進化する「韓国の高速道路サービスエリア」 おいしくないとうわさの食べ物、不衛生なトイレが大変貌

韓国の高速道路のサービスエリアって一体どんな感じ? 韓国旅行によく行く方でも、SAを利用する機会はなかなかないもの。そこで今回は韓国のSA事情を紹介しよう。

休憩所のトイレは要チェック

さて、次は冒頭でも述べたトイレ。このトイレの進化ぶりがすごい。トイレに各休憩所の特徴がよく出ていて、その地域の特産物や、その地ゆかりの偉人紹介パネルがあったりと、ささやかな展示スペースを設けていたりする所もあれば、ひたすらインテリアにこだわる所もある。どんどんきれいに個性的に変化を遂げていく休憩所のトイレの様子に筆者は、すっかり魅せられてしまった。
 
案東(春川方面)休憩所トイレの入り口に飾られたこの地域の伝統的な仮面
案東(春川方面)休憩所トイレの入り口に飾られたこの地域の伝統的な仮面

槐山(クェサン)休憩所(楊平方面/上り)や華城(ファソン)休憩所(ソウル方面/上り、木浦方面/下り)などに見られるような、韓国の伝統的な建築様式と建築素材を生かして作ったかのようなデザインのトイレは、まるでタイムトリップでもしかたのような気分にさせてくれる。トイレの入り口には液晶パネルで使用中の個室の場所を表示してある親切さだ。

特徴があるといえば、世宗大王で知られるヨジュ休憩所(仁川方面/上り)のトイレ内には、ハングルの歴史を紹介する展示物があるほか、さまざまなハングルのオブジェがちりばめられている。この場所ならではのトイレだろう。

安東(アンドン)休憩所のトイレの入り口には、伝統的な仮面舞踏に使われる仮面の河回仮面(ハフェタル)が飾られている。これを見ただけでも、「ああ、『安東についた』」感がある。

ほかにもトイレ内にトリックアートを描いた所があったり、ハート形のライトをいくつも並べたようなモダンなインテリアのトイレもある。とにかく明るく清潔なトイレ作りが行われているのが分かる。
 

隅々まで堪能しよう

最後に、そのほかの面白い店や個性的な施設を少し紹介しておこう。
 

何でも売ってる「何でも屋」コーナーは、どの休憩所にも必ずある
何でも売ってる「何でも屋」コーナーは、どの休憩所にも必ずある

どの休憩所にもある、何やらごちゃごちゃとした雑貨類を売る店。「どうせろくな物はないだろう」、じゃなく、「何かいいものはないかな」、という視線で眺めていると、どう見てもセンスがいいとは言えない柄のスカーフ類の中にも、1つか2つは「お? これはもしかしたら使えるんじゃないの? 」というような物が見つかる……こともある。

つい10年ほど前まではCDで売られていたはずの演歌も、今はよく見るとUSBタイプで販売されているから面白い。運転で疲れた体をほぐす木製の指圧器具なんかもここで買える。

見れば見るほどごちゃごちゃした物の中にお宝があるような気になってくる。休憩所に必ずある不思議な店だ。
 
慶州休憩所(釜山方面)休憩所
慶州(釜山方面)休憩所
 

慶州(キョンジュ)休憩所(釜山方面/下り)内には、京釜高速道路の建設過程で発掘された遺跡が展示されている。規模は小さいけれど、博物館がある休憩所とは、さすが慶州らしい。何と言っても、慶州の休憩所は上りも下りも瓦屋根。外観からしてひと味違うのだ。
 
ペット同伴で旅行する人が増える中、ペットが自由に走り回れるペットのための休憩空間がある休憩所も少なくない。ドッグランがある所、ペットカフェがある所、ペット同伴OKの散歩道がある所など、ペットを連れての高速道路の旅もしやすくなった。ペットのことを「伴侶動物」と表現するほど、特に犬を飼う人が増えた韓国のイマドキ事情が休憩所にも反映されている。
 

フードコートに一時的に設置された感染症対策用のパーテーションも、最近は外す休憩所が増えてきた。その代わり、人間が対応しない、コロナ禍で新しく導入されたタッチパネル式の注文機械はそのまま採用されている。でも多くの機械が多言語に対応しているので、むしろそれは外国人にとってはありがたく、日本語を選択すれば、注文も楽にできる。

おひとり様用の席を新たに設けたフードコートを持つ休憩所もいくつか見た。現在進行形で変化し続ける韓国のSAが面白い。
 

松田カノンプロフィール
翻訳家・カルチャーライター。在韓16年目、現地のリアルな情報をもとに韓国文化や観光に関する取材・執筆、コンテンツ監修など幅広くこなす。著書に 『ソウルまるごとお土産ガイド(産業編集センター)』などがある。All About 韓国ガイド。
 

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