ペットという単語を韓国語辞書アプリなどで調べると「愛玩動物(애완동물)」と出てくることが多いのですが、近年の韓国社会では「伴侶動物(반려동물)」という表現の方が一般的になりつつあります。

ペットは共に生きていくパートナーという認識をもつ人が増えるに従い、自然と多用される表現が変わってきたんですね。今回は、韓国のペットに関連する話題をお届します。
 

急成長する韓国のペット関連産業

最近、ペット関連の造語が次々と誕生している韓国。ペット関連市場はPet+Economyで「ペッコノミー(펫코노미)」、ペットを自分のように大切にかわいがる人はPet+Meで「ペッミ族(펫미족)」などと表現します。

晩婚化や一人暮らし世帯の増加に伴い、ペットを飼う人が増加したといわれています。2018年の統計庁調査によると、ペットを飼っている人口は約1500万人。全体の23.8%を占めており、4世帯のうち1世帯はペットがいるという計算です。

ペットと暮らす人が増えたことで、統計庁が5年ごとに実施している世論調査「人口住宅総調査」でも、 動物保護や福祉政策に役立てるため、2020年に初めてペットの飼育に関連する調査項目が追加されました。

韓国のペット関連市場は2012年に9000億ウォンだったのが、2015年には1億8000億ウォンに、現在では既に5兆8000億ウォンの市場があると言われています(※1)。

この数字が示すように、韓国は今、かつてないほどペットがトレンドとなっており、ペット大国と呼ばれるようになる日もそう遠くはなさそうです。
 

多様なペット関連施設

ペット市場が拡大するにつれ、 飼い主とペットが一緒にできること、出かけられる場所が増えつつあります。

ペット同伴で利用できるカフェやレストランが急増しただけでなく、高級ホテルが犬を同伴できるビュッフェイベントを開催したり、プールや運動場、宿泊施設などを配備したペット専用のテーマパークが建設されたり。ペットホテルも24時間スタッフが常駐し、狭いケージに閉じ込めないなどの方針を打ち出す店もあります。

なかでもペット幼稚園の人気は高く、さながら人間の幼稚園のようなものまで。顧客のニーズに応え、飼い主のスマホからいつでもペットの様子を確認できる映像確認、写真送付などのサービスはもはや当たり前。知能発達教育やマナー教育を時間割で実施し、送迎までしてくれるところも。

最近ではペット幼稚園専門の資格を取得できるアカデミーが誕生するなど、ペット関連の職業も多様化しているようです。

また、ペット専門の葬儀場のニーズも高まっています。韓国の現行法では、ペットの死体は廃棄物管理法に従わねばならず、これによると、私有地や野山に埋めることは不法とされています。

合法的な処理とされているのは、廃棄物として専用の袋に入れて処理する、病院で医療廃棄物として処理委託、許可が下りた場所での火葬です。家族の一員であるペットを廃棄物としてではなく、手厚く葬りたいと願う人が多い反面、正式な許可が下りたペットのための葬儀施設は全国で55か所(※2)と少ないため、今後この分野の成長もペットを飼う人々の間で期待されています。
 

コロナ禍では……

日本やアメリカ等では、コロナ禍でペットを飼う人が増えたという報告がありますが、韓国も同様です。

ある犬の保護施設では、2019年里親に出した年間件数が335件だったのに対し、2020年6月には既に296件あったそう。しかし、里親に引き取られるケースが増えた半面、遺棄された件数も増加しており、2020年8月末の時点で全国の保護施設に引き取られた動物は、2019年の同時期に比べ6倍に増加したという農林畜産食品部の報告もあります。

コロナ禍による経済難でペットを手放したり、捨てたりする人が増えたことが関係していると推測されています。そういった状況を受け関連団体は、ペットを迎える前に自身の経済状況や飼育環境を再確認することを、記事や広告などを通して呼びかけています。

また、特に一人暮らし世帯の間で懸念されたのは、自分がコロナに感染し入院した場合、ペットをどうするかという問題でした。不安の声が多く上がるに伴い、自治体を中心にペットを一時的に保護するサービスが順次整えられています。

現在はソウル特別市、京畿道、仁川広域市、光州広域市、蔚山広域市で実施されており、ソウルは無料、その他の地域では1日当たり3万ウォン前後(小型犬・猫基準)で預かってもらえます(※3)。

また、地域によっては飼い主が入院した場合、エサを始めとする必要なペット用品の支援を行う自治体があり、飼い主が治療に専念できるよう支援するサービスは今後も広がる見込みです。
 

カリスマトレーナーが大人気に。韓国で話題のしつけ番組

人気がある動物関連番組のうち、韓国で2019年から人気を博しているのが「犬はすばらしい(개는 훌륭하다)」という番組です。犬大統領と呼ばれるドッグトレーナーのカン・ヒョンウク氏が、犬のしつけで悩む家庭を訪問し、犬だけでなく保護者のマインドまで教育するという内容。

マッチョな体ながら、つぶらな瞳と穏やかな話し方、それでいて時に厳しく指導するカリスマ溢れる魅力が視聴者の心をつかみました。犬のしつけという特定の動物が対象である番組にも関わらず、放送開始時には1.7%だった視聴率が、現在は平均視聴率4.1%(※4)まで上昇。カン・ヒョンウク氏は一気に人気スターに。2020年第27回KBS芸能大賞ホットイシュー芸能プログラム賞まで受賞したのです。

韓国放送広告振興公社が行ったペット関連製品の広告モデルとして一番ふさわしい人物を選ぶ好感度調査では、韓国の超有名芸能人の面々を抑え、圧倒的1位に選ばれるほどの人気ぶり。今では、化粧品、家電、外車など、さまざまな分野の広告モデルを務めており、ペット関連番組から誕生したカリスマタレントとして活躍しています。

※1……韓国農業経済研究院プレスリリース

※2……農林畜産検疫本部、動物保護管理システム

※3……2021年1月現在。料金は地域によって異なる。

※4……2020年12月ニルソンコリア調べ