ここがヘンだよ、ニッポン企業 第4回

「スシロー」「くら寿司」が値上げの中、「かっぱ寿司」が「100円皿」を30商品増やしたワケ

「一皿100円」のメニューを新たに30商品追加すると発表した「かっぱ寿司」。「スシロー」「くら寿司」が相次いで「脱100円メニュー」へとかじを切っている中、あえて「逆張り」の戦略を取る理由とは……。

カッパ・クリエイトの田邊社長は「はま寿司」から告訴された過去も

「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの田邊公己社長は大学卒業後、ゼンショーホールディングスに入社して以来、2020年まで「はま寿司」など多くの外食企業の経営をしてきた。つまり「ゼンショー式経営」の実績を買われて、「かっぱ寿司」の社長に迎えられた人物なのだ。
 

しかもこの田邊社長、2021年7月に「はま寿司」から不正競争防止法違反の疑いで告訴されたことが分かっている。
 

これはカッパ・クリエイト側も認めていて、リリースによれば、田邊氏はカッパ・クリエイトの顧問だった2020年11~12月、元同僚から「はま寿司」の日次売り上げデータなどを受け取っていたという。このように聞けば、コロナ禍で「はま寿司」がどのような売り上げになっていたのかを踏まえて、「かっぱ寿司」の経営指針を導き出そうとしていたのでは――と捉えるのが普通だろう。
 

このような状況を踏まえれば、「かっぱ寿司」が「100円メニュー」を増やしていくのは当然だ。
 

「かっぱ寿司」の「100円メニュー」増加は吉と出るか、凶と出るか(出典:プレスリリース)


「スシロー」「くら寿司」という2強は不祥事をものともせず、背中すら見えない。一方、目指すべき「はま寿司」も100円を続けている。ならば、こちらはもっと思い切って100円を増やしてやれ、という経営判断になるはずだ。
 

庶民にとってはありがたい話だが、今の経済環境の中で「一皿100円」をキープするのは並大抵のことではない。果たして「かっぱ寿司」の「逆張り」は吉と出るか、凶と出るか、注目したい。


窪田順生プロフィール
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経てノンフィクションライター。また、報道対策アドバイザーとしても、これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行っている。


【おすすめ記事】
「不祥事ドミノ」のスシローは、「異物混入」が続いた時のマクドナルドとよく似ている
イオン、サイゼリヤ、シャトレーゼも…「値上げしない企業」が“称賛”の一方で抱える、特殊な事情
「大阪王将」ナメクジ炎上で「餃子の王将」に飛び火……でも“お互いさま”とも言えるワケ

 

Lineで送る Facebookでシェア
はてなブックマークに追加

連載バックナンバー

Pick up

注目の連載

  • 恵比寿始発「鉄道雑学ニュース」

    静岡の名所をぐるり。東海道新幹線と在来線で巡る、「富士山」絶景ビュースポットの旅

  • ヒナタカの雑食系映画論

    『グラディエーターII』が「理想的な続編」になった5つのポイントを解説。一方で批判の声も上がる理由

  • アラサーが考える恋愛とお金

    「友人はマイホーム。私は家賃8万円の狭い1K」仕事でも“板挟み”、友達の幸せを喜べないアラサーの闇

  • AIに負けない子の育て方

    「お得校」の中身に変化! 入り口偏差値と大学合格実績を比べるのはもう古い【最新中学受験事情】