ここがヘンだよ、ニッポン企業 第11回

新人をフルリモートで放置する会社は近い将来「ブラック企業」と呼ばれてしまうワケ

新入社員をフルリモートで放置すると、長期的に見て「キャリアが死ぬ」――。そんなツイートが先日話題になった。実際の原因はどこにあるのか、「健康経営」の観点も踏まえ、フルリモートの是非を考える。

先日、会社員でありながら作家・小説家としても活動して、転職本もいくつか出している安斎響市氏のこんなSNS投稿が大きな反響を呼んだ。
 

フルリモートって、自分一人で仕事を組み立てられる中堅以上の社員には最高の環境だけど、新卒1年目の最初から毎日在宅勤務で放置されたら、単なる「楽してお金貰える環境」でしかなくて長期的にキャリア死ぬと思う。弊社20卒は3年間のフルリモートにより、早期離職と病気休職でほとんど全滅しました(2023年3月3日のツイート)


>実際のツイートを見る
 

フルリモートで「キャリアが死ぬ」は本当か

これには実際に新人教育をしている立場の人々や、新卒入社からリモートワークをしていた人々から、「すごく分かる、リモートとそうでない時の成長率が違う」「今の自分がまさしくそれ」など共感の声が多く寄せられていた。そこで挙がっていた「キャリアが死ぬ」理由は主に以下である。
 

・先輩から手取り足取り仕事を教えてもらえない
・人間関係が構築できない
・自主性が育たない
・1年目からラクを覚えてしまうので、仕事に対して甘えが生まれる
 

これには、大きくうなずくビジネスパーソンも多いだろう。新型コロナウイルス禍になってからの約3年、業種によっては、仕事の絡みがない新卒社員とリアルで会ったのは数えるほど、なんて話は決して珍しくない。そのまま辞めてしまった場合など、同じ部署にいながらもリモート以外はロクにコミュニケーションを取らず、気が付いたらいなくなっていたなんてケースもあるだろう。
 

そのような意味では、フルリモートによって「新人のキャリアが死ぬ」に多くの人が共感を抱くのは当然だろう。


>次ページ:“時代遅れ”の管理職が原因か

 

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