「婚活」は就活に似ています。自分の市場価値を冷静に分析し、導き出された魅力で相手の気持ちを動かす取り組みなのですから。
婚活アドバイザーの植草美幸が、目まぐるしく変化する婚活の最新事情を徹底分析する「婚活女子の市場価値」。第3回は、いま男性に人気がある「女性の職業」について紹介します。
いまや専業主婦は一部の富裕層の特権に!?
サラリーマンの夫と専業主婦の妻で構成される家庭は、昭和の時代には多数派でした。その後、平成を経て令和へと共働き世帯は増加し続け、2020年には夫婦がいる世帯の約20%にまで減少しています(「結婚と家族をめぐる基礎データ」令和4年、内閣府男女共同参画局より)。
さらに夫の所得が高いほど専業主婦率が高くなる傾向であるという結果も出ています。
>夫が年収1000万円でも専業主婦は難しい?
結婚後も仕事を続けたいと考える女性が増えたことで、男性の年収にこだわらない婚活が増える傾向については前にも触れましたが、それでも専業主婦を希望する女性も一定数います。
最近でも「仕事へのやりがいが見いだせないから結婚したい」と20代前半の女性が相談所を訪れました。一流大学を卒業し、難関資格も取得して人気企業に新卒入社したものの、コロナ禍でリモートワークが続く状況下で仕事の楽しさを感じられないというのです。このように高学歴・高収入でも専業主婦を希望するなど、女性の理想の生き方は二極化しています。
とはいえ、婚活市場でいま男性人気が高いのは「働く女性」。実際にどのような職種の女性が人気なのでしょうか。
「正社員」女性が最強といえる理由
いま男性が求めているのは稼げる女性、しかも長く安定的に収入を得てほしいと考えています。一時的に高収入であっても、出産を機に退職してしまうのはNGで、産休・育休取得後は仕事に復帰してほしい。また、派遣社員やパートといった非正規雇用ではなく「正社員」の女性が人気です。さらには、勤務する企業の福利厚生も手厚く、産休・育休が取得しやすい環境かどうかもポイントになります。
そんな価値観を持つ男性から一番人気の職種が公務員です。残業が少なくカレンダー通りに休日もある、さらに異動がない部署であればベスト。一般企業でも、資格がある、年齢を重ねても一生涯仕事を続けられる、忙しすぎず家庭と両立できる、そんな条件に当てはまる女性が男性に求められています。
人気の「女性医師」は診療科で明暗?
男性医師は婚活市場では昔もいまも大人気ですが、最近は特に女性医師との結婚を希望する男性が増加傾向です。医師が人気の理由は、高年収で生涯稼げる有資格者であること。ただし、多忙すぎると家庭との両立が難しいので、婚活の際には診療科が肝になります。
人気があるのは比較的勤務時間がコントロールしやすいといわれる美容皮膚科、美容外科、麻酔科、不妊治療などの女性医師。また透析や健康診断しかやらないなど働き方を限定していたり、定時帰宅できるクリニック勤務なども人気です。最近は、病院が敷地内や近隣に提携の保育所を設置するケースもあり、出産後も復帰しやすい環境が整ったことで結婚できる女性医師が増えた印象です。
マッチング事例 | 女性に合わせて男性が生き方を変えることも
相手に希望する年収の条件を持っているのはいいのですが、働き方や職場について口を出しすぎるのはよくありません。相手に「年収をさらに上げて」「もっと福利厚生の整備された職場を」と欲を出した結果、転職を勧めて破談になったケースもあります。
成功例としてご紹介するのは、年収1500万円のサチコさん(仮名・33歳)と、同じく33歳で年収600万円のアキオ(仮名)さん。帰国子女のサチコさんは、同世代の日本人と比較すると進んだ恋愛・結婚観を持っていました。長いアメリカ在住時は、子育てしながらフルタイムで働くバリキャリ女性や、自分の子ども2人とホームステイ中の子ども2人、合わせて4人の子どもの世話をすべて引き受ける男性など日本では珍しい部類に入る子育て世帯が近隣に住んでいたといいます。
「日本の共働き事情はアメリカより30年遅れている」と言い、男性に求める希望年収を設定することなく婚活をスタート。高収入女性と結婚し、家事育児を積極的に引き受けてもいいと考えていたアキオさんとマッチングしました。
文系の最難関資格とされる司法試験をくぐり抜けた女性裁判官がマッチングしたのは、女性の仕事を全面的に受け入れ、転勤の際はついていく、あるいは期間限定で週末婚でもいいのではないかと幅広く受け止めてくれた男性でした。
こうした、婚活市場価値が高い「働く女性」から見て不人気なのは、家事が“できない”もしくは“やろうとしない”男性。かつては、男性の年収や職種に応じて女性の生き方が左右されるのが一般的でしたが、これからはその逆もまた女性の職業や年収で男性の生き方が変わる時代になるでしょう。
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