサン』を読んでその美しさに魅せられ、さらに安達正勝先生の『死刑執行人サンソン』という作品を読んで、ぜひこのテーマを舞台にと提案させていただきました。
 

僕にとって、舞台は一番自分が自分らしくいられる場所というか、無理も違和感もなく、自由にいられる場所です。いろいろなエンタテインメントをやらせていただくなかで、どうしても違和感や迷いを感じることもあります。それは決して悪いことではないし、必要なことだと思いますが、舞台に関してはとても素直に、自由にいられます。本当に自分の場所だなと、心から思います」
 

大鶴佐助さん「まさか歴史上の人物を演じるとは思いませんでしたが、ルイ16世になり切れるよう、頑張りたいです」
 

崎山つばささん「僕の演じるトビアスは(本職は)チェンバロ職人ですが、この作品では(サンソンたちと)断頭台を一緒に作っていく職人仲間になります。稲垣さんは皆のお芝居を細かいところまで見て下さっている印象があり、これからいろいろお話していければと思います」
 

佐藤寛太さん「僕の演じるジャンは、ギロチンの刃を作る職人です。崎山さんとは物語の最初から最後まで一緒で、以前も共演していますので、関係性はばっちりです。稲垣さんは(ご自身はシャイとおっしゃいますが)ほんわかされていて、話しやすかったです。(稲垣さんが「公演が終わったら3人にかわいがってもらって、ワインをごちそうしてもらおうと」と冗談めかすと)いや逆です、逆です(笑)」

<公演情報>
舞台『サンソン―ルイ16世の首を刎ねた男』4月14日~30日=東京建物Brillia HALL その後大阪、松本公演で上演
 

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